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VOW WOW
MOUNTAIN TOP
81
マウンテン・トップ (1990)

ニール・マーレイ(B)がBLACK SABBATH加入のために脱退、新たにマーク・ゴールドなる人物を迎えている。アメリカでの成功を求めて今度はLAに活動拠点を移し、ALICE COOPERやKISS、PINK FLOYDなどを手掛けた巨匠、ボブ・エズリンをプロデューサーに迎えて制作された。冒頭を飾るタイトル曲や、バラードの#11「I've Thrown It All Away」などはボブ・エズリンの得意とする壮大な楽曲だ。ただ、それ以外の楽曲についてはマーク・スローターから提供された(後にSLAUGHTERで自身も録音した)#4「Move To The Music」をはじめ、やはりというかアメリカ市場を意識したと思われる作風の楽曲が目立つ。#3「Black Out」のような速い曲でも、どこかアメリカンなカラッとした雰囲気。#8「Love Lies」は「CYCLONE」収録の「Love Walks」のリメイク。ボーナス・トラック扱い(録音メンバーやプロダクションがアルバム本編と異なる)のキャッチーなシングル曲#14「Tell Me」、#15「I'm Gonna Sing The Blues」の出来がいいので聴き終えた後の印象は悪くないが、やはり人見元基のこのクドい歌声で15曲は、個人的には胃もたれする。結局アメリカでの契約は取れず、バンドは本作をもって解散するのだが、ちょっとアメリカ市場を狙うには作風が中途半端で、「わかりやすさ」が不足しているような気がする。

VOW WOW
VIBe
81
ヴァイブ (1988)

88年発表の5thアルバム…という月並みな書き出ししか思いつかなかった彼らにしてはあまりにも「普通なアルバム」。いや、もちろん彼らは優れたミュージシャン集団なので出来は悪くない。客観的にはむしろいい。ただ、前々作のアグレッシヴなテンション、前作のドラマティックな洗練を体験した後に聴くとどうしても地味に聴こえてしまう。いや、この抑制のきいた安定感こそが成熟した大人のハード・ロックだよ、なんて意見もあるかもしれないが、私はHR/HMに「大人の落ち着き」など求めていない。#4「Helter Skelter」はMOTLEY CRUEもカヴァーしたことがある「元祖ヘヴィ・メタル」などと言われることもあるTHE BEATLESの楽曲。英国盤はこのアルバムのタイトル自体が「HELTER SKELTER」になっており(一部収録曲や曲順も異なる)、この曲の収録にはレコード会社の意向を感じる。#6「Rock Me Now」などを筆頭に、中途半端にキャッチーな感触の楽曲が多いこともなんとなくレコード会社に媚びるかのような「守りの姿勢」を感じる。2nd「CYCLONE」もキャッチーな曲調が目立つアルバムだったが、どことなく武骨さのあった同作に比べ洗練されているのがかえってタチが悪い気がする。ニール・マーレイのBが大活躍する#7「You're The Only One For Me」は必ずしも彼ららしい曲ではないが、本作で一番面白みのある曲だ。

VOW WOW
V
85
V (1987)

前作発表後、世界での活躍を視野に、活動拠点を英国に移した彼ら。しかし、87年ベーシストとしてBOW WOW時代からバンドを支えてきた佐野賢二が脱退、後任にはなんと元WHITESNAKE〜GARY MOOREのニール・マーレイが加入。本格的に世界規模での成功を期して制作されたのが本作である。前作に比べるとハードな要素が後退し、ある意味洗練されている。一方、ウエットな叙情性はこれまで以上に高まっており、元々ブリティッシュな要素の強いバンドであったが、本作においてはより欧州的なムードが強まっている。アップ・テンポの#2「Somewhere In The Night」や、バラードの#6「Cry No More」などを始め、楽曲、特にメロディ面ではこれまでで最高級に充実している。こういう作風の中では厚見玲衣のKeyもいっそう輝いており、クサいほど劇的なイントロが印象的な#9などが象徴するように、サウンドをゴージャスに彩っている。シングルとなった劇的でありつつキャッチーな名曲#10「Don't Leave Me Now」には元KING CRIMSON〜ASIAのジョン・ウェットンが関与している。個人的に本作が一番最初に聴いたVOW WOWのアルバムで、叙情的な作風が肌に合っていたこともあり、最高傑作とされる前作よりも思い入れの強いアルバムだったりする。


VOW WOW
VOW WOW III
86
III (1986)

悪くはないものの、今ひとつ煮え切らない印象もあった前作から一転、一気に弾けた感のあるサード・アルバム。AC/DCなどを手掛けた実績のあるトニー・プラットをプロデュースに迎えている。1曲目、重心の低いパワフルな「Go Insane」から、バンド史上随一の疾走スピード・チューン#2「Shot In The Dark」の流れでいきなりガツンと来る。VOW WOWは多少の幅を出しつつも大筋でハード・ロックの王道を行ったバンドだと思うが、誤解を恐れずに言えば本作は一番ヘヴィ・メタルな音だ。同時代、彼らよりハードだったりヘヴィだったり速かったり、というバンドはたくさんいたと思うが、本作に込められた鬼気迫るテンションはそういう単純なヘヴィさを超越した迫力を放っている。それでいてKeyもこれまで同様効果的に大フィーチュアされていて、ブリティッシュ・ハード・ロック由来の伝統・様式美をちゃんと感じさせるのも素晴らしい。バラードの#4「Shock Waves」、キャッチーな#6「Nightless City」なども素晴らしく、VOW WOW最高傑作というのみならず、ジャパニーズHR/HMを代表するアルバムとの呼び声も高いアルバムである。

VOW WOW
CYCLONE
82
サイクロン (1985)

東芝EMIに移籍(前作はVAPからのリリース)して発表されたセカンド・アルバム。前作に数曲存在していた日本語詞の楽曲が姿を消して全曲英語になり、70年代を大いに引きずっていたKeyの音色もだいぶ80年代っぽくなった。その結果、前作に残っていた「昭和の歌謡ロック」的な面影は一気に影を潜め、だいぶ洋楽HR/HMっぽくなってきた。人見元基のパワー、声域、英語の発音、総てにおいて国内ロック・シンガー史上トップ・クラスと言えるその圧倒的な歌唱はまさに「日本人離れした」という形容が相応しい。イントロ的な小インストの#1「Premonition」から名曲の誉れ高いダイナミックなハード・ロック・チューン#2「Hurricane」の流れは非常にカッコいい。BOW WOWの時代から彼らは基本的にはブリティッシュ・ハード・ロックからの影響が強かったが、本作ではシングルにもなった#5「U.S.A.」(曲名からしていかにもだが)に代表されるようにアメリカ的なコマーシャリズムを感じさせる楽曲が登場しているのも新味。ただ、そのアメリカンなタッチのハード・ロックの出来が今ひとつ彼ららしい煽情力に欠けるのが残念。組曲というわけでもないのにB面(当時)冒頭にあたる#7、#8という小曲の連発という構成にはやや疑問もあるし、2分未満の小曲をカウントから外すと実質8曲というボリュームの少なさもあって、今ひとつ「渾身の一作」に感じられないのがちょっともどかしい。

VOW WOW
BEAT OF METAL MOTION
83
ビート・オブ・メタル・モーション (1984)

75年の結成以来、山本恭司(Vo, G)を中心に9枚のアルバムを残し、AEROSMITHやKISSの来日公演の前座を務めたり、「モントルー・ジャズ・フェスティバル」や「レディング・フェスティバル」といった海外のロック・フェスティバルに参加したりと、「洋楽ロック寄り」の活動を行なってきたBOW WOWが、1983年、斉藤光浩(Vo, G)の脱退を機に元NOIZの人見元基(Vo)と、元MOON DANCERで、ツアーのサポートを務めていた厚見玲衣(Key)を加入させて「再編」されたバンドのファースト・アルバム。バンド名を変更したことは「BOW WOWの曲は一切演奏しない」という刷新の意志の表れ。BOW WOWの後期から既にその萌芽は見られたが、欧米における「ヘヴィ・メタル」の勃興に感化されたと思われるハードなエッジが強化されているのが特徴。とはいえ、10年近くやってきたものがいきなりまっさらになるはずもなく、半数の楽曲が日本語詞ということもあって随所にBOW WOWに通じる「昭和日本のロック」的な臭いも感じられる。こういった部分を「バラエティに富んでいる」と感じるか、「古臭くてダサい」と感じるかで本作への評価は分かれるかも。メンバー(特に厚見玲衣)のルーツであるプログレの素養が時折垣間見えるのも興味深い。#8「Sleeping In A Dream House」は人見元基の強力な絶唱が生きる名バラードとの評価が高い。

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