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MANOWAR
WARRIORS OF THE WORLD
82
ウォリアーズ・オブ・ザ・ワールド (2002)

彼らと契約したジョン・カロドナーが「Sony」に転職したため、結局「Geffin」からは前作1枚でドロップ、新たに契約したのは彼らの主戦場であるヨーロッパにおける最大のメタル・インディーズ、「Nuclear Blast」だった。まあ、収まるべき所に収まったという感じか。MANOWARの音楽というのは存外シンプルで、「メタルの中のメタル」的な評判を聞いて彼らの音を耳にした日本人の多くは「あれ? こんなもん?」という感想を抱きがちだ。基本的にはギター1本で、さほど音圧は高くないし、リフやバッキングもいたってオーソドックス。ヘヴィさにせよ、メロディにせよ、エクストリームなものに慣れてしまった耳では物足りなさを感じがちだ。結局、MANOWARを孤高たらしめているのはメタルに対するアティテュードと、そしてエリック・アダムスの一見ダミ声のようで、実はシャウトにすら感情を込められる強靭な歌唱力なのだ。本作はそのエリックの「うた」がかつてないほどフィーチュアされ、その表現力の真髄を味わうことが可能な作品となっている。何しろ#3はオペラ歌曲のカヴァー、#6はエルヴィス・プレスリーのカヴァーで、#2、#5がバラード調なこともあり、アルバム前半はさながらエリック・アダムスのソロ・アルバムのよう。これはこれで聴き応えがあるが、真のメタルを求めるメタル・ヘッズにはややヌルい感も否めない。しかし、シングルとなったメタル・アンセム#8、怒涛のスピード・チューン#9、「Die!Die!」という物騒なコーラスが燃える#10という後半の流れは流石で、貫禄の仕上がり。ちなみに#4、#6はインタールード的なインスト。

MANOWAR
LOUDER THAN HELL
85
ラウダー・ザン・ヘル (1996)

タイトルは、彼らのリハーサルを聴いたレコード会社の人間が、あまりの大音量に閉口して口にした言葉だとか。地獄ってうるさいんですかね? HR/HMの人気低下を受け、「Atlantic」との契約を失ったMANOWARが、なんとジョン・カロドナーの口利きによって「Geffin」からリリースした通算8作目のフル・アルバム。それまで彼らの過剰なメタル・スピリットを、一種の「イロモノ」として揶揄することが多かった日本でも、HR/HMの人気が急速に冷え込み、正統派メタル・バンドが壊滅状態となったこの時代、数少ない本格派ヘヴィ・メタル・バンドとして、ようやく彼らに正当な評価が与えられるようになった。そして実際本作はその評価に相応しい正統派ヘヴィ・メタルの力作で、彼らのセカンド・アルバム「INTO GLORY RIDE」に収録されていた「Warlord」の続編となる#1「Return Of The Warlord」から、一点の曇りもないMANOWARメタルが展開される。新加入のG、カール・ローガンはバンド史上最高のテクニシャンで、随所でテクニカルな速弾きを披露してくれるが、正直9分におよぶインストの#8は退屈…。しかし、それ以外の曲は力強いバラードの#4「Courage」を含め、クオリティの高い曲が揃っており、曲名も「メタルの兄弟」「神がヘヴィ・メタルをお作りになった」「ナンバーワン」「無法者」「王」「我が魂は生き続ける」「力」など、笑ってしまうほど彼ららしいものばかりでイカす。

MANOWAR
THE TRIUMPH OF STEEL
82
勝利の鋼鉄 (1992)

とにかく、アルバムの前半を占める、8パート合計で30分に及ぶ大作「Achilles, Agony, And Ecstasy In Eight Parts」に尽きる。この1曲を楽しめるかどうかであなたが#2のタイトルでもある「Metal Warriors」であるかどうかが問われると言っていいだろう(笑)。途中延々とドラム・ソロやベース・ソロが続くこの大作は、聴き手にかなりの忍耐力を要求する。荘厳な導入部や、途中登場する疾走パートなど、魅力的なパートも多いのだが…。勇壮でノリのいいメタル・アンセム#2や、アグレッシヴな疾走チューンの#3「Ride The Dragon」、#6「The Power Of Thy Sword」などは、彼らのファンであれば安心して楽しめる佳曲(特に#6はメロディック・パワー・メタルのファンにもオススメ)ネイティヴ・アメリカンのチェロキー族を題材にした#4「Spirit Horse Of The Cherokee」、では、エリック・アダムス(Vo)の「アパッチの雄叫び」の如きシャウトが聴ける。叙情的なバラードの#8「Master Of The Wind」で幕を閉じる構成も、彼らのメタル美学を感じさせて良い。ちなみに前作から、Gがロス・ザ・ボスからデヴィッド・シャンケルに、Drがスコット・コロンバスからライノにチェンジしている。スコット・コロンバスは音楽的・人間関係的な問題ではなく、重病に罹った息子の病気の看病のためにバンドを離脱し、この件についてはちょっとドラマティックなエピソードあり(オチ有)。


MANOWAR
KINGS OF METAL
87
キングス・オブ・メタル (1988)

何しろタイトルが「メタルの王たち」ですよ。要は自らのことを言っているのでしょうね。そして実際内容も、タイトル負けしない強力なマスターピースに仕上がっている。#1は世のスラッシュ・メタル・ブームを多少意識したかと思える性急なスピード・チューンで、最初聴いたときにはダサいと思ったが、しばらく聴いているうちにカッコいいと思えるようになった(洗脳)。#2のタイトル曲は、歌い出しが「マノウォー、マノウォー」なので最初笑ってしまったが、グルーヴィーなリフと、力強いVoのコンビネーションが次第に快感に(洗脳)。メタル・バラードかくあるべし、という#3から、もはや定番のベースによるクラシック・カバー#4、キャッチーな#6、男尊女卑思想というか男根全能主義に満ち溢れた#7と、彼らのマッチョイズム全開のメタル美学が全編に渡って展開されている。中でも#8「Hail And Kill」は、MANOWARの魅力、いや、ヘヴィ・メタルの魅力を凝縮したかのような名曲で、その煽情力は半端ではない。おそらく、戦闘前の兵士たちにこの曲を聴かせたら、アドレナリンが異常放出し、全員死を恐れぬ勇士となって死地にさえ飛び込んでいくのではないだろうか。そして#5は勇敢に戦って死んだ戦士を弔うレクイエムとなることだろう。#9の「語り」を受け継いでアルバムを締める、過去の名曲の曲名を歌詞に散りばめた集大成感のある#10もドラマティックで良い。バラエティに富み、かつクオリティの高い曲がそろったこの名盤によって、ドイツを中心としたヨーロッパではその支持を確固たるものとした。

MANOWAR
FIGHTING THE WORLD
84
ファイティング・ザ・ワールド (1987)

結局1作のみで「10」レーベルとの契約を失い、しばし沈黙を余儀なくされていた彼らであったが、HR/HMブームの追い風を受け、今度は「Atlantic」との契約を獲得、堂々アメリカン・メジャーからのリリースとなった。そして、蓋を開けてみるとアルバム前半は意外なほどにキャッチーな楽曲が揃い、非常に聴きやすい。#1は思わず曲に合わせて踊りたくなってしまうようなリズムと、ライヴで合いの手を入れたくなるようなサビを持つ非常にキャッチーなヘヴィ・メタル・チューンだし、#2はLAメタルかと錯覚してしまうようなR&R風味のパーティ・チューン。そして#3なんかあまりに明るくポジティヴ過ぎて「猫かぶるのもいいかげんにしろ!」と突っ込みたくなってしまう。このキャッチーさは、メジャー・レーベルに対する彼らなりの義理堅さというか、「我々を拾ってくれた以上、ちゃんと儲けさせてやるぞ」という誠意の表明なのかもしれない、と思ったりもして。しかし不穏なSEから始まる#4あたりからだんだん化けの皮がはがれてきて(笑)、アルバム後半ではまさにMANOWAR節全開といえるパワフルかつドラマティックな「濃い」曲が並び、中でもアルバムのラストを飾る#9「Black Wind, Fire And Steel」は、彼らの魅力を凝縮した圧巻の名曲。明るくキャッチーなメタルが好きな人には入りやすいアルバムかな? そんな人はそもそもMANOWARを聴こうとしないような気もするけど(笑)。

MANOWAR
SIGN OF THE HAMMER
83
サイン・オブ・ザ・ハンマー (1984)

前作「Hail To England」は思惑通りイギリスで好評を博し、ついに英国メジャー「Virgin」傘下の「10」レーベルとの契約を獲得することに成功した。そうして発表された本作は、メジャー・デビューに相応しいクオリティを誇り、本作を最高傑作に挙げる声も多い。北欧神話の雷神トールの名前を曲名に冠した#3「Thor」は、その曲名に相応しい雷鳴のようなイントロと、スケール感に満ちたコーラス、ギター・ソロで突如疾走するアレンジがカッコいい名曲だ。バラード風に始まり、力強く盛り上がる7分超の大作#4「Mountain」もほのかに滲む「男の哀愁」が染みる。ジョーイ・ディマイオ閣下のベース・ソロ曲である#7(「Thunderpick」って曲名が凄いな:笑)からつながる#8「Guyana(Cult Of The Damned)」もドラマティックな7分超の大作で、A面B面(LP時代)のラストを大作で締める、というのが彼らならではの美学だったのでしょう。そうしたドラマティックな曲以外にも、R&R風味がノリのよさを与えている#2「Animal」、アグレッシヴな曲調とスケール感のあるサビのコントラストの妙が映える#5のタイトル曲、切迫感さえ感じさせる疾走曲#6「The Oath」など、勢いのある曲も全体的に出来がいい。後に顕著になる、ジョーク寸前の大仰なヘヴィ・メタル・マッチョイズムが控えめで、それゆえ逆に聴きやすいという意見もある。どうでもいいけど、エリック・アダムズ(Vo)のスクリームってデーモン小暮のスクリームに似てるよね。

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