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WUTHERING HEIGHTS
SALT
84
ソルト (2010)

「塩」と題された5作目のアルバム。塩と言っても無論「塩、コショウ」的な調味料がイメージされているわけではなく、「海」をイメージしての言葉のようだ。邦題を付けるならむしろ「潮」かな、なんて戯言はさておき、本作の多くの楽曲は「海」をテーマとして持っている(とはいえ、コンセプト・アルバムというわけではないとか)。前作は正直押しが強すぎて個人的には聴き疲れする作品だったのだが、本作は巧みに緩急がつけられており、その点は改善された。17分に及ぶ大作#9「Lost At Sea」を筆頭に6分前後の長めの曲が大半を占めるが、どの曲も非常に豊かな場面展開を持ち、聴き手を飽きさせない。荒波の如き強烈な疾走パートと、欧州トラッド/フォーク調のメロディやアコーディオンによる牧歌的な響きの対比が1曲の中に共存することで強い起伏を生み出し、さながら大海原をテーマにした冒険譚を思わせる。メロディ自体の煽情力の高さもあり、非常にドラマティックでイマジネーションを刺激する作品だ。個人的にはもう少しゴージャスなアレンジと洗練されたプロダクションで聴きたい音楽だが、ニルス・パトリック・ヨハンソンの歌声が演出するやさぐれた雰囲気にはこのヴァイキング・メタルを思わせる無骨なサウンドがマッチしているのかも。

WUTHERING HEIGHTS
THE SHADOW CABINET
82
ザ・シャドウ・キャビネット (2006)

SOUNDHOLICに移籍してリリースされた4作目のアルバム。基本的には前作の方向性を押し進めた欧州民謡的なメロディを満載したメロディック・パワー・メタルがアルバム全編で堪能できる。そういった方向性自体は嫌いじゃないというかむしろ好きだし、クオリティ的にも申し分ないのだが、実際の所、本作はいささか暑苦しくて、野暮ったい(苦笑)。その主犯はVoのニルス・パトリック・ヨハンソン(ASTRAL DOORS、ex.SPACE ODYSSEY)で、彼の血管ブチ切れそうなほどにテンションの高い、芝居がかった歌唱が、楽曲の印象を必要以上に猛々しいものにしてしまっている。この欧州フォーク的なメロディの牧歌的な趣はもっと風情のある歌唱で楽しみたいな。実際、そういう歌唱も前作では聴かせてくれていたのだし。そういう意味では曲もここまで速かったりヘヴィだったりする必要を僕は感じない。まあ、そのことはこのバンドに何を期待するか、という聴き手側の問題だったりするのだけど。

WUTHERING HEIGHTS
FAR FROM THE MADDING CROWD
86

狂乱からの旅路 (2003)


Voがニルス・パトリック・ヨハンソンに交代。Bも脱退し、中心人物であるギタリストのエリック・ラヴンがベースもプレイする形でリリースされたサード・アルバム。新加入のニルス・パトリック・ヨハンソンの力量は素晴らしく、牧歌的なクリーン・ヴォーカルからパワフル極まりないシャウトまで変幻自在の歌唱は、音楽の表情を豊かにし、バンドの格上げに直結している。楽曲も、前作に見られた意味不明の奇妙な展開は影を潜め、ストレートなパワー・メタル色を強めており、疾走感とドラマ性を大幅に増したサウンドはリスナーの裾野を広げることだろう。より欧州民謡的な叙情性を増したメロディも印象的で、これ!というキラー・チューンこそないが、どの曲もフックに満ちた秀曲である。長めの曲も飽きさせずに聴かせる。HELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」を手掛けたトミー・ハンセンの手によるプロダクションも良好で、前作の不満点を全て解消する会心の出来といえよう。ヨーロピアン・メタル・ファン必聴の傑作。作品の出来とは関係ない話で恐縮だが、こんなマニアックなタイトルまでCCCDでリリースする東芝EMIにはあきれるね。もちろん輸入盤を買ってやりましたとも、ええ。

WUTHERING HEIGHTS
TO TRAVEL FOR EVERMORE
79
永遠の旅路 (2002)

エリック・ラヴン(G)を中心に結成された、デンマークの首都コペンハーゲンを中心に活動する6人組。「出身」ではなく「中心に活動する」という表現を用いたのは、エリックと、Dr、Keyの3名以外はデンマーク以外の出身のため。Bのロレンツォ・デホはイタリアのプログレッシヴ・メタル・バンド、TIME MACHINEのメンバー、Gの片割れであるヘンリック・フライマンは元MOAHNI MOAHNA、そしてVoのクリスチャン・アンドレンは元TAD MOROSEという、ビクターPURE METAL世代(笑)のマニアであればピンと来る経歴のメンバーばかり。本作は彼らの日本デビュー作となるセカンド・アルバム。このバンドの最大の特色は随所に滲む欧州民謡テイストで、その独特な叙情性はBLIND GUARDIANやRHAPSODYのその手の楽曲を好む手合いにとってなかなかくすぐりの多いサウンドであるといえる。基本的な音楽性は正統的なメロディック・ヘヴィ・メタルであるが、曲展開は複雑で、ある意味プログレッシヴな要素も内包している。個人的には楽曲の複雑さが必ずしも魅力に結びついていないように感じられ、現在は散見される程度の疾走パートを増やしたほうが日本でのウケは良くなるだろうし、サウンド・プロダクションにも厚みが不足しているように思うが、とりあえず最近の欧州メタルの中では個性はあるほうだ。

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