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STORMWARRIOR
THUNDER & STEELE
84
サンダー・アンド・スティール (2014)

ドラマーのTBスティールことヘンドリック・ティースブルンメルが脱退、代わってSUICIDAL ANGELSやDEW-SCENTED等のプロデューサー/エンジニアとしても知られるヨルグ・ウケン(元NIGHTFALL他)を迎えて制作された5作目のフル・アルバム。珍しくイントロダクションもなく、いきなり疾走チューンが叩きつけられる本作は、どちらかというと「作り込み」が感じられた前作に比べると、「勢い重視」な姿勢が感じられる。キャリアを重ねても守りに入らない、ヘヴィ・メタルの初期衝動に忠実なサウンドは、オスの本能を刺激する。もちろんただ勢い任せなだけではなく、ヘヴィ・メタルの美学に満ちたリフ・ワークや、随所に登場する煽情的なリード・ギターのフレーズの冴えは素晴らしく、文句なしに心を高揚させてくれる。音楽スタイルやヴォーカルなどはB級かもしれないが、B級ならではの美学を迷いなく追求し、自分たちにできることに全力投球する姿勢が美しい。疾走感のあるメタルだが、北欧あたりのシンフォニックなKeyがフィーチュアされた小綺麗なメロディック・スピード・メタル・ファンよりもENFORCERなどのNWOTHMに括られるようなバンドのファンの方が共鳴できるサウンドかもしれない。もちろん初期HELLOWEENやRUNNING WILD、GRAVE DIGGERなどの「ジャーマン・メタル」が好きな人は必聴。こいつらにはメタルの才能がある。熱いぜ。

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HEATHEN WARRIOR
83
ヒーゼン・ウォリアー (2011)

このバンドはアルバム・リリースごとにちょこちょことメンバーが変わっているが、今回はDrがファルコ・レシェフトからヘンドリック・ティースブルンメルに交代。所属レーベルを『Massacre Records』に移籍して発表された4作目のアルバム。楽曲タイトルのスペリングをわざわざ古ゲルマン語に近いものに変えるなど、彼らがこだわってきたヴァイキング的世界観をこれまで以上に強化しつつ、音楽的には成熟の度合いを増している。もちろんピュア・メタルとでも形容すべきサウンドの基本線に変更はないが、楽曲の緩急のつけ方、展開、ツイン・リードのフレーズの練り込みなど、これまで以上に幅を広げ、初期の彼らに感じたような疾走一辺倒のゴリ押し感はだいぶ薄れている。あえて言うなら初期HELLOWEENやRUNNING WILDのようなジャーマン・パワー・メタルの王道路線から、JUDAS PRIESTやIRON MAIDENのようなよりクラシックで正統的なヘヴィ・メタルに近づいたと言ってもいいだろう。前作が素晴らしかったので期待していたが、今回も#4を筆頭にその勇壮な曲調に胸が熱くなるトゥルー・メタル・チューンが揃っている。ただ、成熟の代償とでも言うべきか、全体的に若干スピード・ダウンした分、前作のような鬼気迫る勢いはやや薄れた感も。

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HEADING NORTH
87
ヘディング・ノース (2008)

ブラック・ソードことユッシ・ツィマーマン(B)の脱退を受け、MERCYFUL FATEの前身バンドであるBRATSのメンバーだった大ベテラン、イェンツ・レオンハルトが加入して発表された4年ぶりのサード・フル・アルバム。今回はカイ・ハンセンのプロデュースを離れ、ピート・シルーク(IRON SAVIOR)をミックスに、トミー・ハンセンをマスタリングに迎え、セルフ・プロデュースにチャレンジしている。正直カイ・ハンセン絡みということで聴いていたバンドなので今回は購入を見送ろうかとも思ったが、GAMMA RAYのサポートとして行なわれた前回の来日公演も観てしまった縁もあるし、「お付き合い」のような気分で聴いてみた。そしたらこれが大正解、メチャメチャカッコいいじゃないですか! イントロである#1に続くタイトル・トラック#2のサビで鳥肌が立ちました。その後も全曲勇壮でドラマティックな、正統派のピュア・メタル・チューンが続き、男の魂を鼓舞してくれる。ミドルの#7などに顕著な哀愁が全編を包み込んでおり、それがまた劇的さを引き立てグッと来る。Voのラーズ・ラムケの声はカイ・ハンセン似の悪声であり、そういう意味で決してA級ではないし、近年の洗練されたフィンランドあたりのバンドと比べるとどうにも無骨で垢抜けない音ではある。しかし、こういうサイトがこういう音を褒めなかったら、誰がこういう音楽を支えるんだ! なんて柄でもないことを考えてしまいたくなるほどの、メタルに対するひたむきさは感動的。ジャケを見てもおわかりの通り、歌詞世界はヴァイキング的だが、「ヴァイキング・メタル」などという近年のトレンド・ワード(?)は彼らには軽薄すぎる。

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NORTHERN RAGE
81
ノーザン・レイジ (2004)

またもやカイ・ハンセンのプロデュースで制作されたセカンド・フル・アルバム。基本的には前作を踏襲した正統的なパワー・メタル…って言うか、このバンド、変わりようがあるのかな?(苦笑)。このカイ・ハンセンとロックン・ロルフ(RUNNING WILD)を足して2で割ったような不器用なVoじゃこういう音楽しかできないよなあ…。スラッシュをやれるほどパワフルでもないし。まあでも順当に成長しており、歌メロの煽情力は明らかに前作以上で、相変わらず速い曲ばかりプレイしていることもあって、なかなかの高揚感を味わわせてくれる。ある意味メロディック・スピード・メタルと呼んでもいい音楽なのだが、例えばSONATA ARCTICAなどを好む人が彼らの音楽を気に入るかというと、ちょっと無骨過ぎるかな、いう気がする。前作同様、同じような曲が続くこともあって一本調子な感は否めず、後半ややダレるのが難だが、どの曲もなかなかよく練り込まれており、ピュア・メタル・ファンであれば楽しめる1枚。変に音楽性を広げたり、方向性を変えたりすることなくアルバムに起伏を作ることができれば、化けるんじゃないかな。しかし前作に引き続いて北欧神話をベースにした、ヴァイキングっぽいモチーフの歌詞・ジャケットとなっているが、ひょっとして彼らは「ヴァイキング・メタル・バンド」なのか?(笑)

STORMWARRIOR
HEAVY METAL FIRE
76
ヘヴィ・メタル・ファイア (2003)

ドイツの若手メタル・バカ筆頭、STORMWARRIORの8曲入りミニ・アルバム。メンバー・チェンジがあり、Gがサイスウィルダーからライトニング・ブレイドに、Bがハマーロードからブラック・ソードに、Drがイーヴル・スティールからドゥームライダーにチェンジしている(…書いていてバカバカしくなる芸名だ)。彼らが前作デビュー・アルバム発表前にリリースした「METAL VICYORY」「BARBARIC STEEL」「POSESSED BY METAL」「SPIKES AND LEATHER」という4本のデモ作に収録されていた楽曲のリメイク&リマスターを中心に、新曲#1「Odin's Warrior」を加えて構成されている。#8「Attack Of The Metal Hellstorm」はBESTIAL DESECRATIONなるドイツのマイナーなスラッシュ・メタル・バンドのカヴァー。基本的に音楽性はデビュー・アルバムに収録されていた愚直な正統派パワー・メタルで、前作が気に入った向きであれば満足できるはず。同じドイツのWIZARDと全く同じ方向性ではあるが、こっちの方がフックに富んでいていいね(特にギター・ソロにおける盛り上げのセンスが素晴らしい。さすがはカイ・ハンセン・チルドレンというべきか)。とりあえずタイトルとジャケットでメタラーなら「買い」でしょ(笑)。

STORMWARRIOR
STORMWARRIOR
80
ストームウォリアー (2002)

HELLOWEENを生んだドイツはハンブルグ出身のメタル・バカ集団のデビュー・アルバム。同郷のよしみか、なんとカイ・ハンセン(GAMMA RAY)がプロデュースを手掛けている上、数曲でゲスト参加までしている。カイのみならず、同じくGAMMA RAYのダーク・シュレヒター(G)および、HELLOWEENのマーカス・グロスコフ(B)も参加している。まさにジャーマン・メタルのサラブレッドといった感じだが、それでもなお「メタル・バカ」と呼びたくなるのは、メンバーの名前が原因である。サンダー・アクス(Vo)、イーヴル・スティール(Dr)、サイスウィルダー(G)、ハマーロード(B)。…ほら、バカでしょう?(笑)。しかしまあ愛すべきバカであるのは確実で、その音楽もまた正統的なヘヴィ・メタルを愛するものであれば嫌いになれないタイプのサウンドである。端的に言ってしまえばカイ・ハンセンがいた頃のHELLOWEENやGRAVE DIGGER、RUNNING WILDといった、洗練されていない80年代のジャーマン・パワー・メタルだが、いわゆる「ジャーマン・メタル」的な臭みは少ないため、NWOBHM世代の頑固なヘヴィ・メタル・ファンにもオススメできる音である。勇壮かつどこか哀愁もたたえた歌メロ、ひたすら前へ前へと突進するリズム、荒々しくもキャッチーなリフ、そしてクライマックスを演出するドラマティックなギター・ソロ、これぞヘヴィ・メタルである。まだまだ一本調子で粗削りだが、その心意気と、カイ・ハンセンに敬意を払って2点プラス。

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