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ホームコラム>年間ベスト1996


The Best 10 Albums of 1996

No.1



HELLOWEEN / THE TIME OF THE OATH

充実した楽曲群が、バンドとして脂が乗り切った時期であることを示す。日本で20万枚売れたのも納得の、「親しみ易いヘヴィ・メタル」。

 


No.2



ANGRA / HOLY LAND

彼らの祖国の歴史を語る、壮大な音楽叙事詩。クラシックばかりか、祖国ブラジルの民族音楽までも取り込んだ音楽的懐の深さは驚嘆に値する。

 


No.3



AMORPHIS / ELEGY

普通声で歌うシンガーを加入させ、より正統派HM的なカタルシスを得た。フィンランド民謡テイストが比類なき個性となり、トランス畑出身のキーボードがよりその音楽世界の独特な魅力を高めている。孤高の大傑作!

 

No.4



SYMPHONY X / THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY

前作までは「ややプログレッシヴな、B級ネオ・クラシカル・バンド」という程度の認識だったが、PANTERA的なヘヴィ・サウンドに目覚めたことで個性を確立した。緊張感とリリシズムに満ちたサウンドは息を呑むほどのカッコよさ。

 

No.5



聖飢魔II / メフィストフェレスの肖像

バンドの創始者、ダミアン浜田も作曲に関わり、レコード会社移籍第一弾にふさわしく原点回帰を印象付けるピュアなメロディック・ヘヴィ・メタル作品。全国3万人のクサメタラー諸氏にもぜひ薦めたい、叙情的な楽曲満載の秀作。

 

No.6



STRATOVARIUS / EPISODE

イェンス・ヨハンソン(Key)にヨルグ・マイケル(Dr)という歴戦の名手を迎えて制作された、超強力なメロディック・パワー・メタル作品。

 

No.7



TERRA NOVA / LIVIN' IT UP

オランダから登場した、時代錯誤なまでに爽快でゴージャスなメロディアス・ハード・ポップ。タイトル曲のイントロを聴いただけで胸が躍りました。フレッド・ヘンドリックスのハスキーで快活な歌声が単なる甘口サウンドに終わらせないんだな。

 

No.8



IMPELLITERRI / SCREAMING SYMPHONY

バラードもスローな曲も全くありません。ひたすら熱い様式HR/HMチューンで押しまくる痛快なメタル・アルバム。確かに楽曲のパターンは少ないが、だからこそここまで焦点の定まった傑作が生まれたのではないか。

 

No.9



MANOWAR/ LOUDER THAN HELL

現存する数少ないヘヴィ・メタルの体現者がなんとGeffinから放つ、渾身のピュア・メタル・アルバム。コンパクトかつキャッチーな楽曲が多く、とっつきやすい本作で入門した日本のファンは多い。

 

No.10



SIAM SHADE / SIAM SHADEV

メロディアス・ハードとしては前作のほうが楽曲の粒が揃っていたが、楽曲の幅も広がり、よりヘヴィになった本作が次作におけるブレイクの足がかりを作ったといえる

 


The Best 10 Tunes of 1996

No.1 Carolina IV/ ANGRA
  HMのことをレベルの低い音楽だと思っている人間がいたら、この曲を聴かせてやりたい。ラテン音楽やクラシックの要素を巧みに消化しながら、メタルとしてのエキサイトメントも備えた名曲

No.2 Of Sins And Shadows / SYMPHONY X
  PANTERA風のヘヴィなリフとネオ・クラシカル調のリリシズムと緊張感に満ちたメロディが絶妙にマッチし、QUEEN風のコーラスが彩りを添える名曲

No.3 Song Of Troubled One / AMORPHIS
  バッキングのキーボードがカッコよすぎる劇的チューン

No.4 Livin' It Up / TERRA NOVA
  キラキラしてて最高! やっぱこういう音楽も必要だよね

No.5 Forever / STRATOVARIUS
  歌詞もメロディもクサすぎ。涙腺から涙をしぼりとるかのようなバラード

No.6 The Name Of The Rose / TEN
  イントロのアコースティック・ギターによるエレジーが絶品

No.7 On Rich And Poor / AMORPHIS
  メロデス史上に残る名リフ、などと言われているが、展開部のカッコよさも捨てがたい

No.8 凍てついた街 / 聖飢魔II
  ブリッジがたまらなく哀しい。やはりダミアン浜田は田舎教師にしておくには惜しい

No.9 Power / HELLOWEEN
  「ポップなヘヴィ・メタル」というものが存在しえることを証明する名曲

No.10 Wild Child / SCORPIONS
  ケルティックなイントロもいいし、ルドルフのリズム・ギターも気持ちいい

 


1996年を振り返って


管理人が大学生になった年である本年のHR/HM事情は、決して芳しいものではなかった。大学になってアルバイトを始め、高校生の頃に比べてCDを買うお金には余裕ができたものの、当時好きだったメロディアス・ハード、あるいはハード・ポップと呼ばれる音楽に関し、BURRN!誌のレビューを参考に買うアルバムはしっくり来ないものが多かったからだ。H編集長にはよく騙されましたよ…。

しかも、大学で入ったバンドサークルにおいて「メタル」は完全に「過去の遺物」であり、メタルを聴く人間は一種の「ネタキャラ」として扱われるという現実もあり、「メタルの卒業」という言葉がたまに頭をかすめることもあった。今考えると、アルバイトをしていたのが大手レンタルビデオチェーンのCD売り場で、新譜をどんどん聴ける立場にあり、レンタルコーナーにある様々なジャンルの旧譜も格安で借りて聴くことができたことが、自身の音楽の嗜好の幅を広げるとともに、メタルに飽きることを抑止する効果を発揮していたような気がする。

後になって振り返ってみると、やはりこの時期のHR/HMは低調だったわけなのだが、底を打ったのもこの年だったという感がある。それでもAMORPHISとSYMPHONY Xの素晴らしさは印象的だったし、アルバイト先に「信者」がいらっしゃったため、1999年のFINAL MASSまで見届けることになってしまった聖飢魔IIと出会った、というメモリアルな年でもあります。


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