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TRICK OR TREAT
RABBITS' HILL PT.1
83
ラビッツ・ヒル パート1 (2012)

「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」時代のHELLOWEENを思わせるサウンドによって前作がメロスピ・マニアの間で評判になり、さらにアレッサンドロ・コンティ(Vo)がLUCA TURILLI'S RHAPSODYのシンガーに抜擢されたことでさらに注目度を高めた彼らのセカンド・アルバムが、ちょうどハロウィンの時期(10月24日)に発売された。Drの交代を経て発表された本作は、72年にイギリスのファンタジー作家、リチャード・アダムスが著した児童文学のベストセラー、『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』をモチーフにしたコンセプト・アルバムである。本作のエンディングを飾る#12「Bright Eyes」は79年に制作された同作のアニメのテーマ曲としてアート・ガーファンクルが歌い、全英No.1に輝いた楽曲のカヴァー。今回あまりに多くのアイディアが生まれたため、1枚のアルバムにまとめることができず、いずれ「Part 2」を発表するつもり、とのことだが、アルバム2枚に渡るコンセプト作、というのも非常に「KEEPER的」で、ニヤリとさせられる。前作に比べてハッピーなムードはやや控えめで、作品世界に合わせてか欧州トラッド/フォーク風なアレンジを増量してドラマティックなムードを強め、パワー・メタリックな楽曲のみならず、キャッチーな#6やジャジーなインスト小曲の#10なども収録。楽曲の幅を広げたサウンドは、人によっては散漫に映るかもしれないが、より成熟した音楽性を示すものだろう。バンドの確かな音楽的素養を示す一作。#2にアンドレ・マトスがゲスト参加。

TRICK OR TREAT
TIN SOLDIERS
84
ティン・ソルジャーズ (2009)

イタリアのメロディック・パワー・メタル・バンドのセカンド・アルバムにして日本デビュー作。バンド名は近年日本でも有名になってきた、10月31日のハロウィンの際に仮装した子供たちが各家庭を回ってお菓子をもらう際に発する決まり文句。察しのいい方はこれでピンと来ると思うが、彼らは元々02年にHELLOWEENのカヴァー・バンドとしてスタートしたバンドである。Voの歌声がマイケル・キスクに似ていることもあってマニアの間で評判となり、オリジナル曲でアルバムを作ってみた所、これが好評だったのでこうしてセカンドの制作、そして日本盤のリリースにこぎ着けた。自ら「ピュア・ハッピー・メタル」を標榜し、HELLOWEENからの影響を公言して作り上げたそのサウンドは、ちょっとコミカルな雰囲気を醸し出す部分も含め、「ヴァイキーのHELLOWEEN」そのもの。冒頭のSEに続く#2こそ、いささか能天気過ぎて抵抗があったが、アルバムを聴き進むとちゃんと哀愁やドラマティックな要素もキッチリ押さえていて、なかなか惹きつけてくる。特にアルバム後半がいい。サウンド・プロダクションが、大手レーベル所属ではない割にはマトモながらやや奥行きに欠けるのはやむを得ないとして、近年のこの手のバンドにしてはシンフォニックな要素やクワイアなどの装飾も控えめな分、物足りなさを感じる人もいるかもしれない。しかしだからこそ楽曲そのものの良さで勝負できていることが明らかになっている、とも言える。ミケーレ・ルッピとマイケル・キスクがゲスト参加。


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