LAST TRIBE | ||
THE UNCROWNED |
86
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ジ・アンクラウンド (2003) |
その実力に対してあまりにも認知が低いのが悲しいLAST TRIBEのサード・アルバム。おそらくその原因は、北欧出身の割に哀愁一辺倒ではなく、メロスピのように疾走一辺倒でもなく、プログレッシヴなアレンジも多いが基本的に楽曲はコンパクトだったり、正統派というにはキャッチーだったりという、一見中途半端に映る器用貧乏な音楽性のゆえか。その絶妙なバランスがこのバンドの個性なのだと思うのだが。本作も基本的にはそういうバランスに基づいたハイ・レヴェルのLAST TRIBEサウンドで、ファンには安心して聴けるクオリティ。まあ、敢えて前作までとの違いを指摘するなら、ややSYMPHONY X風のプログレッシヴ・メタル風味が強調され、前作まであったスティーヴ・ヴァイ風のモダンなフィーリングが後退した感じか。結果として前作よりイマドキのヨーロピアン・メタル然とした雰囲気を漂わせるようになり、アルバムの統一感は増した。疾走曲こそないものの全体的に勢いがあるし、歌メロもメロディアスでとても良い。ただ、実はその今回控えめなモダンなフィーリング由来の80年代っぽいキャッチーさがこのバンドの大きな魅力のひとつだと感じていた僕にはやや物足りない部分もあったり。タイトル曲を筆頭に、楽曲の平均点はひょっとしたら過去最高かもしれないってくらい充実しているんだけどね…。 |
LAST TRIBE | ||
WITCH DANCE |
87
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ウィッチ・ダンス (2002) |
スウェーデンの実力派HR/HMバンド、LAST TRIBEのセカンド・アルバム。リズム隊がディック・ロウグレン(B:ex.ARMAGEDON他)&ハイメ・サラザール(Dr:FLOWER KINGS他)の強力コンビにチェンジしている。前作より大々的にフィーチュアされたKeyが、このバンドがもともと持っていた80年代メタル・テイストをより顕著なものにしており、あの時代のHR/HMが好きならニヤリとしてしまうようなアレンジが満載。前作ではややプログレッシヴだった曲調が多少ストレート&キャッチーなものになったため、聴きやすさも増している。前作の「Black Widow」のような悶絶キラー・チューンは存在しないが(#2や#11なんかはかなりの名曲だが)、どの曲もフック満載で、サウンド全体のスケール感も増しているので、トータルでの完成度は上がっていると感じる。ARMAGEDONでの来日公演時のパフォーマンスがあまりに挙動不審だったために(人生初ライヴだったらしい)、なんとなく正当な評価を受けていないような気がするが、リカルド・ベンソンのVoは、少なくともこうしてCDで聴くかぎり堂々としていて、北欧のシンガーとしては申し分ない実力の持ち主だと思う。BURRN! 誌での評価も高かったのに、あまり話題にならなかったのは、近年ヨーロッパで流行している典型的なメロディック・パワー・メタルとはいささか趣を異にする洗練されたスタイルのせいでしょうか。素晴らしくクオリティは高いので、子供だましのメロスピに食傷気味の方にぜひ聴いてもらいたいバンドです。 |
LAST TRIBE | ||
THE RITUAL |
86
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ザ・リチュアル (2001) |
MIDNIGHT SUNなどで北欧メタル・マニアには知られるギタリストのマグナス・カールソンを中心に結成されたバンドのデビュー・アルバム。Voを務めるのはクリストファー・アモット(ARCH ENEMY)のソロ・プロジェクト、ARMAGEDONの「EMBRACE THE MISTERY」で歌っていたリカルド・ベンソン。バンド名の由来は、結成当時あまりにもHMの人気がなく、まるで自分たちがHMをプレイする「最後の部族」なのではないか、と思えたからだそう。で、内容だが、これがビックリするほどハイ・クオリティ。大手レーベル所属ではないにもかかわらずプロダクションも良好だし、演奏力も高い。特に、マグナスのギターは、MIDNIGHT SUNでは「テクの出し惜しみ」をしていたのではないかと思えるほどのバカテクっぷり。タイトル曲#10は、ここ数年耳にした中で最大級のインパクトを誇るテクニカル・ギター・インスト。北欧のテクニカル・ギタリストといってもいわゆるイングヴェイ・タイプではなく、むしろスティーヴ・ヴァイを思わせるモダンなフィーリングを感じさせるギターで、それが音楽性全体から北欧のバンドならではの田舎臭さを抜き、ワンランク上の洗練された印象にしている。もっとも、そのことは北欧ならではの垢抜けない叙情性を愛する人間(実は僕もそうです)にとっては逆に肩透かしにつながるかもしれない。とはいえ、基本的な音楽性は間違いなく正統派HR/HMの枠組みの中で語られるものであるし、かつ、充分にメロディアスであることは間違いない。中でも本作中のキラー・チューンと呼んでもいいであろう#3「Black Widow」は、もしサビの劇的な疾走パートだけが「POWER ROCK TODAY」のラジオ・スポットで流れたら、翌日メロスパーたちが神速でCD屋に走り、聴いた後「メロスピなのはココだけじゃねぇか〜」と慨嘆するに違いない(笑)、最高のサビを持つ名曲。バンドとしての存在感が地味なのは気になるが、楽曲・演奏ともに現代の北欧シーンにおいて最高級の実力派と言っていいのではないだろうか。 |
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