LUCA TURILLI | ||
THE INFINITE WONDERS OF CREATION |
77
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インフィニット・ワンダーズ・オブ・クリエイション (2006) |
本作が欧州で発表されたのは06年5月だが、日本盤がリリースされたのは翌07年の3月。日本盤のリリースが遅れた理由は、単にリリース元のビクターと契約更新の条件が折り合わないのだろうと予想し、「まあ、腐ってもRHAPSODY(OF FIRE)の中心人物のアルバムだし、ビクターがダメでもキングかマーキーが出すだろ」と高を括って輸入盤を買わずに日本盤を待っていた。しかし、本作を聴いて、リリースが遅れていた理由はビジネス的な問題ではなく、単に音楽のクオリティの問題なのではないかと思ってしまった(苦笑)。「過去」をモチーフにした1作目、「未来」をモチーフにした2作目に続く本作は、「現代」を描いた(実際には近未来かな?)作品だそうで、ある意味一番散文的なモチーフであるせいか、これまでの作品に比べてかなり平坦な印象…。Voをこれまでのオラフ・ヘイヤーに加え、RHAPSODYのアルバムにも参加していたゴスペル畑の黒人女性シンガー、ブリジット・フォーグルを彼と同等にフィーチュアした男女ツインVo体制に変更して制作された本作は、音楽の基本線には変化ないものの、とにかく楽曲にフックと盛り上がりが足りず、今ひとつ作品世界に入り込めない。それは最近のRHAPSODY(OF FIRE)にも言えることで、これでせめてほぼ同時に発表された、ルカがKeyで参加している新プロジェクトDREAMQUESTの出来が良ければ単にエピック・メタルに飽きただけではないか、と解釈できるのだが、そちらも微妙な仕上がりだったので、これはいよいよ本格的にルカの音楽的才能が枯渇してきたのではないかと勘繰らざるを得ない…。 |
LUCA TURILLI | ||
PROPHET OF THE LAST ECLIPSE |
88
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プロフェット・オブ・ザ・ラスト・エクリプス (2002) |
ルカ・トゥリッリのソロ、「ヴァーチャル・オデッセイ・トリロジー」第2章。これまでずっと中世ヨーロッパ的な、ヒロイック・ファンタジーの世界を歌詞世界のモチーフとしてきた彼だが、今回はジャケットを見てもわかるように、SFの世界がその舞台である。随所で聴かれるスペイシーでコズミックなキーボード・サウンドやSEがそれらしい雰囲気を醸し出しているが、基本的な音楽性は変わるはずもなく、大仰なシンフォニック・メタル・サウンドでアルバムは統一されている。前作を聴いただけではハッキリと判断できなかったが、どうやらプログレッシヴで複雑なアレンジを多用する本家RHAPSODYに比べ、ソロ・アルバムの方がよりストレートかつキャッチーなメタル・チューンを集めているようだ。気持ちよく疾走し、コーラスで盛り上がるという、美しいお約束ワールドは、やはり聴いていてとても心地よい。RHAPSODYのエメラルド・サーガが完結編も同じ年にリリースされたわけだが、1年に2枚もこれだけの品質のアルバムを創造することのできるルカの才能はやはり別格。そのことをあらためて痛感させられた1枚。日本ではバンドものに比べてソロ名義のアルバムは売れにくいという傾向があるけど、レヴェルの低いB級メロスピを買う余裕があったら、ぜひこういう高品質のアルバムを聴いてほしいね。 |
LUCA TURILLI | ||
KING OF THE NORDIC TWILIGHT |
90
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キング・オブ・ザ・ノルディック・トワイライト (2000) |
RHAPSODYのギタリスト、ルカ・トゥリッリのソロ・アルバム。とはいえ、ギター・インスト・アルバムなどではなく、ここで展開されている音楽はまさにアナザーRHAPSODYワールド。少なくとも、「バンドとは違う音楽をやりたくて作った」という性格のソロ・アルバムでないことは明白である。本人曰く「RHAPSODYほどシンフォニックではなく、キーボード・ソロもない、ジャーマン・メタルからの影響がよりストレートに出たもの」で、「ソロ・アルバムで描かれるのは『ヴァーチャル・オデッセイ・トリロジー』 というRHAPSODYとは異なるストーリーだ」とのことだが、正直、それらは僕にとっては枝葉末節の問題だった。肝心なのは音楽のクオリティだが、これが素晴らしい。正直、少し前に出たRHAPSODYのセカンド・アルバムより僕は気に入った。とにかく、どの曲にもクラシカルなエレメントを含んだ巧みなフックが設けられていて、退屈させられることがない。シンガーに抜擢されたオラフ・ヘイヤーは、ファビオ・リオネほどの圧倒的な表現力は有していないが、その歯切れのよいヴォーカルで、音楽世界を充分魅力的に演出している。曲によっては女性シンガーがヴォーカルを取っており、この辺はソロ・アルバムならではの柔軟なアプローチと言えそう。とにかく、RHAPSODYが好きな人なら絶対に聴くべき優れたアルバムである。 |
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