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SECRET SPHERE
PORTRAIT OF A DYING HEART
82
ポートレイト・オブ・ア・ダイイング・ハート (2012)

デビュー以来12年に渡ってVoを務めてきたロベルト"ラモン"メッシーナが、当初本作に入れた歌唱に満足しなかった中心人物のアルド・ロノビレ(G)による録り直しの要請を断り脱退、代わって元VISION DIVINEで知られる実力派シンガー、ミケーレ・ルッピを後任に迎えて発表された通算7作目のフル・アルバム。精神世界にフォーカスしたコンセプト・アルバムである本作の作風は、音楽的な方向性としてはプログレッシヴな雰囲気を漂わせたメロディック・パワー・メタルで、基本的にはここ数作の流れを順当に汲むものである。ただ、その方向性は奇しくもかつてミケーレ・ルッピが在籍していたVISION DIVINEの方向性と同一であり、結果的に、というか必然的に本作の印象はミケーレ・ルッピ在籍時のVISION DIVINEに酷似したものになっている。客観的には前任者よりも強力なヴォーカリストを得てパワーアップしたといって差し支えないが、個人的にはロベルトのナイーヴな歌声による哀愁は、それはそれで魅力的だっただけに、手放しでは喜べない複雑な思いも。ミケーレの存在が前提となって曲作りが行われるであろう次作では、彼の資質を生かしたよりキャッチーな路線に舵を切ったほうがいいかも。

SECRET SPHERE
ARCHETYPE
78
アーキタイプ (2010)

前作発表後、その繊細かつ壮麗なオーケストレーション・プレイによって私にとってこのバンドの魅力の大半を担っていたKey奏者のアントニオ・アガテが脱退。正直前作の出来もやや不完全燃焼だったし、そろそろこのバンドからも手を引くか…と思っていたが、アルバムのアートワークが非常に素晴らしかったため、思わず「ジャケ買い」してしまった。KeyだけでなくGの片割れも交替している本作では、前作同様、メロディック・パワー・メタルとプログレッシヴ・メタルの中間点に位置するようなサウンドを展開、全体としての印象は同じイタリアのDGMに近づいている。危惧していたKeyによるオーケストレーションの魅力が希薄化するのではという懸念については、新Keyの実力か、それともアントニオ・アガテが引き続きアレンジ面でソングライティングに関わっているためか、ダメージは最小限にとどまっている(とはいえ初期ほどのクサさは戻ってきていないのだが)。何だかんだ言って10年選手になるだけあって、サウンド自体はかなり強靭に成熟しており、ロベルト・ラモン・メッシーナのか細い歌声(嫌いじゃない)を除けばかなりB級感は払拭されているが、今ひとつ盛り上がりに欠けるのも事実で、正直初期のB級なクサさが恋しいというのが本音。


SECRET SPHERE
SWEET BLOOD THEORY
77
スウィート・ブラッド・セオリー (2008)

約3年ぶり、通算5作目となるアルバム。またもやドラマーが交代している。本作は1819年にジョン・ウィリアム・ポリダリという人が著した「THE VANPYRE(吸血鬼)」という小説をベースにしたコンセプト・アルバムとなっている。彼らのコンセプト・アルバムといえば傑作2nd「A TIME NEVER COME」がすぐに思い出されるのだが、残念ながら本作はあれほどの仕上がりにはなっていない。アルバム冒頭、CHILDREN OF BODOMを思わせるアグレッシヴなイントロにオッと身を乗り出したものの、その緊張感は長続きしなかった。全体的には前作で回帰したメロディック・パワー・メタル路線で、私好みのはずなのだが、個人的にこのバンドの最大の魅力であると思っているKeyによるクサクサのシンフォ・アレンジが控えめなのが痛い。ひょっとしたらそれはKeyが「引き所をわきまえた」結果なのかもしれないが、もともと過剰気味のアレンジ/アンサンブルに個性と魅力があったバンドなので、単に魅力と個性が薄れる結果になってしまっている。細めのハイトーンというありがちなタイプながら意外に個性的なラモン・メッシーナによる歌メロも、かろうじてコーラスでは耳に残るキャッチーさを演出するものの、ちょっと練りが甘い。もっとドラマを描けるバンドだと思っているのだが…。アートワークも、バックのイラストと実写のオネーチャンがなじんでおらず、非常にチープな印象を与える残念な仕上がり。

SECRET SPHERE
HEART & ANGER
83
ハート&アンガー (2005)

前作が不評だった彼らの、ドラマーをチェンジしてのニュー・アルバム。オビにある「起死回生」というタタキに思わず苦笑。実際前作に欠けていた疾走感がかなり戻ってきているし、生の弦楽器やオペラティックなコーラスの導入もサウンドのスケール感を向上させることに貢献している。GやDrのサウンドもヘヴィさを増し、メタリックな攻撃性を増しているが、皮肉なことにそのことがVoの弱さを際立たせてしまっているという側面もあることは指摘しておく。イントロのDrソロの必要性こそ「?」ながら、壮大なシンフォ・アレンジにグッとくる疾走曲の#2、LABYRINTHのロベルト・ティランティ(Vo)が参加したこれまた高速疾走な#3の流れで、前作で離れかけたメロスパーのハートはガッチリキープでしょ。イントロのトランシーなkeyと印象的なコーラスが魅力の#5などはシングル向きの佳曲。ボーナス・トラックも含めて70分超と、かなり濃密に構築された楽曲が長時間続くため、ちょっと聴き疲れするが、ヘヴィなリフと絶妙なコントラストを描くクッサいkeyのアレンジは依然として絶品で、超ごく一部で「神殿メタル」などと呼ばれているのも個人的には納得。傑作2nd並みにメロディに煽情力が戻ってくれば、相当なお気に入り盤を作ってくれそう。とりあえず前作よりだいぶ良くなったことは確か。


SECRET SPHERE
SCENT OF HUMAN DESIRE
74
セント・オヴ・ヒューマン・ディザイアー (2003)

大手Nuclear Blastに移籍し、心機一転の力作のはずにもかかわらず評判の悪いアルバム。その原因は大きく二つあり、まず疾走感の大幅な減退。典型的なメロディック・スピード・メタル・チューンがほぼ皆無である、というのは、日本における彼らの支持基盤を考えたとき、大きなマイナスだった。ふたつめは、#2、#7、#11といった、これまで築き上げてきた彼らのスタイルから大きく逸脱する、ヘヴィでラフな、ときにアメリカンといってもいい雰囲気を醸し出す楽曲は、まったく彼らの魅力を引き出していない。しかもボーナス・トラックもなんでMANOWAR、それも「Kings Of Metal」なんてマッチョな選曲なのよ。ハッキリ言ってロベルト・メッシーナの声の細さが際立ってしまって気の毒としか言いようがない。#4「More Than Simple Emotion」や#8「Runaway Train」のイントロのような雰囲気で全編行ってくれれば…。実際前述の数曲を除けば彼ららしい叙情性は充分息づいているのだが、メロディにせよ、疾走感にせよ、彼らの本領からは程遠い一枚であることは否定できない。音楽性の幅を広げにかかったのが裏目に出た典型例。

SECRET SPHERE
A TIME NEVER COME
87
ア・タイム・ネヴァー・カム (2001)

B級ながら個人的には非常に期待しているイタリアのSECRET SPHEREのセカンド・アルバムは、四章構成から成るコンセプト・アルバム。依然としてVoは細いし、音質も改善されたとはいえイマイチなのだが、とにかく曲が素晴らしい。#2「Legend」のイントロのピアノからワクワクだが、SAVATAGEを思わせる中間部のカウンター・コーラスパートが印象的なナンバー#3「Under The Flag Of Mary Read」、エンディングの慈愛に満ちたメロディに涙がこみあげてくるシンフォニック・スピード・メタル曲#4「The Brave」に代表される、あきれるほど贅沢なメロディ展開を持つ楽曲群は、B級メタルにあるまじき恐るべきスケール感を感じさせる。サックスとアコースティック・ギターによるインタールード的な短いインストである#5「Emotions」でさえ泣けるんだからヤバいっすよ。暗雲から差し込んだ一条の光のようなバラード#8「The Mystery Of Love」もいいし…。時折不思議なメロディ運びをする細いVo、スラッシュメタル的と言っても過言ではないほどにヘヴィなプレイを聴かせる弾きすぎのG、スネアの連打を多用するけたたましいDr、クッサクサのシンフォ・アレンジを聴かせるKey(このバンドの肝!)とクワイアによって過剰なまでにドラマティックな演出を施された曲展開、どれもA級バンドではありえない、B級メタルならではの要素であるが、それらが渾然一体となって融合したとき、マジカルなケミストリーを生み出し、この名盤を生み出した。トラヴィス・スミスによる幻想的なアートワークも、アルバムのドラマ性を見事に表現していて素晴らしい。これからも挫けずにB級メタルにトライしていこう、という決意をさせてくれたアルバムです(笑)。

SECRET SPHERE
MISTRESS OF THE SHADOWLIGHT
85
ミストレス・オブ・ザ・シャドウライト (1999)

イタリアの新人バンドのデビュー作。全体的には同郷のLABYRINTHあたりに近い、ほんのりプログレ臭漂う、Keyがフィーチュアされた疾走感の強い音楽性。初期「ファイナル・ファンタジー」シリーズや「イース」シリーズに代表されるような、哀愁がかったファンタジーを好む人間ならグッと来てしまうこと請け合いの幻想的なイントロ#1「Dawn Of Time」で幕を開け、その後#2「Age Of Wizard」、#3「Recall Of The Valkyrie」、#4「On The Wing Of Sun」と素敵な疾走チューンが立て続き、ハートを鷲掴み。ただ疾走するだけでなく、印象的なメロディを聴かせるメロウなパートが巧みに組み込まれており、ドラマティックなところが良い。本編最後の大作曲#9「Secret Sphere」のエンディングで、アルバムのイントロの幻想的なメロディが再び還って来たときにはちょっと感動しちゃいましたよ。Voの声は細めで、高音はやや厳しいのだが、声質自体はなかなか魅力的だし、独特の節回しというか、やや音楽理論の定石からは外れていると思われる歌メロのメロディ運びにも味があり、個人的には好きなタイプ。音質は良くないし、ギターがちょっと歪みすぎなのが気になるが、とにかくKeyによる大仰なオーケストレーションと、幻想的な歌メロ、決して一本調子にならない曲展開が素晴らしい。この音質、このVo、このジャケット、普通の人にとっては紛れもないB級アルバムですが、個人的にはかなりハマってしまったアルバムです。

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