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RHAPSODY OF FIRE
DARK WINGS OF STEEL
78
ダーク・ウイングス・オブ・スティール (2013)

中心人物と目されていたルカ・トゥリッリ(G)脱退後、初のアルバム。ギタリストにはバンド結成当時からブレーン的存在だったというロベルト・デ・ミケーリを、ベーシストにはアレックス・ホルツヴァルト(Dr)の兄弟であるオリヴァー・ホルツヴァルトを迎えている。RHAPSODY OF FIREといえば、これまでアルバム複数枚に渡るサーガを歌詞テーマにしてきたが、本作は特にアルバムを通してのストーリーは設定されていない。そして何よりその音楽がルカ・トゥリッリと共にバンドの中核を担ってきたアレックス・スタロポリ(Key)と、その兄弟であり、音楽大学の教授も務めるクラシック演奏者でもあるマニュエル・スタロポリによって作られている、という2点が最大の変化であろう。とはいえ、基本的な音楽性は変わらずシンフォニック・パワー・メタルであり、パッと聴きの印象はこれまでと大きく変わらないが、残念なことに「熱さ」がない。かつてのROFにあった勇壮なヒロイズム、そしてアグレッションがごっそりと抜け落ちており、熱心なファンであればあるほど、ルカ・トゥリッリが抜けて失われたものを痛感させられるのではないだろうか。よく聴けばメロディやオーケストラ・アレンジなどはさすがに練られているし、ファビオ・リオーネの歌唱は相変わらず卓越しており、そういう意味でその辺のフォロワーとは根本的な質が違うのだが、全盛期との比較をしてしまうといささか物足りなさを禁じ得ないというのが正直な所。

RHAPSODY OF FIRE
FROM CHAOS TO ETERNITY
81
フロム・ケイオス・トゥ・エターニティー (2011)

デビュー時から約15年に渡って展開してきた2つのサーガの最終章となる記念すべきアルバム。この期に及んで、これまでライヴでサポートを務めていたアメリカ在住のギタリスト、トム・ヘスが正式メンバーとしてクレジットされている。だからというわけでもないと思うが、前作に続き、かなりギター・オリエンテッドな作風で、シンフォニックな装飾は控え目。ラストの大団円を飾る#9こそ20分に及ぶ大作であるものの、全体的には劇的さを抑えた(彼らにしては)比較的コンパクトでメタリックな楽曲が並んでいる。それらの楽曲の完成度が必ずしも低いわけではないのだが、前サーガを締めくくった「POWER OF THE DRAGONFLAME」にあった圧倒的なクライマックス感に比べるといささか淡白な感は否めず、「ひょっとしてもうこのサーガを続けることに飽きてるんじゃないの?」などと勘繰ってしまった。そもそも制作期間が1年と、15年続いた物語のフィナーレにしては随分短期間で作られているのも気になる。過去の作品の出来と比較して評価をするというのはフェアじゃないかもしれないが、やはり期待していたものが提供されていないという意味で、本作に対して満足や賞賛はいたしかねるというのが本音。今後は物語の縛りから離れ、純粋にシンフォニック・パワー・メタルとしてのカッコよさやメロディの良さを追求してくれることを期待します。

RHAPSODY OF FIRE
THE COLD EMBRACE OF FEAR
76
ザ・コールド・エンブレイス・オブ・フィアー (2010)

久々の復活作となった「THE FROZEN TEARS OF ANGELS 」からわずか半年でリリースされた、7部構成35分に及ぶ大作曲1曲のみが収録された(といっても7トラックに分割されているが)スペシャルEP。楽曲の長大さ、そして「A Dark Romantic Symphony」というサブタイトルが示す通り、パワー・メタル的なアグレッションが強調されていた「THE FROZEN TEARS OF ANGELS 」と異なり、彼らの特徴である映画のサントラのようなオーケストレーションとクワイアを用いたシンフォニックな側面が強調された作品である。本作の歌詞テーマも「THE DARK SECRET SAGA」に関連しているようだが、前作の続き、というわけではないらしく、そういう意味でも前シリーズにおける「RAIN OF A THOUSAND FLAMES」に相当する作品と言えるだろう。全体的に暗めでおとなしい、一歩間違うと退屈になってしまいがちな長尺の楽曲をとりあえず最後まで聴かせるアレンジ力・構成力はさすがだし、端々で煽情的なメロディやコーラスも登場するが、個人的にはやはりどこかにパワー・メタル的な高揚感が欲しかった。ハイライトとなるべき15分におよぶ#3のメイン・リフが恐ろしくB級臭いのも減点対象。

RHAPSODY OF FIRE
FROZEN TEARS OF ANGELS
84
フローズン・ティアーズ・オブ・エンジェルズ (2010)

所属レーベル「MAGIC CIRCLE」との契約を巡るトラブルによって沈黙を余儀なくされていたRHAPSODY OF FIREの「Nuclear Blast」移籍第一弾となる4年ぶりとなるアルバム。「MAGIC CIRCLE」とのトラブルは本作リリース時点では完全には解決していないようだが、とりあえず新作を出せるようになったのはめでたい。「THE DARK SECRET SAGA」の第三章にあたる本作は極寒の地における戦いが描かれている。ようやく物語が佳境に入ってきたということなのか、ややスケール感というか雰囲気重視の作風だった前2作に比べてアグレッシヴなパートが多くメリハリが効いており、その点は良い。例によってクリストファー・リーによる重々しいNaが乗ったイントロに続く#2は彼らのパブリック・イメージをかなり忠実に体現した曲だし、続く#3も、アレックス・スタロポリ(Key)いわく「これまでで最高のギター・ソロ」がフィーチュアされた佳曲。続く#4はバンド史上最もアグレッシヴと言っても過言ではないブラスト・ビートやデス声を取り入れた緊張感溢れる曲。一方#5は欧州トラッド風の楽曲にイタリア語が乗る、このバンドならではの佳曲。歌メロやコーラスに全盛期のような冴えと高揚感が取り戻せていないため後半ややダレるが、全体的には「復活作」と呼んでもいい、なかなかの力作シンフォニック・パワー・メタルに仕上がっている。

RHAPSODY OF FIRE
TRIUMPH OR AGONY
82
トライアンフ・オア・アゴニー (2006)

ライヴ・アルバム「LIVE IN CANADA 2005」とルカ・トゥリッリ(G)の3作目のソロ・アルバムを挟んでリリースされた「THE DARK SECRET SAGA」シリーズ2作目。前作から「MAGIC CIRCLE」の契約と共に北米での活動を本格化させた所、北米エリアでは「RHAPSODY」という名前の使用権を保有している人物がいて、彼らにはその使用権を認めなかったため、バンド名を「RHAPSODY OF FIRE」に変更するハメに。X JAPANのときも思ったが、やっぱり取って付けたような違和感が拭えないが、まあ音楽さえ良ければバンド名など瑣末な問題である。しかし、本作がその違和感を吹っ飛ばすほどの快作かというと微妙な所で、物語の概要を説明するプロローグだった前作から、ようやくストーリー本編に踏み込んだ本作は、物語の序盤ということもあってか、今ひとつ緊張感に欠ける。いやまあ単純にパワー・メタル的な高揚感に欠けるということなんですけれども。ただ、シネマティックなシンフォ・アレンジの完成度はさらに上がっているし、ミドルの曲やバラード的な曲にも味わいがあり、クライマックスとなる16分超えの大作#10もよく練られており、決して駄作などではない。

RHAPSODY
SYMPHONY OF ENCHANTED LAND II -THE DARK SECRET-
85
シンフォニー・オブ・エンチャンテッド・ランズ II (2004)

前作をもって「EMERALD SWORD SAGA」を完結させ、ベスト・アルバム「TALES FROM EMERALD SWORD SAGA」を発表。所属レーベルを「LMP」からMANOWARのジョーイ・ディマイオが主催する「MAGIC CIRCLE」(販売は「SPV」)に移籍し、アルバムで語られるストーリーも「THE DARK SECRET SAGA」という新たなシリーズの始まりと、まさに「新章」というべきアルバムである。ただ、私が本作に初めて接したときの印象は必ずしもよろしくなかった。まず「II」と付されたタイトルが(前シリーズと同じ舞台で、物語的なつながりもあるとはいえ)ブランニュー感に欠ける。そして前作のクライマックス感が凄かっただけに、やはり「新ストーリーのプロローグ」である本作の作風はややストーリーを俯瞰するかのようで「雰囲気もの」に感じられ、73分という長尺もあって、途中ややダレを感じた。ドラマを演出するSEの多さや、名優クリストファー・リーを起用したナレーションも、ある意味豪華だがちょっと退屈。というわけで当初あまりハマれなかった作品なのだが、数年寝かせて聴いてみたら、やはり流石と言うか、前シリーズで培った様々な「技」がちりばめられた音楽のクオリティは高い。過去作で聴いたようなフレーズ/メロディが散見されるのは物語上の必然なのか、単なるネタ切れなのかは定かではないが、いずれにせよトータルで見たときのスケール感は、彼らの成功に刺激されて登場した同系フォロワーの追随を許すものではない。

RHAPSODY
POWER OF THE DRAGONFLAME
90
パワー・オブ・ザ・ドラゴンフレイム (2002)

デビュー以来続いてきた「EMERALD SWORD SAGA」の最終章となる本作。まさに最後を飾るに相応しい力作で、ひょっとして今までちょっと力の出し惜しみをしてたんじゃないの? と勘繰りたくなるような素晴らしい出来。正直、ここ数作で徐々に気付いてきた、スネアドラムが表打ちなために、テンポのわりに疾走感が感じられない、とか、ストーリーを語る歌詞が言葉数の多さを必要としているためにメロディの伸びやかさが発揮されていない、といった欠点はこの作品にもある。しかし、8曲目以降における、クライマックスへ向けての盛り上がりの劇的さはあまりにも見事で、そういった問題を全て帳消しにしたくなるほど。過去の作品の集大成にとどまらず、デス声を使用した「When Demons Awake」や、彼らの母国後であるイタリア語で歌われるバラード「Lamento Eroico」など、新しい試みも多く、意欲作でもある。19分におよぶ最後の曲で、最後にアルバムのイントロに還る、というのも感動的な演出だが、それならむしろファースト・アルバムのイントロに還る方がより感動的だったかも、などと思ったりして。いずれにせよ、あらためてこのバンドの凄さを思い知らされました。充実の名盤です。

RHAPSODY
RAIN OF A THOUSAND FLAMES
81
レイン・オブ・ア・サウザンド・フレイムス (2001)

当初アルバム5枚で完結する、とアナウンスされていた「EMERALD SWORD SAGA」が、前作発表時のインタビューでは、4枚で完結、に短縮されていた。しかし、結局、ミニアルバム扱いながら42分収録と、元々それほど長いアルバムを作ってきたわけでもない彼らからすれば、ほぼフルアルバムに近いボリュームの本作がリリースされたことで、結果的に5枚完結になった。とはいえ、このアルバムで語られるストーリーはいわば外伝というか、周縁的なもので、ここで描かれるストーリーを知っておいた方が、続く完結編を理解しやすくなる、という類のものだそう。恒例の大仰なイントロではなく、いきなりバンド史上最高速の激烈なタイトル曲で幕を開ける本作は…正直言って、やはり満足度は今までのフルアルバムに及ばない。#1で上がったテンションが、#2の牧歌的な短いインストでいきなり削がれてしまったり、#3の13分を超える大作のイントロが無駄に長かったり、やたらナレーションばかり聴かせる曲があったりと、ちょっとメタル的にはカタルシスに欠けるのだ。むろん、個々のパーツを聴いてクオリティに問題があると思える箇所など全くないのだが、聴き終えた後の総体的な印象が薄い。このことは前作でも少し感じたが…。ラストを飾る「The Wizard's Last Rhymes」ではドヴォルザークの「新世界より」を大胆に引用しており、これは非常にインパクトが強いが、他人の作ったメロディで印象に残っても仕方ないよなあ…。ま、つなぎの作品として考えれば、非常に充実していると言えるのだが。

RHAPSODY
DAWN OF VICTORY
86
ドーン・オブ・ヴィクトリー (2000)

前作で僕が冗長さを感じたことを知って反省した…はずもないが、前作と比べ、プログレッシヴな展開が減少し、随分ストレートになった印象。むろん、ストレートとは言っても、彼らのこと、充分にシンフォニックかつドラマティックで装飾過多なサウンドではあるのだが(笑)。あまりにインパクトの強い曲名に思わず笑ってしまったシングル曲「Holy Thunderforce」を筆頭に勇壮なパワー・メタル・チューンをメインにしたアルバム構成はいつになくコンパクトな印象で、胃にもたれそうなくらい濃厚な彼らの音楽にはこれぐらいでちょうどいいのでは。しかし、正直あまりに個性的であり、クドいほどに濃密な彼らの音楽にマンネリ感を覚えるのも事実。曲調にバリエーションがあまりないためか、どの曲を聴いても「以前の作品にこんな曲なかったっけ?」と感じてしまう。要は以前のアルバムを超えるだけのインパクトはないってことか。初めてこのバンドを聴く人にとっては充分高品質なアルバムだと思わせることができるだけのクオリティは備えてますよ、もちろん。個人的にはヨーロッパ民謡をメタル化したかのような「The Village Of Dwarves」が新鮮で印象に残りました。

RHAPSODY
SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS
88
シンフォニー・オブ・エンチャンテッド・ランズ (1998)

前作で一躍ヨーロピアン・メタル・マニアの心を鷲づかみにした彼らのセカンド・アルバム。新宿ディスクユニオンの店内演奏で序盤数曲を聴いて、その場でイッてしまいました(笑)。クラシカルなイントロの「Epicus Furor」から、バンドの代表曲となった感のある名曲「Emerald Sword」の流れは完璧。続く「Wisdom Of The Kings」も昂揚感に溢れ、もうこの時点で昇天。牧歌的な短いインストを挟んでの「Eternal Glory」も7分を超える大作ながら飽きさせない。…しかし、後半、プログレッシヴな印象というか、よりクラシック音楽の要素を強めた楽曲が続き、いかにもヘヴィ・メタル的な爽快感や、彼らの最大の魅力と僕が勝手に思っている、勇壮系のメロディが 少ないこともあり、ちょっと退屈してしまったのも事実。むろん、聴き込めばそれぞれ聴き所の多い、よくできたシンフォニック・メタル・チューンであることはわかるのだけど、前作は最初から終わりまで冗長さなんか微塵も感じさせない名盤だっただけに、点数はこんな感じ。前半のテンションで最後まで続けば前作と同等の評価を与えられたことは間違いない。

RHAPSODY
LEGENDALY TALES
96
レジェンダリィ・テイルズ (1997)

それまでHR/HMに関しては後進国と思われていたイタリアからまさに彗星のごとく登場した驚異のシンフォニック・メタルバンド。楽曲、演奏力共に新人離れした完成度を持つ本作をもって、一躍メタルファンの目をイタリアのシーンに向かわせた。「EMERALD SWORD SAGA」というストーリーに基づく歌詞世界を今後表現し続けていくことが既にこの時点で発表されていた。バンドが途中でポシャる可能性など微塵も考えていないかのようなこのコンセプト、よほどの自信がなくてはできないことであるが、この完成度を見れば、それだけの自信も湧いてこようというもの。まさに完璧である。勇壮にして大仰な曲調、生の弦楽器によるシンフォニックなアレンジ、民謡調な曲も含めて徹底的にヨーロッパの美学にこだわったそのサウンドには一部の隙もない。とにかくラテン語のクワイアによるイントロ#1に続く#2「Warrior Of Ice」のイントロにおけるキーボードのオーケストレーション、そしてヒロイックな昂揚感に満ちた歌メロで完全にノックアウトされました。もちろん捨て曲など無し、どの曲も印象的なコーラスを備えた劇的なメタル・チューンで占められた、まさに好き者には堪えられない至高の名盤。

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