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MANIGANCE
RECIDIVE
82
レシディーヴ 〜再犯〜

前作発表後、DRAGONFORCEやWHITESNAKEのサポートとしてのツアーを行なって以降は目立った活動の報せもなく、自然消滅かと思っていた孤高のフランス語メタル・バンドによる約5年ぶりの4作目。Keyがフロオからジャン・ラハーグエに交代している。ブランクが大きかっただけに、インストのイントロダクション#1から印象的なリード・ギターのフレーズで始まる#2で、かつてと変わらぬサウンドにひと安心。続く#3、#4、#5と彼ららしいダークさを漂わせつつもキャッチーな楽曲が立て続き、「やっぱりこのバンドはイイね」と思ったが、ヘヴィな#6、ミドルの#7あたりで中だるみ。#8は名曲の誉れ高い「Ange Ou Demon」を思わせるカッコいい疾走チューンだが、その後ボーナス・トラックを含めて16曲70分以上の長丁場を飽きさせずに聴かせるにはちょっとメロディのバリエーションに乏しいのが気になる。ブランクの間の鬱憤を晴らすかのようにギタリストのブルーノ・ラモスのプレイが非常に充実しており、その点はトレビアンだが、アルバム全体としてはいささか冗長で、平坦な印象が残る。前作で気になったプログレ・メタル色の増加による楽曲のキャッチーさの減少という問題は改善されているし、1曲1曲のクオリティは相変わらず高いので、楽曲の数を絞ればもっと印象が良くなっただろうと思うだけにちょっともったいない。

MANIGANCE
L'OMBRE ET LA LUMIERE
82
ロンブル・エ・ラ・リュミエール〜陰と光〜 (2006)

フランスの実力派、MANIGANCEの3作目。もともとプログレ・メタル的な要素を強く持っていたバンドであるが、本作ではスピード・メタル色の強かった前作に比して、プログレ・メタル的な面を強調した作品となっている。正直個人的にはプログレ・メタルよりストレートなメタルが好きなので、最初聴いたときにはやや不満を感じた。しかし、何度かリピートしてみると、やはりその質の高さには聴くべきものがある。プログレ・メタルにありがちな「テクニックのひけらかし」のようなパートは存在せず、どの楽曲にもメロディという軸がちゃんと貫かれているし、タイトル曲#3のテーマ・メロディをはじめ煽情的なフレーズも随所に出てくる。そして単純に#5や#7のような勢いのある曲はやはり文句なしにカッコいい。Keyのセンスのよさも相変わらず高ポイントで、#6や#12のイントロなんてついついその音色に惹き込まれてしまう。わかりやすさが減じたことはたしかだが、音楽的な完成度は上がっていると感じられる。ジャケットのアートワークが前作の子供っぽいRPGゲーム調から、陰影を感じさせる高尚なムードのイラストに変化したことが内容の「深化」を象徴しているのかも…ってのはきっと単なる思い過ごし(笑)。


MANIGANCE
D'UN AUTRE SANG
86
ダン・オトゥル・サン〜聖なる血統〜 (2004)

フランス語で歌っている、というハンディをものともせず、前作「ANGE OU DEMON」が好評を博したMANIGANCEのセカンド・フル・アルバム。本作もまた期待に違わぬ高品質な作品となっている。#1のイントロからつながる#2は端々にプログレ・メタル風味を覗かせつつ疾走するスピード・ナンバー。そして#3はミステリアスなkeyとパワフルなギター・リフのコンビネーション、そして力強いコーラスが印象的な佳曲であり、続く#4「Heritier」は最高の盛り上げを聴かせるサビを持つ名曲であり、この名曲の歌詞の一節にバンド名が織り込まれているのは決して偶然ではないだろう。ここまでの流れで買ってよかったと思えるが、その後に続く曲もクオリティ高く、前作に負けず劣らずの優れた作品に仕上がっている。全体的に勢いのあるアップ・テンポの曲が多く、前作より暗さと哀愁を強めたメロディは個人的に非常にツボである。GとKeyのバランスといい、ヘヴィさの程度といい、実に個人的嗜好にマッチしていて、聴いていて嬉しくなってくるようなアルバムだ。ボーナス・トラックは彼らが強く影響を受けたというPRETTY MAIDSの名曲「Future World」のカヴァー。たしかに言われてみれば「SIGNE DE VIE」の収録曲などはかなりPRETTY MAIDSっぽいが、彼らの名が「影響を受けたアーティスト」に挙げられるのって珍しい気がするのは僕だけでしょうか。

MANIGANCE
SIGNE DE VIE
80
シンヌ・ドゥ・ヴィー〜生命の証〜 (2003)

日本デビュー作となった「ANGE OU DEMON」の好評を受け、彼らが1997年に発表したEP、「SIGNE DE VIE」をリマスターの上、ボーナス・トラックを追加してリリースしたものが本作。「ANGE OU DEMON」に比べるとプログレ・メタル的な要素が薄く、Keyのフィーチュア度も低めで、よりストレートなメロディック・メタルをプレイしている。しかし、そのことは必ずしも音楽のクオリティが低いことを意味するものではなく、これはこれで大層カッコいい。歌唱・演奏もバッチリだし、何より楽曲がいい。#1のリフからゾクッとしましたよ。コーラスの使い方といい、静と動の緩急の付け方の巧みさといい、本当に実力のあるバンドだ。#3などに顕著な80年代メタル風味の強さも美味しい。ちなみに今回追加されたボーナスは「ANGE OU DEMON」に収録されていた「L'ultime Seconde」のアコースティック・バージョン、カナダのTRIUMPHの「All The King's Horses〜Carry On The Flame」のカヴァー、フランスのみで入手可能だった「ANGE OU DEMON」のプロモ・メドレー音源、そしてエンハンスト仕様で2002年、ROYAL HUNTのサポートとして行なったパリ公演のライヴ映像(母国の先輩バンドSORTILEGEのVoがゲスト参加した「Messager」のテイク)と、なかなかバラエティに富んでおり、良心的な商品となっている。ファンなら迷わず買い。

MANIGANCE
ANGE OU DEMON
85
アンジュ・ウ・デモン〜天使か悪魔か〜 (2002)

フランス出身HMバンドのファースト・フルレンス・アルバム(本作以前に6曲入りのEPを発表済み)。フランスというと正直HR/HMのイメージからは遠い国で、実際国際的な知名度を得たのは80年代のTRUSTくらいのものだと思う。最近ではHEAVENLYがメロディック・スピード・メタル・ファンの間で話題となったが、あのバンドは英語で歌い、しかも音楽的には極めてドイツ的なサウンドだった。しかしこのバンドは、なんとフランス語で歌っているのである。フランス映画などを観ていると、およそシャウト向きの言語には聞こえないが、このバンドの音楽を聴くと思ったほど違和感はない。正直フランス語のバンドというとかなり日本人には敷居が高いが、それでも日本デビューを飾ることができたのは、一重に音楽の素晴らしさだろう。メロディックな正統的HMサウンドを基本に、程よくプログレ・メタルやネオ・クラシカルなエッセンスも取り入れたそのサウンドは、演奏・音質ともにハイレベルで、歌がなければフランスのような「メタル後進国」のバンドだとは誰も思うまい(ちなみにVoもやや細めながら声域は広く、歌も上手い)。メンバーは各々フランスのHR/HMシーン(そんなものがあったのか?)ではそこそこ知られたキャリアのある人間の集まりということで、デビュー作にして抜群の安定感を示している。日本で欧州のバンドを聴く人間というのは大方メロディック・スピード・メタルのファンなので、#5や#12のような疾走曲が評判を呼んだが、どの曲も非常に完成度が高く、捨て曲はない。ただ、あまりに安定感がありすぎてスリルに欠けるというか、ドイツやイタリアのバンドが持っているようなクサみがほとんどないのが面白みに欠ける…というのは贅沢な話かな。

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