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PRAYING MANTIS
SANCTUARY
83
サンクチュアリ (2009)

NWOBHM30周年に合わせるかのように、ここ数年実質活動停止状態だったPRAYING MANTISが再始動。とはいえ、かつてのメンバーはこのバンドの核であるトロイ兄弟のみで、それ以外のメンバーはそれぞれキャリアはあるようだが、ほぼ無名に近い人物ばかりである。新たなフロントマンであるマイク・フリーランド(Vo)は、特筆すべき個性/実力の持ち主ではないが、このバンドの音楽にフィットする歌唱を聴かせる人物で、このバンドはこういった無難なシンガーを発掘するのが上手い(笑)。そのマイクによる、再出発を宣言するかのような「Fly Again!」というシャウトで幕を開ける本作は、全編に渡っておおよそ彼らのパブリック・イメージに近いウエットな哀愁をたたえたメロディアスHR/HMサウンドが展開されており、往年のファンであれば程度の差はあれ楽しめる好盤。ちょっとメロウな#2のような楽曲や、若干プログレッシヴな感触のある#8などは、彼らならではの哀愁にキュンキュンしちゃう。そしてバラードの#5における泣きは年間ベスト・チューンにノミネート必至の強力さ。沁みるねえ。一方アップ・テンポな#1、#6、#7といった楽曲も勿論カッコいいのだが、以前の彼らほどツイン・リードに露骨なクサみが薄く派手さに欠ける分、アルバムとしてはちょっと地味な印象もある。だが、今回珍しくサウンドもマトモだし、よく練られた叙情が聴き込むほどに胸を打つ、いわゆるスルメ盤だ。


PRAYING MANTIS
THE JOURNEY GOES ON
74
ザ・ジャーニー・ゴーズ・オン (2003)

約3年ぶりの新作となる本作は、何やら打ち切りアニメの最終回のようなタイトルである。これは推測だが、本作を制作する時点で、彼らは「終わり」を覚悟していたのではないだろうか。日本のHR/HM市場が冷え込んできたため、それまでアルバムを発表するたびに行なっていた来日公演が、前作では実現しなかった。そして本作の発売後ほどなくして彼らの日本での所属元であったポニー・キャニオンが洋楽のリリースから撤退。恐らくそのことはメンバーに通知されており、日本が主戦場だった彼らとしては覚悟を決めざるをえなかったのだろう。トニー・オホーラ(Vo)とブルース・ビスランド(Dr)の脱退も、将来を悲観してのものだったのではないか。そして専任Voを補充することなく、かつて一時期このバンドに在籍し、その後RAINBOWやイングヴェイとの活動で名を上げたドゥギー・ホワイト(#2, #4, #6, #8, #10)と、URIAH HEEPやゲイリー・ムーアのバンドでの活動で知られるジョン・スローマン(#1, #5, #9)をゲストシンガーに迎えてアルバムを制作したのも、「次がない」ことを踏まえての判断だったとしたら合点がいく。とはいえそんな半端な状態で作ったアルバムの出来がいいはずもなく、何やらプレイもサウンドも投げやりな感じで、楽曲も妙に実験的というか、彼ららしからぬパートが多い。いくつかの楽曲には光るものがあるが、全体的には散漫な、残念な仕上がり。

PRAYING MANTIS
NOWHERE TO HIDE
83
ノーホェア・トゥ・ハイド (2000)

通算6作目にして初めて専任ヴォーカリストが前作から留任した(苦笑)アルバム。前作に伴う来日公演の後、99年3月に幻のセカンド・アルバムに収録されるはずだった音源をはじめとする発掘レア音源集「DEMORABILIA」が発売され、同99年8月に日比谷野外音楽堂で行なわれたNWOBHM20周年イベント「METAL CRUSADE'99」でオリジナル・ラインナップによるライヴを実現した。一方Voのトニー・オホーラは自身のプロジェクト、HORAKANEのアルバムをリリースするなど、「ガス抜き」的な課外活動を経て発表された本作は、基本的には前作の流れを汲む彼ららしいアルバムとなっている。ただ、前作におけるサウンド面での弱点は改善されているが、楽曲の面について言えば前作ほどのインパクトに欠けるというのが正直な所。いや、特にどこが悪いというわけではなく、これでもそんじょそこらのメロディアス・ハード系のバンドが足元にも及ばないほどメロディ面では充実していると思うし、#5「Future Of The World」は名曲だが、ちょっとメリハリに欠けるかな…。なお、日本盤に遅れて2001年に「FROTIERS」からリリースされた欧州盤には9曲目に「Naked」というボーナス・トラックが収録されており、これがなかなかの佳曲であるという評判を聞いて、わざわざ買い直したマニアは私です(笑)。

PRAYING MANTIS
FOREVER IN TIME
89
フォーエヴァー・イン・タイム (1998)

前作収録後、腕の負傷によって離脱したブルース・ビスランド(Dr)に代わり、元IRON MAIDENのクライヴ・バー(Dr)を起用して行われた来日公演は、ゲイリー・バーデン、クライヴ・バーというオールド・ファンには知名度の高いメンツが揃っていたためか、ライヴ・アルバムとしてリリースされた。しかしその後、アル中を克服できなかったゲイリーが解雇され、バンドはまたもや新たなVoを迎えることになった(ちなみに回復したブルースも復帰)。新たに加入したのは、元ONSLAUGHTでスティーヴ・グリメットの後任を務めていたトニー・オホーラなる人物。結論から言うと、本作は前作の迷走ぶりが嘘のような充実ぶりで、叙情的かつ劇的なマンティス節が全開の傑作である。そしてトニー・オホーラのトミー・ハート(FAIR WARNING)を思わせる熱い歌声がサウンドにこれまでにない力強さを与え、より劇的な印象を強めている。もうオープニング#1のイントロのツイン・リードで昇天モノだし、#3は、これまで数々の「クサい曲」を生み出してきたこのバンドの歴史の中でも最高レベルのクサさを誇っており、この手のメロディが好きな人にとっては悶絶だろう。その他の楽曲も熱い叙情メロディが躍る名曲揃いで、楽曲のクオリティについては名盤「A CRY FOR THE NEW WORLD」に勝るとも劣らない内容である。ただ、惜しむらくはポコポコとマヌケなスネア・ドラムのサウンドで、この素晴らしいアルバムにおける唯一の弱点となっている。プロデュース&ミックスはかつてJUDAS PRIESTやTHIN LIZZYを手掛けた大御所クリス・タンガリーディスなんだけどねぇ…。

PRAYING MANTIS
TO THE POWER OF TEN
82
トゥ・ザ・パワー・オブ・テン (1995)

本作の先行シングル的な意味合いもあった「ONLY THE CHILDREN CRY」で歌っていたマーク・トンプソン・スミス(Vo)は、来日公演を終えるとさっさと脱退。もしや日本に行ってみたかっただけだったのか、と勘繰ってしまうが、発表された後任のシンガーはなんとゲイリー・バーデン。M.S.G.の初代Voとして知られる人物である。ただ、ゲイリーは知名度こそ高いものの、そのヴォーカリストとしての評価は必ずしも知名度と比例していない人物のため、個人的にはやや不安を感じていた。そしてその不安は、本作が前作ほど素晴らしくない、という意味である程度的中してしまった。実はゲイリーは意外と健闘しているのだが、声質がこのバンドの音楽にマッチしておらず、#1、#2、#4、そして先行シングルだった#9など、彼ららしい叙情的な楽曲において、哀愁を削ぐことになってしまっている。ただ、本作の評価を下げているのは何といってもベテランR&BグループTEMPTATIONSのカヴァー(!)である#3だろう。どんな思惑があったか知らないが、この選曲はあまりにも唐突だった。あと、ポップな#7、R&R調の#11もかなり厳しい。その他の曲は多少彼ららしくない所もあるにせよまずまずで、#8などは、BON JOVIのような歌メロでありながらプログレのような間奏部が聴き応えある、隠れた(?)秀曲。散漫なアルバム内容は「PREDETOR IN DISGUISE」の轍を踏んでしまっているが、今回も楽曲のクオリティの高さが救いとなっている。

PRAYING MANTIS
ONLY THE CHILDREN CRY
76
オンリー・ザ・チルドレン・クライ (1993)

舞台俳優としてのキャリアを優先して脱退したコリン・ピール(Vo)の後任として、IDOL RICHというバンドでデビューし、後にLIONSHEARTで知名度を上げるマークとスティーヴのオウアーズ兄弟が結成したFURYというバンドに在籍していたマーク・トンプソン・スミスが加入。既に決定していた来日公演に向けての来日記念盤の意味も込めて制作されたEP。新曲となる#1、#2に、前作収録の「A Moment In Life」のリメイク#3、そして解散前の1982年にシングルのみでリリースされた「Turn The Tables」のリメイク#4という4曲が収められている。どれも彼ららしい哀愁のある佳曲で、ファンなら必携のアイテムといえよう。マーク・トンプソン・スミスの歌唱は可もなく不可もなくで、バンドにはまあ合っているが、前作の再録である#3を聴くと、正直表現力の面では前任のコリン・ピールに一歩及ばないことが明らかになってしまうのはいかがなものか。

PRAYING MANTIS
A CRY FOR THE NEW WORLD
88
ア・クライ・フォー・ザ・ニュー・ワールド (1993)

前作の来日公演でシンガーを務めていたのはドゥギー・ホワイトだったが、彼はそのまま定着することなく、ブルース・ビスランド(Dr)の知り合いだったというコリン・ピール(Vo)を迎えて制作された再結成第2作目。前作でデニス・ストラットンが中心となって書いた曲の評判が悪かったことを意識したのか、本作ではデニス・ストラットン名義の楽曲は姿を消している(お気の毒…)。個人的にはデニスの書いた曲もクオリティは高かったと思うが、今回に関して言えばその判断は大正解で、本作は全編に哀愁漂う旋律と劇的な展開が満ち溢れる素晴らしいアルバムに仕上がっている。オープニングを飾る#1「Rise Up Again」から感動的だが、その後も全曲メロディアスでフックに富んだ優れた楽曲が揃っている。特にタイトル曲#2、#4「Letting Go」、#7「Fight To Be Free」、#10「Journeyman」など、彼らの「王道」といえるタイプの楽曲の人気が高いが、個人的には翳りのあるバラードの#3「A Moment In Life」、ノリのいい#6「Dangerous」なども捨てがたい。コリン・ピールの歌唱はHR/HMのVoとしてはやや繊細すぎるきらいがあるが、このサウンドにはマッチしていて、歴代No.1との評価も多い。ちょっとサウンドが軽いのが残念だが、PRAYING MANTISを聴くならまずはコレから!と言える名盤だ。北欧メタルのファンにもオススメ。

PRAYING MANTIS
PREDATOR IN DISGUISE
84
プレデター・イン・ディスガイズ (1991)

NWOBHM期にその叙情的なHMサウンドによってマニアの間で絶大な支持を得ていたPRAYING MANTISが、1990年4月に日本の中野サンプラザで行なわれたNWOBHM10周年記念コンサートをきっかけに復活、こうしてアルバムを発表した。メンバーは、オリジナルの中心メンバーだったティノ・トロイ(G, Vo)とクリス・トロイ(B, Vo)の兄弟に、元IRON MAIDEN〜LIONHEARTのデニス・ストラットン(G, Vo)、そして元WEAPON〜WILDFIREのブルース・ビスランド(Dr)。そしてジャケットのアートワークは伝説のデビュー作を手掛けたロドニー・マシューズ。何しろ約10年ぶりであるから、本来なら歓迎されて然るべきだが、発表当時本作の評判は芳しくなかった。なので恐る恐る聴いてみたわけだが…。まずは#1「Can't See The Angels」。えっ?良いじゃん。このツイン・リード、美しいコーラス、哀愁のメロディ、これぞマンティス節。しかもこの時代ならではの煌びやかなKeyアレンジが楽曲をいっそう劇的に彩っている。これのどこに文句があるんだ…と思ったのも束の間、続く#2を聴いて不評の謎が解けました。LAのバンドを思わせるパーティ・ロック調の楽曲…誰が彼らにこんな曲を期待する? さらにシングルとなった#4はKeyバリバリの産業ロックだし、#6はDURAN DURANあたりがやってもおかしくないような洗練された曲、そして#10のイントロはどう聴いてもMOTLEY CRUEの「Dr. Feelgood」…と、デニス・ストラットンが中心となって作られた曲は正直バンドのイメージにそぐわない楽曲が多く、オールド・ファンに違和感を与えてしまった。個人的にはそれらの曲もクオリティは高いと思うし、#7なんて本作で1、2を争うくらいカッコいいと思うが。幻のセカンドのために作られた#5、メロディアスなインストの#8、そして#11といった「らしい」楽曲もキッチリ押さえているし、アルバムとしてはやや散漫ながら、個々の楽曲のクオリティは非常に高い。

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