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SENTENCED
THE FUNERAL ALBUM
86
ザ・フューネラル・アルバム (2005)

黒盤。その名の通り、解散を決意し、これが最終作となることを前提とした「葬式」のアルバムである。とはいえ決して湿っぽいアルバムではない。むしろ、彼らのアルバムの中で最もエネルギッシュと言っても過言ではない作風である。冒頭を飾る#1、シングルとなった#2を貫くドライヴ感がそれを象徴している。バラードの#3、初期のデス・メタル的なアグレッションが瞬間風速的に炸裂する短いインストの#5、彼らにしては珍しいブルース・ハープをフィーチュアした#6など前半にはバラエティに富んだ楽曲が揃い、#7以降はコンパクトでキャッチーな(しかし悲痛なまでにメランコリックな)、「元祖ノリノリ系ゴシック」の面目躍如たるナンバーが続く。そして、ラスト・アルバムのラストを飾る名曲#13「End Of The Road」で、本作は文字通りクライマックスを迎える。彼らのファンであった者ならエンディングの長いギター・ソロに彼らが歩んできた道程を重ね、瞼を熱くすることだろう。まさに自らへの完璧なフィナーレである。「終わり」を意識して書かれた曲というのはロック史上に少なからず存在するかもしれないが、この曲はその中でも白眉のひとつに違いない。だが、忘れてはならない。SENTENCEDは決して悲しみに自己陶酔するようなバンドではなく、常にシニカルなユーモアがあった。この感動の名曲の直前に配された小曲#12に残された一節は「こういう瞬間に俺たちはみんな一つだなどという誤解をしてしまいがち」。…さすがだぜ。

SENTENCED
THE COLD WHITE LIGHT
91
ザ・コールド・ホワイト・ライト (2002)

青盤。BURRN!誌のインタビューにおけるサミ・ロパッカ(G)の「ここ(フィンランド)では3つのことしかできない。1つ目はテレビを観ること。2つ目は自殺すること。そして3つ目はミュージシャンになることだ。だから俺たちはバンドを組んで、自殺することについて歌うことにしたのさ」という強烈な名言(ジョーク?)によって一部のネクラな若者達の間でカリズマティックな支持を得た彼らが発表した新しいアルバムは、その名言の主ならではの強力な作品である。一般にHR/HMは、演奏が歌と同等、あるいはそれ以上に主張するのが常だが、ここで聴くことができる演奏は、充分なエッジを備えていながら、あくまでもヴィレ・レイヒアラの、ここにきて格段に艶を増した「歌」を引き立てることに徹している。とにかく1曲目「Cross My Heart And Hope To Die」のコーラスで完全に心を鷲づかみにされた。これぞ激情の名曲である。その後も印象的なコーラスを備えたクオリティの高いメランコリックかつキャッチーな楽曲が続くが、中でもアルバムを締めくくる#11「No One There」は出色で(PVも非常に印象深い仕上がりだ)、まさかメタルを出自とするバンドにこのような曲が書けるとは予想外だった。いや、正直、このバンドにここまでの傑作が作れたということ自体が私にとっては完全に予想外。「痛み」を抱えた全ての人に聴いてもらいたい音楽。

SENTENCED
CRIMSON
84
クリムゾン (2000)

赤盤。この時期、日本では相当に影が薄くなっていた彼らだが、BURRN!誌の前田記者が本作を「絶望音楽の大傑作」と絶賛し、本作からのリーダー・トラック#6「Killing Me, Killing You」がその印象的なPVと共に好評を博したこともあって、(「AMOK」時代ほどではないにせよ)再び日本でも注目を集めるきっかけになった一枚。前作同様ヴィレ・レイヒアラのやさぐれた歌声が絶望と自殺について歌い込む作風だが、#1、#3、#5と前半に印象的な楽曲が多く、前述の#6でハイライトを迎えた後、アルバム後半ではやや楽曲のクオリティが下がっていくような印象があり、楽曲の充実度では前作に劣る。ただ、前作よりはるかに荒々しくささくれだったサウンドが、聴き手の心に荒涼とした感触を与え、これがなんとも印象的なのだ。その後のインタビューによると、当時バンドは欧州での人気上昇に伴う過酷なツアーによって相当に消耗しており、あまりいい精神状態になかったようだ。そのためか楽曲の詰め、作り込みが以前よりあっさりしてしまっているが、逆にそのことがある種ポスト・グランジと呼ばれるような音楽に通じる、メタルを出自とするバンドの音には珍しいリアルで有機的な響きにつながっている(ギター・ソロが目立たないのもそういった印象を強めている)。個人的に彼らの音楽は、絶望音楽というにはいささか無骨すぎて浸りきれないのだが、#6の名曲ぶりに敬意を表し、点数は1点オマケ。

SENTENCED
FROZEN
85
フローズン (1998)

銀盤。前作に残っていた「メタルっぽさ」がさらに後退し、より洗練された形で独自の世界観を深化させた5作目のフル・アルバム。本作より専任ベーシストとしてサミ・クッコーヴィが加入している。程よいテンポにメランコリックかつキャッチーなリード・ギターのメロディが一種ギター・リフ的に楽曲をリードするそのスタイルは、その後21世紀に入ってフィンランドのチャートを席捲した「ノリノリ系ゴシック」の原型といえる。前作からそうだったが、歌詞のテーマは憂鬱、絶望、自己嫌悪、そして自殺に絞られており、恐らく死に顔と思しきジャケット(裏ジャケは絞首紐)と、後に「自殺メタル」などと呼ばれる彼らの世界観が明確に打ち出された一枚だ(そのものズバリ、「The Suicider」という曲もある。ちなみに歌詞はヤバすぎるため記載されていない)。日本ではゴシック・メタル的な扱いを受けていたが、彼らの描き出す暗さは一種のファンタジーであるゴシックのそれとは異なるリアルなものだ。かつて彼らがデス・メタル時代に標榜していた「The Northernmost Killers」から「The Serial Self-Killers」への脱皮を完了し、「ノーザン・メランコリック・メタル」としてのSENTENCEDサウンドを完成させたアルバムである。欧州における彼らの支持を確立したアルバムだが、日本での扱いはこの時期が一番おざなりだった(苦笑)。

SENTENCED
DOWN
81
ダウン (1996)

金盤。脱退したタネリ・ヤルヴァ(Vo / B)に替わってヴィレ・レイヒアラ(Vo)を迎え、ベースはギタリストの片割れであるミーカ・テンクラがプレイしている。新加入のイケメン・ヴォーカリスト、ヴィレ・レイヒアラはなんとデス・メタル・スタイルのヴォーカリストではなく、ややダーティな感触ではあるが「普通声」で歌うスタイルの持ち主である。このデス声の放棄がかつてのPARADISE LOSTを想起させたため、日本での評価は「SENTENCEDがゴシック・メタルになってしまった」という、やや否定的なものであった。しかし、本作におけるSENTENCEDの変化はよりドラスティックなもので、本作時点で既にリフ主体のメタル・サウンドからより広義のロックへとスタイルを拡大、「ゴシック・メタル」などという言葉では括れない音楽をプレイしている。とはいえその後のアルバムに比べると、よりダイレクトに伝統的なメタルを感じさせるアレンジもまだまだ残っているし、そういう意味では本作はメロディック・デス・メタルから後に「ノーザン・メランコリック・メタル」などと称されることになる独自のサウンドへの過渡期の姿を記録した一枚と言えるだろう。#6、#11などは過渡期だからこそ生まれた名曲だ。

SENTENCED
LOVE & DEATH
76
ラヴ・アンド・デス (1995)

「AMOK」の成功を受けてリリースされたEP。本作のリーダー・トラックといえる#1「The Way I Wanna Go」は、前作のメロデス路線を引き継ぎつつ、ゴシック的な要素を導入し、今後の彼らの姿を暗示させる楽曲で、BURRN!誌の前田記者がかなり力をいれて絶賛していた。#5のタイトル曲も同様にゴシック的な要素を感じさせる楽曲。その他の収録曲のうち、#2「Obsession」と#3「Dreamland」はなぜか「AMOK」の日本盤にはボーナス・トラックとして収録されていたので、本作の価値がちょっと薄れてしまっていたが、その分、日本盤には「AMOK」に先立って発表されていたEPから、IRON MAIDENの名曲「The Trooper」の1.5倍速カヴァーなど2曲が追加収録されている。#4はパンク出身のロック・シンガー、ビリー・アイドルのヒット曲「White Wedding」のカヴァーで、ちょっと意外な選曲だが、それほど違和感はない。本作を最後にタネリ・ヤルヴァ(Vo / B)が脱退。

SENTENCED
AMOK
82
アモック (1995)

メロディック・デス・メタル草創期における名盤の一枚として名高い、SENTENCEDのサード・アルバム。所謂デス・メタル・バンドとしてデビューした彼らだが、前作「NORTH FROM HERE」の時点で、フロリダあたりの典型的なデス・メタル・バンドのサウンドとは異なる、メロディを感じさせるコードの流れが楽曲に存在していた。本作ではその路線がさらに押し進められ、そのサウンドは正統的なヘヴィ・メタルにあからさまに接近している。アートワークやロゴデザインなどもそうだが、この当時のメロデスとしてはかなり洗練されていて、発表から10年以上経った今聴いてもそれほど古臭さを感じさせず、当時のDARK TRANQULLITYやIN FLAMESといったスウェーデンのバンドが持っていた「いなたさ」も感じさせないあたりにバンドの地力を感じる。この時期のメロデスのひとつのモデルというべき#3「New Age Messiah」や、もはやデス声を半分放棄して「歌って」いると言っても過言ではない#6「Nepenthe」、ロックとしてのダイナミズムに満ちた#7「Dance On The Grave」あたりが本作における代表曲として語られることが多いが、個人的には#4「Forever Lost」がイチオシ。IRON MAIDENを思わせるリード・ギターと、時に女声コーラスも交えて演出されるひんやりとしたドラマが印象的な好盤。

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