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VIRGIN STEELE
INVICTUS
84
インヴィクタス (1998)

前「MARRIAGE SAGA」2部作が好評を博したためか、続編という形で発表されたアルバム。ヨーロッパを旅行していた際、アムステルダムのCDショップのアウトレットコーナーで日本盤が7ユーロで売られているのを発見し、購入した。日本盤ボーナストラックが入っているわけでもないのに日本盤買うオランダ人はいないわな。基本的に日本盤は海外では高価だし。本作はMOONMADNESSのJIN氏が「漢系メタル史上の最高傑作!」と絶賛し、98年度のベスト・アルバムに選出するほどのアルバムだけに、前2作を超える完成度で勇壮かつドラマティックに聴かせる。特にエンディングを飾る、10分を超える大作「Veni,Vidi,Vici」(カエサルの有名なセリフ「来た、見た、勝った」のラテン語ですね)のドラマティックさはまさに感動モノで、壮大なサーガを締めくくるのに相応しい名曲。ただ、前2作でも感じていたギターとドラムの「音の薄さ」が、どうもこのドラマティックで大仰な音楽にマッチしていないような…。厳密に言えば音が薄いというより、「生々しくライヴ感に満ちた音」なのだが(実際、音質は決して悪くない)、こういうドラマティックに構築された音楽にはもっと重厚な音作りが相応しいのではないだろうか。とはいえ、コンセプトに基づいた構成からアートワークまで、非常に完成度高くまとめられた力作です。

VIRGIN STEELE
THE MARRIAGE OF HEAVEN AND HELL PART2
79
マリッジ・オブ・ヘヴン・アンド・ヘル パート2 (1996)

前作に続くコンセプト・アルバムの第2部。基本的には前作とほぼ同時期に収録されたようだが、日本盤に掲載されているインタビューによると後から付け足したものもあるようで、恐らくそれは、前作に比べて強調されているシンフォニックなキーボードによるオーケストレーションなのではないかと思う。シンフォニックなアレンジが強調されたため、もともとドラマティックな彼らの音楽性が一層大仰なものになっている。それは、アルバム冒頭の「A Symphony Of Steele」のイントロを聴いただけでも明らか。10分におよぶ大作「Emalaith」の存在もあり、前作にわずかながら漂っていたハード・ロック風味も消えて、ドラマティック路線に焦点が絞れた印象。前作に注目したドイツを中心とするヨーロッパのメタル・ファンは本作を熱狂的に歓迎し、一躍ヨーロッパでは人気バンドの地位を確立、その音楽性は「エピック(叙事詩)・メタル」と呼ばれるようになった。正直、そこまで良いか? と訊かれると個人的にはそうでもないのだが(苦笑)、Voの声質や歌い回しがMANOWARのエリック・アダムスにそっくりで、音楽的にも共通点があることから、MANOWARが大人気を誇る当地のファンには響きやすかったのかも。それにこの時期こういうドラマティックな音楽をプレイするバンドの数も少なかったしね。

VIRGIN STEELE
THE MARRIAGE OF HEAVEN AND HELL PART1
78
マリッジ・オブ・ヘヴン・アンド・ヘル パート1 (1995)

ニューヨーク出身のVIRGIN STEELEがヨーロッパで人気を確立するきっかけとなった2部構成コンセプト・アルバムの第1部。もともと彼らはかの大手メタル・インディーズ「MUSIC FOR NATIONS」の第1弾アーティストとしても知られるベテランバンドで、デビュー当初からアメリカのバンドには珍しいクラシカルなエレメントを持った正統派ヘヴィ・メタルをプレイしていた。80年代後半から90年代の初頭にかけてはメイン・ストリームなハード・ロックへの色気を見せるなど迷走の感があり、実際人気も低迷していたが、本作では原点へと回帰したドラマティックな作風に回帰している。と、まるでCDのライナーノーツのような文章になってしまったが、サウンドの印象をおおざっぱに言うとキーボード多めのMANOWARって感じ? 曲調は勇壮かつドラマティックでなかなか良いのだが、ギタリストが一人であることが素直に出てしまった厚みに欠ける音像が、イマイチドラマに浸るには物足りなかったり。個人的に本作で一番気に入った曲は勇壮な#3「Blood And Gasoline」だが、こういうドラマティックな曲に「ガソリン」なんて単語を使ってしまうのが、アメリカ人の感性の理解不能なところ。まぁ、アメリカ人にとってはファンタジーといったら「指輪物語」ではなく「コナン」だということなんだろうね。

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