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ホームアーカイヴス>HR/HMの歴史


1971〜1975

この時期は、イギリスではグラム・ロックのムーヴメントや、プログレッシヴ・ロックの隆盛があり、アメリカではウエスト・コースト・ロックやサザン・ロックなどと呼ばれる地域性に根ざしたロックが出現するなど、まさに「ロックの黄金期」とも言うべき充実した時代であった。

HR/HMに関しても、その充実ぶりは例外ではない。先述したLED ZEPPELIN、DEEP PURPLE、BLACK SABBATHらの活躍に加え、イギリスからはコーラスが印象的な、オペラ的ともいえる華麗なイメージとサウンドで、世界に先駆けて日本でブレイクしたQUEEN、アメリカからはROLLING STONESをハードにしたかのようなバッド・ボーイズ・ロックンロールを聴かせたAEROSMITH、そして奇抜なメイクとエンターテインメント性にあふれたド派手なステージングでブレイクしたKISSが登場し、日本では「ハード・ロック御三家」などと称されるほどの人気を得ていた。その他にも、ヘヴィ・メタル的なイメージを初めて打ち出したJUDAS PRIESTや、ハードでありながらポップ&キャッチーなサウンドとアイドル性で女性の人気も高かったCHEAP TRICK、ポール・ロジャースのソウルフルな歌唱をフィーチュアしたBAD COMPANYなど、優れたバンドが多数出現したこの時期は、ハード・ロックがロックの一ジャンルとしてステイタスを確立した時期といえる。

◆参考作品

LED ZEPPELIN

FOUR SYMBOLS
永遠の名曲、「天国への階段」を収録した重要作。

DEEP PURPLE

MACHINE HEAD:
様式美ハード・ロックを完成させた、有名曲を多数収録の名盤。

QUEEN

QUEEN II

彼らの作品中最も華麗で最もハード・ロック色が強いセカンド・アルバム。


AEROSMITH

TOYS IN ATTICK
ハードかつバラエティに富んだ楽曲を収めた、初期エアロの名盤。

KISS

ALIVE
ロックの楽しさを満載した名作2枚組ライヴ・アルバム。これで人生変わった人多数。


1976〜1978

この時期は、一般にハード・ロックの低迷期、冬の時代とされている。イギリスにおいては失業者が200万人を超えるほどの未曾有の大不況で、若者が社会に対する不満をぶつける対象として、延々とテクニカルなソロ・プレイを聴かせたり、クラシックの要素を取り入れたりといった音楽至上主義なロックは、ストリートの共感を得られず、「古臭いもの」というイメージに押し込められていった。

一方でストリートの音楽として人気を高めたのが、SEX PISTOLSやTHE CLASHに代表されるような、荒々しいロックン・ロールサウンドに社会的なメッセージを叩きつけたパンク・ロックであった。一般にミュージシャンとしては限りなく素人に近い人間が多かったパンク・ロックのムーヴメントはSEX PISTOLSの解散、そしてそのベーシストであったシド・ヴィシャスの麻薬による死とともに急速に勢いを失ったが、成熟し、閉塞感さえ漂わせていたロック・シーンに新風を吹き込む役割を果たした。

…というのが一般的なロックの歴史で語られる状況だが、冷静に当時のハード・ロックシーンを見渡してみると、DEEP PURPLEを脱退したギタリストのリッチー・ブラックモアが結成したRAINBOWやアイルランドから出現したTHIN LIZZY、ドイツ人ギタリストマイケル・シェンカーの泣きのギターをフィーチュアしたUFO、オーストラリアから出現したエネルギッシュなタテノリR&R一徹のAC/DCなどが充実したアルバムを発表し、成功を収めるなど、個々のバンドや作品を見れば、必ずしもまったくハード・ロックがダメだったわけではない。

しかし、その成功の規模はパンクに及ばず、シーンの盛り上がりという意味では、まさに「時代の音・カルチャー」としてもてはやされていたパンクの「勢い」に比べるべくもなく、DEEP PURPLEが解散したり、BLACK SABBATHからオジー・オズボーンが脱退したりと、ハード・ロックを代表するバンドが低迷していたこともあり、当時をリアルタイムで体験した人間の印象としては、「ハード・ロックが死に絶えたかのように感じられた」という状況であったようだ。


◆参考作品

RAINBOW

RISING
リッチー、ロニー、コージーの三頭政治による様式美の聖典。

THIN LIZZY

JAILBREAK
大ヒット曲「ヤツらは町へ」を収録。邦題「脱獄」。

JUDAS PRIEST

STAINED CLASS
元祖ヘヴィ・メタルと呼ぶべき名曲「Exciter」収録。

UFO

LIGHTS OUT
マイケル・シェンカーのギターと充実した楽曲によってアメリカでも成功した一枚。

SCORPIONS

VIRGIN KILLER
スキャンダラスなジャケットも話題を呼んだ、ドイツの哀愁ハード・ロック・バンドの傑作。


1979〜1980

一般的に、この時期に起きたHR/HMの重要な動きとして、ニューウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)が挙げられる。IRON MAIDENを中心とする若手のバンドが、パンク一色に染まったイギリスのシーンに、再びHR/HM的な音を取り戻し、「ヘヴィ・メタル」という言葉を世に広めた、HR/HM史上最も重要なムーヴメントである。

少々話はそれるが、短期間のムーヴメントではあったとはいえ、パンクの残した影響は大きかった。音楽的に高度化し、若者にとって手の届かないものになっていたロックを、再びストリートの手に取り戻し、今までのロックの固定概念にとらわれないサウンドが次々と登場したのである。これが、一般に「ニューウェーブ」といわれるムーヴメントである。当時普及を始めていたデジタル・シンセサイザーを駆使したエレポップ的なサウンドや、アヴァンギャルドなサウンドの印象が強いニューウェーブであるが、それはロックが原初期に持っていた実験性の回復であり、AZTEC CAMERAのようなネオ・アコースティック、STRAY CATSのようなネオ・ロカビリーといった懐古的な音楽もこのニューウェーブの流れから出てきたことを考えると、その本質は、実は「ロック・リヴァイヴァル」だったのである。

こう考えると、一般にはあまりニューウェーブ・ムーヴメントそのものと同一に語られることのないNWOBHMも、紛れもないロック・リヴァイヴァルとしてのニューウェーブ・ムーヴメントの一環であったと言えるのである。NWOBHMの生んだ代表バンドであるIRON MAIDENのファースト・アルバムにみなぎるエネルギーは、従来のハード・ロックの伝統を踏まえつつも、パンクを通過した時代なればこその荒々しさを持っていたことからわかるように、パンクの影響は確実にHR/HMにも存在していた。

NWOBHMの流れから登場してきたバンドの多くは荒削りで、また、悪魔的なイメージなど、キワモノ的な要素を打ち出していたこともあって、その多くは長続きしなかった。しかし、邪悪で過激な「ヘヴィ・メタル」という言葉の持つイメージ(言葉自体は以前から存在していた)を確立したという意味で、非常に重要なムーヴメントだったといえる。さらに、シーンの目をHR/HMに再び向けさせることによって、BLACK SABBATHやJUDAS PRIESTなど、以前から存在していたバンドが再び注目され、成功を収めるきっかけになったという効果ももたらしたのである。

◆参考作品

IRON MAIDEN

IRON MAIDEN

NWOBHMを代表する、ヘヴィ・メタルの代名詞的バンドの、衝撃のデビュー作。


SAXON

WHEELS OF STEEL

デニム&レザー、そしてバイク。彼らはNWOBHMのスタイルを象徴するバンドといえる。


MOTORHEAD

ACE OF SPADES
ハード・ロックにパンクの勢いをミクスチャーして生まれた暴力サウンド。

BLACK SABBATH

HEAVEN & HELL
元RAINBOWのロニー・ジェイムズ・ディオを迎え生まれ変わった様式美色の強い名盤。

JUDAS PRIEST

BRITISH STEEL
叙情性を抑え、リフ中心のメタリックなサウンドで時代を巧みにとらえた一枚。

 

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