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LACUNA COIL
SHALLOW LIFE
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シャロウ・ライフ (2009)

前作発表後、数多くのフェスティバル出演や長期のツアーを通じ、名実ともにトップ・バンド(イタリアのバンドとして最大級の成功を収め、所属レーベル『Century Media』の稼ぎ頭となり、ドイツのメタル専門誌『METAL HAMMER』誌の「Golden Gods Award」ではクリスティーナ・スカビア(Vo)が女性として初めて「Metal Icon」に選出された)となったLACUNA COIL。本作では、LINKIN PARKやアヴリル・ラヴィーンを手掛けたことで知られる大物、ドン・ギルモアがプロデュースを務めており、さらなる成功への意欲が感じられる。そして実際本作はこれまで以上に洗練されたキャッチーな音楽性で塗り固められ、アレンジを変えればマドンナやアヴリル・ラヴィーンが歌ってもおかしくないような曲さえ存在する。物悲しくも劇的なサビが印象的な#3「Not Enough」や#8「Spellbound」、美しいバラード#9「Wide Awake」などは個人的にもグッと来た。ただ、この人工的でフィーリングに欠けたサウンド/演奏は、もはやHR/HMのそれではなく、#4「I'm Not Afraid」に明らかなLINKIN PARKっぽいサウンドからはもはやメタル特有の有機的なエモーションは微塵も伝わってこない。個人的には#2「I Won't Tell You」のようなHR/HMらしからぬダンサブルな曲さえ楽しめる感性の持ち主なので、これはこれで楽しめるが、私がメタルに求めるタイプの興奮はここには存在しない。

LACUNA COIL
KARMACODE
85
カーマコード (2006)

前作のアメリカにおける成功(25万枚セールス)を受け、モダン・ヘヴィ・ロック路線を押し進めた4作目のアルバム。この手のグルーヴがダメ、って人はメタラーに多いと思うが(私も割とそうです)、このバンドの場合、楽曲のフック付けが巧みで、なかなか聴かせてくれる。前作から顕著になった中近東風のメロディがミステリアスな印象を演出する#3「Our Truth」、男女ツインVoによる歌声の絡みが絶妙のドライヴ感を醸し出す#9「Closer」などは名曲と言っていい仕上がり。日本でもシングルEPとしてリリースされたバラード#4「Within Me」のメジャー感も素晴らしい。欧米では絶大な人気を誇るダークなエレクトロ・ポップ・ユニット、DEPECHE MODEのカヴァー#13「Enjoy The Silence」もナイスなセンスで、意外とバンドのカラーにも合っている(DEPECHE MODE自体は日本ではあまり人気がないので、「引き」は弱いかもしれないが)。多少地味な曲もあるが、本作発表後にLOUD PARK 07で目撃したステージや、そのLPのステージも収録したDVD「VISUAL KARMA」で確認できるライヴ・パフォーマンスの充実も考慮すれば、全米28位という成果も納得の力作である。

LACUNA COIL
COMALIES
83
コマリーズ (2002)

典型的な女声ゴシック・メタルだった前作から、NU METAL的なグルーヴを取り入れて進化を図ったサード・アルバム。こう書くと「ああ、EVANESSENCEの影響ね」と思ってしまいがちだが、本作のリリースはEVANESCENCEの大ヒット・アルバム「FALLEN」の発売前の02年であり、彼らは自らこの方向性を選び取ったのだろう。元々北欧あたりのゴシック・メタル・バンドに比べると格段に垢抜けたムードを持っており、デビュー作の時点でこうしたモダンな要素も垣間見せていたので、この路線もなかなかサマになっており、このようなモダンなヘヴィ・ロック・サウンドを必ずしも好まない私のようなリスナーでも楽しめる。やはりこのバンドは楽曲がキャッチーなんだな。そして本作発表後、件のEVANESCENCEのブレイクも追い風となり、全米のラジオでのへヴィ・ローテーションを獲得、TYPE O NEGATIVE、ANTHRAX、P.O.D.といったバンドのサポートとしての長期の全米ツアー、そしてOZZFESTへの参加も効果的に働き、本作発売から2年が経った04年にはイタリアのバンドとしては異例のビルボードTOP200へのランクイン(178位)を果たした。こんな話題作であった本作だが、日本では前作までの発売元だったビクターがリリースを見送ったため当初日本発売されず、全米ブレイク後の05年に有島博志氏の「GrindHouse Recordings」からのリリースとなった。


LACUNA COIL
UNLEASHED MEMORIES
81

アンリーシュド・メモリーズ (2001)


98年にミニ・アルバム「LACUNA COIL」でデビューし、99年にデビュー・アルバム「IN A REVELIE」、00年にミニ・アルバム「HALFLIFE」を発表し、確実に地歩を固めつつあるイタリアのゴシック・メタル・バンド、LACUNA COILのセカンド・フル・アルバム。バンド名は「空虚な螺旋」の意。このバンドは近年増えつつある女性シンガーをフィーチュアしたタイプのゴシック・メタル・バンドで、Voのクリスティーナ・スカビアはなかなかチャーミング。このスタイルの先達というべきTHEATER OF TRAGEDYやTHE GATHERING同様男性Voも絡んでくるが、ここの男性Voはデス声ではなく(強いて言えば元ARCH ENEMYのヨハン・リーヴァに似ていなくもないが…)、そういう意味では「初心者」にも聴きやすいはず。音楽的にはほぼTHE GATHERINGのフォロワーと言っても過言ではない(クリスティーナの声も、THE GATHERINGのアネクを少し力強くしたような感じ)。ただ、このバンドの場合前述の先達バンドなどと比較してかなりキャッチーで、クリスティーナの歌う歌メロは時に「ポップ」に響くほど。ゴシックは暗くてナンボ、という人にはちょっとヌルいサウンドかもしれないが、楽曲はまずまずよくできているので、この手の女性Voゴシック・メタルが好きなら一聴の価値がある。

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