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VALENTINE
FALLING DOWN IN MISANTHROPOLIS
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フォーリング・ダウン・イン・ミスアンスロポリス (2007)

前作が長いインターバルを置いて発表された作品だったのに対し、本作は約1年という短いスパンでリリースされた。しかし、「前作からの作風の変化値」という意味では過去最大かもしれない「問題作」である。前作にも一部ロビー・ヴァレンタインらしからぬヘヴィなパートが導入されていたが、本作はギター・サウンド全体が人によってはMARILYN MANSONを引き合いに出すほどのモダンなヘヴィさを湛えており、過去最高にヘヴィなアルバムである。#4「Save Myself」のような、明らかにEVANESSENCEに影響を受けたと思しき楽曲の存在もまた、一層ダークでヘヴィな印象を強化している。とはいえ、VALENTINEの個性であるQUEEN風のメロディアスなコーラス・ハーモニーは健在だし、サウンドはヘヴィであると言ってもロビー・ヴァレンタインの細い歌声が埋もれない程度のものであるから、しり込みするほどのことはない。様々な方向性の曲が雑多に詰め込まれ、いささか散漫な印象だった前作よりも個人的には楽しめた。とはいえ、ディスコ・ビートがフィーチュアされた異色のダンス・チューン#5「Rock Me Like A Hurricane」が一番インパクトが強く感じられてしまうあたり、かつてに比べてメロディの冴えが鈍っているように思われるのは否めない。#9でABBAの、#10でQUEENのカヴァーをそれぞれプレイしており、メロディのルーツは変わっていないことをアピールしているが、いささか「迷い」を感じる作品である。


VALENTINE
THE MOST BEAUTIFUL PAIN
81
ザ・モスト・ビューティフル・ペイン〜愛憎美劇 (2006)

VALENSIAとのコラボレーション・プロジェクト"V"の第二弾アルバム「VALENTINE VS VALENSIA」(2002)のリリース後、創作意欲旺盛な彼にしては珍しい4年ものブランクを経て発表されたアルバム。ここ数作日本でしかアルバムが発売されない状況が続いていたが、本作はイタリアの新興メロディック・ロック・レーベル「Frontiers Records」によって欧州での発売も実現している。本作の制作に先立ち、とてもつらい失恋を経験したとかで、本作のタイトル「最も美しき痛み」とは、そのことを指しているようだ。その経験は音楽にも影響を与えたようで、#1のようなヘヴィなギター・リフをフィーチュアした曲はこれまでになかったものである。一方で#4、#6、#11など洗練されたポップ・センスが感じられる楽曲や、哀愁をたたえたバラードなどもあり、かつてのような過剰なドラマティックさこそ控えめだが、相変わらず優れたメロディ・メーカーとしての資質を発揮している。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のテーマ曲のQUEEN風アレンジ#15を収録するなど、これまでにない遊び心も感じさせ、自家中毒めいたマンネリ感はかなり払拭されているが、これまで彼の作品を貫いてきた美学が薄れ、やや散漫な印象も受ける。日本盤はボーナス3曲を含めて20曲と、やたらに曲が多いのもマイナスポイント。何よりジャケットのアートワークや、日本盤の曲クレジットにおける"I"を「愛」と置き換えるセンスがなんとも安っぽくて、残念な感じ。

VALENTINE
BELIEVING IS SEEING
81
ビリーヴィング・イズ・シーイング (2000)

デビュー当時から兄弟分のように語られてきたVALENSIAとのコラボレーション・プロジェクト"V"を結成、アルバムを発表して来日公演も行なった後にリリースされた通算6枚目、VALENTINE名義では4作目となるアルバム。前作がやや不評だったことを受けてか、我々日本人がロビー・ヴァレンタインらしい、と感じるオペラ的というかミュージカル調というか、ありていに言えばQUEEN風の雰囲気が復活し、前作ではあまり目立っていなかったピアノが再びかなりフィーチュアされるようになっている。そんな本作は、通常であればイントロ然とした#2から始めるべき所を、あえてバラードの#1「Dear Dad」からスタートしていることに象徴される通り、ややおとなしい作風である。もちろん文句なくメロディアスであり、ドラマティックな展開も、印象的なコーラス・ハーモニーもあって、彼の世界観の中ではあるが充分な楽曲のバラエティもある。しかし、元々そこが売りではないとは言え、HR/HM的な要素があまりにも薄すぎて、躍動感や力強さに欠けて聴こえるのは否めない。3rdや4thの時期のようなおもちゃ箱的というか、遊園地的な明るいムードも#5や#10を除くと控えめで、全体的に落ち着いたムードが漂っている。人気的な意味でも勢いが落ちている所にこういう「良質ながら地味」な作品を出すというのはあまり得策ではないような気がする。

VALENTINE
NO SUGER ADDED
84
ノー・シュガー・アディッド (1998)

前作はロビー・ヴァレンタインの世界観が極限のスケールに達したと言っても過言ではない傑作だったが、世界的なトレンドとは真逆の音楽性のため、結局日本以外ではリリースさえされなかった。また、前作完成後に父親を亡くしたことで、非常に精神的に落ち込んだ状態になっていたという。そういう状況が影響したのか、これまでその才能を奔放に深化させてきた彼の作風に若干の変化が感じられる。ベースとなる音楽性に揺らぎはないが、前2作で顕著だった過剰なまでの大仰さやクラシカル風味が抑えられ、楽曲がコンパクトというか、よりオーソドックスなメロディアス・ハード・ロックのフォーマットに収まるものになっている。そのことをして「砂糖無添加」というタイトルになっているのかと思うが、個人的にはやや鼻についていた妙に演劇的な楽曲が収録されていない本作はセカンドの作風に近く、一般的なメロディアス・ハードのファンにとっては聴きやすいのではないかと感じる。PRINCEみたいなセンスの曲名を持つ#7「Back 2 Mars」が特にいい。#5「The Sulky Shuffle」はセカンド「THE MAGIC INFINITY」からカットされた「Only Your Love」のカップリングだった曲で、参加メンバーのクレジットから推察するに#8「Blinded By Love」も同時期の古い音源と思われる(本作ではその2曲以外はロビー・ヴァレンタイン自身が全てのバックの演奏を手掛けている)。その2曲に加え、#4「Love Never Dies」がZINATRA時代の、#11「Never II Late」が1st AVENUE時代の楽曲のリメイクであるなど、過去のマテリアルを使い回しているあたり、これまで溢れんばかりの才能を示し続けてきた彼にしてはネタ切れ感を感じさせるのがやや心配。

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VALENTINE4 -UNITED
86
ヴァレンタイン4 -ユナイテッド (1997)

前作はポップ・ミュージック史上まれに見る音楽的独自性を遺憾なく発揮した傑作だったが、世界的なR&B / HIP-HOPブームなどもあり、彼の音楽は日本以外では完全に無視されていた。そして遂に日本のポリドールと直接契約を交わして発表されたソロとして4作目、VALENTINE名義では2作目となるアルバム。当初曲作りが捗らず、刺激を得るために2ヶ月ほど大阪に滞在することで創作意欲が触発されたという本作は、前作がやや欧州人として心のルーツに帰るかのような、誰もが心の奥に秘める童心の世界を具現化したかのようなある種内省的作品だったのに対し、音楽への愛と情熱がポジティヴに炸裂する外向的な作風となっている。とにかくそのスケール感は浮世離れしており、彼が天才であることを遺憾なく伝える作品ではある。#2、#5、#8、#11などに端的に顕れたまるで世界を、いや宇宙を愛とロマンで埋め尽くさんとする圧倒的なスケール感、そして神々しいまでの輝きは他に類を見ないもので、ある意味ロビー・ヴァレンタインの創造する音楽世界はここでひとつの頂点を極めたとさえ言えるかもしれない。ただ、個人的にはちょっと「お腹いっぱい」で、収録曲に幅を持たせるために書かれたと思しき楽曲にあまりピンとこないというのも正直な所。

VALENTINE
VALENTINE
87
ヴァレンタイン (1995)

前作そして同時に日本盤リリースされたデビュー作が、メロディアスなサウンドを好む日本のHRファンたちに大好評を博し、本人のルックスに華があったこともあり、一躍「ネザーランドの貴公子」などと呼ばれる人気者となったロビー・ヴァレンタインのサード・アルバムにして、バンド「VALENTINE」名義でのファースト・アルバム(VALENTINE名義での初音源は、本作の半年前に発売された阪神・淡路大震災へのチャリティ・シングル「Hand In Hand」)。本作のオープニング・ナンバーは「God」。まさに神曲と呼ぶに相応しいこの曲における、バラード風に始まり、途中ではパワー・メタルばりの疾走もはさんで大胆に展開していく構築の妙は、彼が生み出した楽曲の中でも屈指の完成度と言えるだろう。この圧倒的な名曲のインパクトの後では、メロディアス・ハードの秀曲#2「Where Do We Go From Here」も霞んでしまう。しかし、その後はややHR/HM色の薄い、メルヘンチックでロマンティックな「ロビー様ワールド」が全開。いったいこの音楽をソロ名義ではなくバンド名義でやる意味がどこにあるのかと訝ってしまうほどに孤高の世界観を展開する。ただ、このおとぎの国で童心に返されるようなサウンドは、音楽としてのクオリティは高く、QUEENですらここまで徹底できなかった欧州趣味が圧倒的な個性を放っているが、HR/HMとしてはいささか刺激に欠けるかも。とはいえ終盤の盛り上がりは素晴らしく、また、物悲しくも美しい、映画音楽のような日本盤ボーナス「Remi」も忘れ難い佳曲。

ROBBY VALENTINE
THE MAGIC INFINITY
88
マジック・インフィニティ (1993)

日本デビュー作となったセカンド・アルバム。ほぼ全てのパートをロビー・ヴァレンタイン本人が担当した前作と異なり、バック・バンドのメンバーを固定して制作した本作は、前作に比べてバンドっぽい整合感のあるサウンドに仕上がっており、彼のカタログの中でもメロディアス・ハード・ロック然としたポピュラリティの高い作風かもしれない。その初期QUEEN meet JOURNEY的産業ロックを思わせるサウンドは、和田誠氏をはじめとするメロディ重視派の評論家やBURRN!誌などの絶賛を受け、一躍メロディ派マニアたちの間でセンセーションを巻き起こしたのも頷ける高品質な作品である。前作に比べると楽曲はコンパクトになり、多くの曲が4分台にまとまっているが、それでも十二分にドラマティックな起伏を持ち、QUEEN由来のコーラス・ワークが劇的な印象を強化する。オープニングのタイトル曲からその個性は明確に打ち出されているが、中でも#5「No Turning Back」の構成の妙は白眉といえるだろう。むろんそれ以外の曲も素晴らしく、捨て曲などは皆無、ほぼ全曲、並のバンドであればキメ曲クラスの楽曲が揃っている。当時の日本における盛り上がりっぶりは、「LIVE & DEMOS」という、文字通り単なるライヴ音源とデモ音源だけの商品が急遽発売されるほどだった。

ROBBY VALENTINE
ROBBY VALENTINE
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ロビー・ヴァレンタイン (1992)

元LINE〜1ST AVENUE〜ZINATRAのKey奏者としてマニアには知られていたロバート・ケンペことロビー・ヴァレンタインが、母国の「Polydor」と契約して発表したソロ・デビュー・アルバム。デビュー・シングルとなったバラードの「Over And Over Again」が母国オランダのチャートで最高6位にランクされる大ヒットとなり、本アルバムも18位まで上昇するスマッシュ・ヒットとなった。日本ではセカンド・アルバム「THE MAGIC INFINITY」と同時に発売され、メロディアス系HR/HMファンの間で大いに話題となった。そのサウンドはQUEENに強く影響を受けたというのも納得の、ゴージャスで大仰なコーラス・ハーモニーをフィーチュアした超メロディアスでドラマティックなサウンドが展開されており、初めて聴いたとき、「メロディの洪水」なんていう陳腐なフレーズが思い浮かんだほどだ。最初の1曲を聴いた時点で彼が天才メロディ・メーカーであることを確信させられるその音楽は、センチメンタルと呼べるほどにロマンティックであり、QUEENのメロディアスでドラマティックな要素だけを濃縮還元したかのようなそのサウンドは圧倒的なインパクトを誇っている。これだけの作曲能力を持ちつつ、本作の演奏は一部を除いてほぼロビー・ヴァレンタインが自ら手掛けており、そのマルチ・プレイヤーぶりにも感服させられる(やや細く甘い歌声は評価が分かれるかもしれないが、音楽にはマッチしている)。天才とはこういう人のことなのですね。

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