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JUDAS PRIEST
REDEEMER OF SOULS
79
贖罪の化身 (2014)

2010年に「大規模なワールド・ツアーからの引退」を発表し、「すわ、遂に活動終了か」とファンを色めき立たせた彼らだが、オリジナル・メンバーだったK.Kダウニング(G)の脱退という大事件を経つつも、こうして6年ぶりの新作が発表された。良くも悪しくも「現役のメタル・バンド」たらんとする気負いを感じさせた復活作「ANGEL OF RETRIBUTION」、30年におよぶキャリアにおいて、これまでにやっていないことにチャレンジした意欲作「NOSTRADAMUS」に比べると、自然体なソングライティングが感じられるアルバムである。全編を通して極めて正統的なヘヴィ・メタルが展開されており、あえて本作の特徴を挙げるならブルージーなテイストを持つ楽曲が多いことだろうか。それはミドルテンポの楽曲が多いことも含め、彼らの年齢を反映したものなのか、現代のメタル・ファンに、HR/HMというジャンルのルーツがブルーズにあることの再確認を促そうという意図のもとに行なわれたのかは定かではないが、個人的にはややダルい。とはいえ、アルバムの冒頭3曲および要所要所に「らしい」曲が配置されており、全体としての緊張感は保たれている。これはリッチー・フォークナーという若いギタリストを入れたことも良い影響を与えているのかもしれない。このバンドの大きな特徴であったロブ・ハルフォードのハイトーン・スクリームが控えめなこともありインパクトは薄いが、この中庸な作風もまた、アルバム・デビューから40年を経た超ベテランならではの円熟の表れと見るべきか。

JUDAS PRIEST
NOSTRADAMUS
80
ノストラダムス (2008)

ロブ・ハルフォード(Vo)が復帰した前作は商業的にもかなりの成果を挙げ、見事な復活作となった。しかし、復活第二弾となる本作が、ノストラダムスをテーマにした(前作のネス湖といい、なぜ今頃…?)二枚組のコンセプト・アルバムになると聞き、正直不安を禁じえなかった。私は彼らの音楽のファンであるが、彼らが(例えばDREAM THEATERのような意味で)「音楽偏差値」の高いバンドだと思ったことはなく、そのような大作を聴き応えあるものに仕上げることができるのか懐疑的だったのだ。まして、ミドルテンポの楽曲が中心と聴くと、かったるい内容なのではないかという危惧も拭えなかった。しかし、実際こうして聴いてみると、意外と悪くない。たしかにミドルテンポ中心だし、メタルの生命線であるギター・リフもヘヴィ(音作りのせいであまりそうは聴こえないが)でキャッチーさに欠けるものの、シンフォニックなアレンジと歌メロがよく練られているためそこそこ聴ける。この辺は、小難しいことよりキャッチーなことが得意なバンドの資質が吉と出たのかもしれない。ロブ・ハルフォードはほとんどスクリームせず中音域中心で歌っているが、やはりこの人は声自体に説得力がある。彼ら本来の魅力とは異なるサウンドを提示した異色作であることは確かで、これといった名曲もないが、丁寧に作りこまれた作品であることは間違いない。日常的に聴くにはやや冗長ながら、「ファンが求めるPRIEST像」をあざとく演じてみせた感のある前作よりも、自分達のやりたいこと(あるいは年齢相応なこと)を追求している(ように見える)本作の方が印象は良い。ただ、スコット・トラヴィス(Dr)は飼い殺しかも(苦笑)。

JUDAS PRIEST
ANGEL OF RETRIBUTION
81
エンジェル・オブ・レトリビューション (2005)

遂にロブ・ハルフォードがバンドに復帰し、満を持して発表された真の「復活作」。「Judas Rising」というあざといタイトルの1曲目で「オッ」と思い、ソリッドなリフがリードするアップ・テンポの2曲目「Deal With The Devil」で「キター!!」と思いましたが、前作の流れをくむ退屈な#3でたちまち失速。#4のメランコリックなムードは悪くないし、モダンなブルータル系のリフを持つ#5だって、オーソドックスなHMチューンの#6だって決して悪くないのだが、「悪くない」止まりなんだよな…。曲名がバンドのイメージと合っていないバラードの#7「Angel」は佳曲だが、JPのバラードとしては「Before The Dawn」に及ばないし、かの「Painkiller」を彷彿させる名曲と噂されていた#8「Hellrider」もいざ蓋を開けてみれば「テンション低めのPainkiller」って感じでなんてことはない。要はキラー・チューンに欠けるってことか。10分を超える大作「Lochness」(なぜ今時ネス湖…?)は荘厳なコーラスが印象的だが、退屈なパートも多い。アルバムをトータルで見れば充分クオリティの高い作品なんだけど、彼らの実力はこんなもんじゃないでしょ。BURRN!誌の驚異的な高得点を見た「入門者」に「メタル・ゴッドなんて言ってもこの程度か」などと思われてしまったら口惜しいので、点数は辛めにつけています。若人よ、彼らの過去の傑作はこんなもんじゃないぞ!

JUDAS PRIEST
DEMOLITION
68
デモリション (2001)

新生JUDAS PRIEST第2弾アルバム。前作は「気負い過ぎ」という感がなきにしもあらずだったが、良くも悪しくも気迫に満ちたアルバムだった。それに比べて本作は肩の力が抜けたのか、モダンなヘヴィネスを取り入れた曲も、前作のような息苦しさを感じさせることはない。というか、ハッキリ言ってやる気が感じられない。彼らのフォロワー・バンドでも書けそうなレベルの曲ばかりが14曲も並び(日本盤ボーナス・トラックを含む)、このレビューを書くに当たって「隠れた名曲」がないか聴き返してみたものの、隠れたまま見つかりませんでした(苦笑)。こんなアルバムをJUDAS PRIEST名義で発表してほしくなかったな。「破壊」というタイトルもあまりにも安直だし、ジャケットのイメージも安易すぎる。集金ツアーに出るための口実作りとして作ったとしか思えないアルバムです。

JUDAS PRIEST

JAGULATOR

75
ジャギュレイター (1997)

Voice Of Metalというべきカリスマ・ヴォーカリストであるロブ・ハルフォードに脱退され、最大の危機にあったJUDAS PRIESTが、元WINTERS BANEのアメリカ人シンガー、ティム・オーエンズを新たなシンガーに迎え、7年ぶりに発表した渾身の復活作。たしかに気迫みなぎるサウンドではある。とにかく、ひたすら重い。当時全盛だったPANTERAスタイルのバンドたちを思わせる単調なヘヴィ・リフがブルドーザーのごとく押し寄せるそのスタイルは、おそらくメンバーが意図していたであろう「PAINKILLER」を超える、という目標を「ヘヴィさ」という面では完全にクリアしている。しかし、JUDAS PRIESTの最大の美点である(と、私が認識している)ブリティッシュな様式センスがほとんど生かされていないため、世の多くの「PANTERAフォロワー」に埋没してしまっているという感は拭えない。おまけに、中途半端に滲み出たウエットなブリティッシュ・フィーリングがアメリカの若手のような「クールなヘヴィ・サウンド」になることも阻害している。残念ながら、気迫が空回りしているアルバムと言わざるを得ない。全体的に曲が長めなこともあり、聴き疲れするのもマイナス印象。バンド名に敬意を表してこの点数だが、実際は2回聴いてお蔵入りになったアルバムです(苦笑)。

JUDAS PRIEST
PAINKILLER
94
ペインキラー (1990)

メタル・ゴッドJUDAS PRIESTが、90年代においてもなおメタル・ゴッドであることを高らかに宣言した名盤。当時隆盛を極めていたスラッシュ・メタルに触発されたアグレッションを導入しつつ、伝統的なヘヴィ・メタルの様式もちゃんと息づいたそのサウンドは、まさにヘヴィ・メタルを超えたヘヴィ・メタルと呼ぶに相応しい。新加入のスコット・トラヴィス(ex. RACER X)の強烈なドラミングをイントロにフィーチュアした1曲目のタイトル曲はHR/HM史上最もインパクトの強い名曲(インパクトが強すぎるゆえにHR/HM初心者にはお薦めできないが…)。アナログでいうA面にあたる前半は#3「All Guns Blazing」や#5「Metal Meltdown」など、強烈なアグレッションが息づく楽曲で占められ、後半は比較的伝統的なHMの様式美の流れを忠実に受け継いだメロディックな楽曲が並んでいる。名曲揃いだが、個人的には#7「Between The Hammer & The Anvil」が大好き。とにかくアルバム全体から発せられる緊張感と攻撃的なオーラが凄まじい、HR/HM史上に燦然と輝く大名盤。

JUDAS PRIEST
RAM IT DOWN
86
ラム・イット・ダウン (1988)

「ブッ潰せ」というアルバム・タイトル、そのタイトルそのままなジャケット、そして収録曲に並ぶ「Heavy Metal」「Hard As Iron」「Monsters Of Rock」といういかにもメタル、というイメージを打ち出した楽曲群、全てが前作の実験性に対する反動とでも言うべき「原点回帰」を感じさせる。たしかに前作に比べハードかつ攻撃的なサウンドなのだが、前作のキャッチーなテイストやモダンなサウンド作りの名残は残っており、そういう意味では中途半端な作品でもある。特に映画のサウンドトラックに提供したチャック・ベリーのR&Rクラシック「Johnny B. Goode」のカヴァーを収録したのは、アルバムの印象を散漫にしたという意味で失敗だったのではないだろうか。まあ、デイヴ・ホーランドのドラムじゃこれ以上の激しさを望むのは無理なのかな…。とはいえ、#1、#2、#4、#5、となかなかカッコいい曲が揃っており、#6や#10の荘厳なドラマ性も嬉しい、個人的には結構好きなアルバム。1曲目のタイトル曲なんかはJUDAS PRIESTの楽曲で一番メロスピ系のファンにアピールする曲なのでは、と思えるほど。

JUDAS PRIEST
TURBO
84
ターボ (1986)

前々作「SCREAMING FOR VENGENCE(邦題:復讐の叫び)」、前作「DEFFENDERS OF THE FAITH(邦題:背徳の掟)」という、ヘヴィ・メタルの聖典と呼ぶべき名盤2枚によって「メタル・ゴッド」としての地位を確立したJUDAS PRIESTが、HR/HMブームがピークに達した86年、世に問うた問題作。まず物議を醸したのはギター・シンセサイザーをはじめとする、モダン・テクノロジー(当時)の導入。それが大胆にフィーチュアされた1曲目のタイトル曲は、まるでエレクトロ・ポップのようでさえあり、曲としては結構よく出来た曲なのだが、激しい賛否両論を巻き起こした。しかし、本作の評価における賛否両論のうち「否」の占める割合が圧倒的に高いのは、サウンドのモダンさというよりは、グッとキャッチーかつポップになった曲調の問題だと思う。#4や#5や#7なんてドコのLAメタルバンドの曲かと思うもんな。曲のクオリティ自体は決して低くないのだが、信念の守護者たるメタル・ゴッドに求められる音楽性じゃないでしょ、こりゃ。このアルバムが先に出て物議を醸したせいで、この後発表されたIRON MAIDENの「SOMEWHERE IN TIME」まで(音楽性は全く変わっていないにもかかわらず)モダンなサウンドを取り入れているというだけで「問題作」扱いされてしまった。結果的に「HR/HMバンドが新しいことをするのは悪」というような風潮ができあがってしまい、それがメタル・シーンの動脈硬化をもたらしたとすれば、罪深いアルバムと言えるかもね…。

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