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MEGADETH
SUPER COLLIDER
80
スーパー・コライダー (2013)

デイヴ・ムステイン(Vo, G)が新たに設立したレーベル「Tradecraft」からのリリース(配給は「Universal」)となる14作目のアルバム。とはいえ、メンバー・チェンジはなく、プロデューサーも前作を手掛けたジョニー・Kが引き続き担当しただけあって、基本的には前作「TH1RT3EN」の延長線上にある作風で、コンパクトかつキャッチーな印象の強いアルバムだ。インタビューでは「COUNTDOWN TO EXTINCTION」や「CRYPTIC WRITINGS」といったタイトルが比較の対象に挙がっていたが、後者はともかく、前者のような研ぎ澄まされた印象はなく、キャッチーな要素の強さはむしろ問題作とされた「RISK」にさえ通じる。ただ、タイトル通りリスクをとった「実験作」という性格が強かった同作に比べると、バンド・サウンドとしてのテンションは上。フラットに聴けばシャープにまとまった良作と言ってもいいかもしれない。実際の所、デイヴ・ムステインのヴォーカルには衰えが感じられるし、彼らも年齢を重ねて、こういうより広いリスナーにとっての聴きやすさという意味でも、そして自分たちがプレイする上でも「イージーな路線」にシフトしていきたいという気持ちは理解できなくはない。しかし、「MEGADETH」という物騒なバンド名の下にこのようなサウンドを展開することについては、個人的にはちょっと釈然としない思いがあることもまた否めない。

MEGADETH
TH1RT3EN
82
サーティーン (2011)

復活後4作目にしてデイヴ・エレフソン(B)が復帰。名盤「RUST IN PEACE」20周年記念完全再現ツアーやBIG4ツアー、SLAYERとのダブル・ヘッドライナーによるツアーにおいて、犬猿の仲であったはずのケリー・キング(SLAYER)との共演を果たすなど、オールド・ファンにとってはグッと来る多くのイベントを挟んでリリースされた13枚目のアルバム。タイトルには単に13作目のアルバムというだけではなく、デイヴ・ムステイン(Vo, G)がギターを始めたのが13歳のときで、誕生日が(9月)13日、という意味も込められているそうだ。作風としては初期を思わせるスラッシーな仕上がりだった前作に比べキャッチーになっており、強いて言えば6th「COUNTDOWN TO EXTINCTION」から8th「CRYPTIC WRITINGS」の時期に近いスタイルと言える。楽曲のクオリティが全盛期の水準に達しているかと問われるとそうは言えないのが事実で、前作との対比においてやや地味に響く所はファンにとってマイナスかもしれない。しかしそれでも緊張感のあるリフ・ワークと、前作ほど速くはないものの、全体的には充分に前のめりな勢いを感じさせるサウンドは、今回プロデューサーに迎えたジョニー・Kと作り上げた攻撃的でありつつも適度にオーガニックなサウンド・プロダクションともあいまって、聴いていてなかなか気持ちがいい。#7と#11は「YOUTHANASIA」の2004年リマスター盤に収録されていたボーナス・トラックのリメイク。


MEGADETH
ENDGAME
86
エンドゲーム (2009)

前作「UNITED ABOMINATIONS」が全米8位を記録し、チャート成績の面では「完全復活」を印象付けたMEGADETHが、攻撃性の面でも完全復活を遂げたことを印象付けるアルバム。07年の終わりをもって脱退したグレン・ドローヴァー(G)が脱退し、新たに元JAG PANZERでNEVERMOREのツアー・メンバーも務めたことがあるクリス・ブロデリックが加入している。プロデュースは前作に引き続きアンディ・スニープ。本作から最初にストリーミング配信で公開された#9「Head Crasher」が初期の頃をすら彷彿させる性急なまでにアグレッシヴなスラッシュ・チューンで、ファンの期待を大いに高めたが、アルバム全体としても初期以来かという強烈な攻撃性が渦巻いている。むろん、初期とはメンバーの資質が異なるため(特にDr)、あそこまで複雑怪奇な展開を見せることはないが、突進力だけなら遜色ない。この「若返り」に新加入のクリス・ブロデリックのフラッシーなギター・プレイが貢献していることは明らかで、彼のシュレッド・ギターが楽曲に新たな緊張感を与えており、個人的には違和感よりもカタルシスが勝っている。前作を聴いて、このまま年齢相応の円熟したメタル・バンドになっていくのかな、と勝手に予想していたが、とんでもない。彼らはまだまだ刺々しく、スリリングだ。

MEGADETH
UNITED ABOMINATIONS
83
ユナイテッド・アボミネイションズ (2007)

前作「THE SYSTEM HAS FAILED」発表後、デイヴ・ムステインは同作に伴うツアーをもってMEGADETHを「永遠の眠りにつかせる」と言っていたが、ツアーの好評、さらにMEGADETHをヘッドライナーとして行われたフェスティヴァル・ツアー『GIGANTOUR』の盛況ぶりに心が動いたのか、続行を宣言。新たにグレン・ドローヴァー(G)、ショーン・ドローヴァー(Dr)、ジェイムズ・ロメンゾ(B:元WHITE LION〜BLACK LABEL SOCIETY)をバックに制作された『ROADRUNNER』移籍第1弾アルバム。LOUD PARK 06で披露された#2「Washington Is Next!」が彼らとしては珍しいほどメロディックかつ正統的なカッコいい曲で、アートワークもカッコよかったので期待していたが、期待にたがわぬ好盤だ。さすがに#2を超える楽曲は収録されていないものの、全体的に「SO FAR, SO GOOD… SO WHAT?」〜「RUST IN PEACE」あたりの時期のサウンドにキャッチーさを加味したかのような作風で、全体的にスピードやエッジは抑え目な分、コアなファンにとってはちょっとヌルいのではないかという気もするが、個人的には聴きやすくて悪くない。LACUNA COILのクリスティーナ・スカビアとのデュエット形式でリメイクされた「A Tout Le Monde」(本作のリード・トラックである)は、共演自体が目的だったのではないかと感が無きにしも非ず。#5「Gears Of War」はXboxの同名ゲームソフト用に書かれた曲。

MEGADETH
THE SYSTEM HAS FAILED
83
ザ・システム・ハズ・フェイルド (2004)

デイヴ・ムステイン(Vo, G)のソロ・アルバムとして制作されたものの、レコード会社の意向によってMEGADETH名義で発表されたアルバム。彼の右腕と目されてきたデイヴ・エレフソン(B)を含め、解散前のメンバーは一人もいない。バックのメンバーはセッション・ミュージシャンとして知られるヴィニー・カリウタ(Dr)とジミー・スロース(B)、そしてMEGADETH初期に在籍していたクリス・ポーランド(G)。アルバムのアートワークが、クリスがプレイしていた「PEACE SELLS…BUT WHO'ES BUYING?」を連想させることもあり、初期のインテレクチュアル・スラッシュ路線への回帰を予感させるが、さすがにあれほど構築された緊張感のある音にはなっていない。とはいえ、社会への怒りに満ちた刺々しい歌詞といい、ある程度の原点回帰は確実に意識している節があり、気の抜けた炭酸飲料のようだった後期のMEGADETHに比べるとだいぶエッジのきいた「らしい」サウンドになっている。一方で後期を通過したからこそのキャッチーさも端々に感じられ、そういう意味ではキャリアの集大成的な作品でもある。この「復活劇」はファンを混乱させたが、元々MEGADETHは実質的にムステインのソロ・プロジェクトに近かったわけで、ましてやこのサウンドであればソロ名義で出す意味はほとんどあるまい。

MEGADETH
THE WORLD NEEDS A HERO
77
ワールド・ニーズ・ア・ヒーロー (2001)

15年近くに渡って在籍したメジャーの「Capitol」から、IRON MAIDENのマネージャーとして知られるロッド・スモールウッドが設立した「Sanctuary」からのリリースとなったアルバム。特に日本においては音楽的な要と目されていたマーティ・フリードマン(G)が脱退し、後任にはセッション・ミュージシャンとして知られ、当時SAVATAGEにも在籍していたアル・ピトレリが迎えられている。前作「RISK」の不評を踏まえてか、リリース前から「原点回帰」的なニュアンスのプロモーションがされており、アルバム・ジャケットのアートワークも80年代を思わせるものになっている。しかし前作に比べてヘヴィさは回復されているのだが、どうにもヌルい。所々それっぽい雰囲気はありつつも、往年のサウンドの緊張感やリフのキレは失われ、中途半端なキャッチーさだけが残っている。正直、気の抜けた炭酸飲料や湿気た煎餅を思わせる煮え切らないアルバムである。「Dread And The Fugitive Mind」だけは焼き直しっぽくもカッコいいかな。ヴァイオリンをフィーチュアした物悲しいバラードの「Promise」は上手い人の歌で聴いてみたい隠れた名曲。本作を最後にバンドはいったん解散。

MEGADETH
RISK
81
リスク (1999)

膝の故障によってニック・メンザ(Dr)が脱退、新たにY&Tなどでの活動歴があるジミー・デグラッソが加入して発表されたアルバム。本作はMEGADETH史上で最も「問題作」と捉えられるアルバムで、バンド側もそのことを制作時点で認識していたからこそ「RISK」というタイトルを選んだのであろう。しかし、「COUNTDOWN TO EXTINCTION」以降、このバンドは一貫して大衆性を高める方向にシフトしてきていたので、本作の路線自体が「意外」というわけではない。単に「行きすぎてしまった」「閾値を超えてしまった」というだけの話である。何しろオープニングの#1がMARILYN MANSONなどを思わせるインダストリアルな感触の曲だし、#5「Crash 'Em」や#7「I'll Be There」などは「キャッチー」を通り越して「ポップ」と言っても過言ではない曲。それ以外の曲もメタリックな感触はほとんどなく、アメリカのメインストリームなロックへの迎合を感じさせる。やはりMETALLICAが「LOAD」や「RELOAD」といった「脱メタル」した作品で、賛否両論を呼びながらもそれなりに成功したことに感化されたのだろうか。個人的にモダンでポップなロックも好きなので、本作を単独で聴いたときにそれほど悪い作品だとは思わないが、まあこれはMEGADETHというバンドに期待されている音ではないだろうし、コアなファンの不興を買ったことは理解できる。

MEGADETH
CRYPTIC WRITINGS
85
クリプティック・ライティングス (1997)

前々作のコンパクトさ、前作の歌心を踏まえて制作された、AOR畑のダン・ハフを共同プロデューサーに迎えて制作されているのも頷けるキャッチーなアルバム。アングラなムードが薄れ、アメリカのメタル・バンド然としたメジャー感が漂っている。この角の取れたわかりやすい大衆性とサウンド・プロダクション、このバンドにしては例外的な「ロック・バンドっぽさ」、楽曲のバラエティの多彩さは、ひょっとするとマーティ・フリードマン(G)がこの時期B'zをはじめとするJ-POPにハマっていた影響が出ているのかもしれない。#5、#12のような速い曲が復活したことは、ここ2作に速い曲がないことに不満を感じていたファンに歓迎されたが、それらも初期のようなスラッシュがかったものではなく、スピード・メタル、あるいはパンキッシュなノリを感じさせるものだ。#10「She-Wolf」は、このバンドのコアなファンからは「この曲が好きな奴はニワカ」と言われる、このバンド史上随一のベタでわかりやすいキャッチーなサビとギター・ソロを持つ曲で、当然私のようなメロディ派には本作随一のキラー・チューンである(笑)。楽曲の質は総じて高いのだが、アルバム前半がややおとなしいため、アルバム全体の印象もちょっと地味になってしまっているのが惜しい。これまでJ-POPを聴いていた人が最初に聴く一枚としては入りやすいアルバムかも。

MEGADETH
YOUTHANASIA
83
ユースアネイジア (1994)

前作がアメリカで200万枚を売り上げ、ビルボード初登場2位に輝く大ヒットを記録。成功の代償としての過酷なツアーのプレッシャーの中でデイヴ・ムステインのドラッグ、アルコールの問題が再発。ツアーからの脱落とリハビリ・センターでの治療を経て、L.A.からアリゾナ州フェニックスへ引っ越して制作、発表されたアルバム。タイトルは安楽死を意味する「Euthanasia」と若者を意味する「Youth」を掛け合わせた造語。発売当時ジャケットのアートワークが物議を醸した。しかし、そのサウンドはこれまでの作品の中で最もおとなしいもの。デイヴ・ムステイン一人の作による曲が多いが、かなり内省的な印象を与える仕上がりである。特にデイヴ・ムステインの「辞世の歌」といわれるフランス語を取り入れた#4は非常にメランコリックで、エモーショナルでさえある。#2、#5ではブルース・ハープがフィーチュアされるなど、これまでのある意味機械的なイメージを崩す要素が注入されている。その#5のコーラス・ワークなども新機軸だ。#8のツイン・リードもイイ感じ。基本的には前作を踏襲した「コンパクトで聴きやすいMEGADETH」を狙ったアルバムなのだろうと思うが、ちょっと地味になりすぎたのでは、という気がしなくもない。本作発表後、ボーナス・トラックやサントラ収録曲などをまとめたEP「HIDDEN TREASURES」を発売。

MEGADETH
COUNTDOWN TO EXTICTION
85
破滅へのカウントダウン (1992)

前作「RUST IN PEACE」の成功を受け、このバンドとして初めてメンバー・チェンジなしで制作された「黄金時代」を象徴するアルバム。前作に比べるとアグレッションやテクニカルな複雑さは大幅に後退しており、一聴するとシンプルに感じられるほどに削ぎ落とされたコンパクトな作風である。これが前年に発表され、モンスター級の大ヒットを記録したMETALICAの「METALLICA」を意識したものなのかどうかは不明だが、当時は同じように「脱スラッシュし、より普遍的なヘヴィ・メタルへ接近した」ものと捉えられた。モダンなヘヴィ・ロックの要素を取り入れていたMETALLICAに比べ、あくまでメタルらしいサウンドにこだわっているように感じられるのはやはりバンドの資質の違いだろう。マックス・ノーマンによるサウンド・プロダクションもいささかシンプルで迫力不足に聴こえるが、このサウンド(特にギター)の研ぎ澄まされ方は尋常ではない。決して派手なメタル・アルバムではなく、それでいて(テンポは落ちているとはいえ)売れ線に走るどころか、むしろ無機質、無慈悲に聴こえるサウンドにもかかわらずアメリカで初登場2位を記録し、200万枚を売り上げたというのは、このアルバムに潜む玄人好みのクオリティをちゃんと評価できるほどに当時のオーディエンスの耳が肥えていたか、このバンドの存在自体が支持されていたということなのだろう。

MEGADETH
RUST IN PEACE
88
ラスト・イン・ピース (1990)

前作のツアー終了後に即解雇されたジェフ・ヤング(G)とチャック・ビーラー(Dr)に代わって元CACHOPHONYのマーティ・フリードマン(G)と、ニック・メンザ(Dr)が加入、後に「黄金期」とされるラインナップが揃って制作されたアルバム。これまでのテクニカルで複雑なインテレクチュアル・スラッシュ路線を継承しつつも、より整合感とストレートな勢いが重視されており、そこにマーティ・フリードマンが持ち込んだメロディアスなギター・ワークが持ち込まれたことで、これまでにないバンドとしてのケミストリーが発生している。それはアルバム冒頭の「Holy Wars...The Punishment Due」、「Hanger 18」の2曲を聴くだけで伝わってくることだろう。キャッチーさを増しつつも緊張感を失っていないのが素晴らしい。アメリカでプラチナムに輝き、グラミー賞にもノミネートされる成功を収めたのも納得の、バンドの個性と聴きやすさが絶妙のバランスで均衡する最高傑作。単にバンドの個性のみを伝えるのであれば「PEACE SELLS...BUT WHO'S BUYING?」の方がより端的で適しているかもしれないが、やはり総合的な音楽的魅力を考えれば、このバンドを聴くにあたっての「最初の一枚」はこれだろう。

MEGADETH
SO FAR, SO GOOD… SO WHAT!
84
ソー・ファー、ソー・グッド…ソー・ホワット! (1988)

前作「PEACE SELLS…BUT WHO'S BUYING?」によって「インテレクチュアル・スラッシュ」というバンドのビジョンを世に示し、「スラッシュ四天王」としての地位を確立した彼らの通算3作目にして、メジャー第2弾。ギターがクリス・ポーランドからジェフ・ヤングに、ドラマーがガル・サミュエルソンからチャック・ビーラーに交代している。基本的には前作を踏襲するインテレクチュアル・スラッシュ路線で、複雑な展開がヒリヒリするような緊張感を生む攻撃的な作風。一方で「Mary Jane」や、故クリフ・バートンに捧げた「In My Darkest Hour」など、このバンドの中では準バラード扱いな(?)歌モノ色のある楽曲(いずれも後半は激しく盛り上がるが)の収録や、SEX PISTOLSのカヴァーである「Anarchy In The UK」というキャッチーな有名曲のカヴァーを収録するなど、スラッシュ・メタルを苦手とする人でも取っつきやすい曲を収録している。そのことについて デイヴ・ムステイン(Vo, G)が本作について「ドラッグ買う金欲しさにコマーシャルにした」と言っていたという逸話(本人は否定している)があるが、本作が世間一般の感覚でコマーシャルな音だと感じていたとしたらやはりこの時期のデイヴは相当クスリでヤられている(笑)。まあ、現実的に本作は全米28位、全英18位を記録する商業的な成功を収めるのだが、それは本作がキャッチーだったから、というより、このバンドの放つ反骨のアティテュードが支持されたからだろう。オリジナルではかなりリバーブがかかったサウンドだったが、リマスター盤では生々しいサウンドに変貌している。

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