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HEAVENS GATE
PLANET E.
81
プラネット E. (1996)

彼らは日本のファンに愛されているバンドだった。前作ライヴ盤に込められている熱気はそのことを如実に物語っている。きっとトーマス・リトケ(Vo)は4年ぶりのこの新作を、日本のファンは温かく「おかえり、フリーデル!」と迎えてくれるだろうと思っていたに違いない。しかし、本作に対する日本のファンのリアクションは、ほぼ無反応に近かった。それは本作の出来が悪かったからか? 否、決して悪いアルバムではない。ここで聴かれる音楽はかつての「ジャーマン・メタル」そのものではないが、充分彼ららしい音楽で、ギターのアレンジがカッコいい#2、疾走感溢れる#4、どこか懐かしさを感じさせるバラードの#5、エキゾチックな#7、ドラマティックな大作の#9など楽曲も悪くない。リサ・ダルベロ(かつてQUEENSRYCHEも取り上げていたカナダ人シンガー・ソングライター)の#8、70年代の変り種バンドであるSPARKSの#10といったカヴァーも興味深い。しかし、ブームに乗って浮上したバンドが、ブームが過ぎてなお生き残っていくためには「まあまあ」や「なかなか」という程度ではダメなのだ。同じ「ジャーマン・メタル」ブームにおける「同期」といえるBLIND GUARDIANは92年から95年という、ヘヴィ・メタルにとって最も厳しい時期に、実力でアイデンティティと支持基盤を確立させてみせた。そして、それができなかったバンドたちは次々と消えていった。その時期を、まるで冬眠するかのようにやり過ごした彼らだが、目覚めてみると彼らのファンはブームの終焉と共に去ってしまっていた。そして、この「悪くない」新譜には去ったファンを呼び戻す力も、新しいファンを開拓するだけの力もなかった。残酷な言い様だが、そういうことなのだろう。

HEAVENS GATE
LIVE FOR SALE !
76

ライヴ・フォー・セール! (1993)


90年代初頭のジャーマン・メタルがいかに日本で人気があったか、を端的に伝えるアルバムと言えるだろう。ここで披露されているパフォーマンスはお世辞にもプロフェッショナルとは言いがたい。今日びスタジオでいかようにも修正できるはずなのに、残酷なほどそのまま収められているフェイクだらけのVoも、ドタバタしたDrも、アマチュア以外の何物でもない。しかし、この日クラブチッタの集客数は会場の新記録を達成する盛況ぶりで、サビでの大合唱、曲名コールやギター・ソロの見せ場で巻き起こる歓声は熱気に満ちている。きっとバンドのメンバーにとってこのアルバムは宝物だろう。自分たちが作った音楽が文化も人種も異なる遠い極東の島国の(一部の)若者たちの心をつかんでいたことを、このCDは雄弁に証明してくれているのだから。この日のライヴの模様はBURRN!でもレポートされたので、その記事を読みながら聴けば、その日の様子が容易に想像できることだろう。演奏の質はともかくとして、当時の「ジャーマン・メタル」ブームの熱気を伝えるドキュメント作品としては、なかなか意義のある作品なのではないだろうか。とりあえず選曲は悪くないし、僕は楽しめた。

HEAVENS GATE
HELL FOR SALE !
82
ヘル・フォー・セール (1992)

前作を支持した「ジャーマン・メタル」ファンの間で物議を醸した問題作。オープニングを飾る#1や、日本のファンに捧げた#7は期待通りのメロディック・スピード・メタル・ナンバーだし、#3は1stの「Path Of Glory」、2ndの「The Never Ending Fire」に続く3部作の最終章で、パグパイプの使用など、BLIND GUARDIANを思わせるドラマティックなアレンジが良い。しかし、#2のタイトル曲や、力強いサビが印象的な#8、ギター・リフがカッコいい#11などは、いささかHMの様式から外れた、サシャ・ピート(G)のセンスが強く出たと思われる風変わりな楽曲で、ファンに違和感を与えてしまった。そしてフラッシーなギターのイントロから入るEXTREME…?な#4や、ヘヴィ・シャッフル調の#9、そして折からのアンプラグド・ブームに乗ったとしか思えないアコースティック・バラードの#10など、あからさまにアメリカンな楽曲の存在は違和感を通り越して悪印象ですらあった。全体的なクオリティは決して低くなく、この時期のドイツのバンドとしては珍しい、多彩な音楽的ボキャブラリーを見せつけたアルバムなのだが、それはファンに期待されている音楽性ではなかった。僕はアーティストが商業的に成功するためにはある程度戦略的に音楽性をコントロールしていくこともやむをえないと思っているが、彼らの場合、この段階での音楽性の拡散はやや時期尚早だったのではないだろうか。

HEAVENS GATE
MORE HYSTERIA
70
モア・ヒステリア (1991)

「LIVIN' IN HISTERIA」の好評を受け、次作までのつなぎとしてリリースされたEP。このバンドを第二のHELLOWEENとして育てようというレコード会社の強い意欲を感じますね。あるいは単に余波で売ろうとしたのか(笑)。で、内容ですが、#1「Thin, Fake And Bold」は荒々しい疾走チューン。速いことは速いが、メロディは弱め。#2「Metal Hymn」はタイトル通りのメタル賛歌で、ミドルテンポのオーソドックスな正統派HMチューン。#3「Sidewalk Sinner」はソリッドなGリフを持つテンションの高い曲。#4は「LIVIN' IN HISTERIA」収録の人気バラード「Best Days Of My Life」のアコースティック・バージョン。正直可もなく不可もない出来の曲ばかりで、どう考えてもアウトテイク集ですな。ま、こういう商品が企画されるうちが華ですね。

HEAVENS GATE
LIVIN' IN HYSTERIA
88
リヴィン・イン・ヒステリア (1991)

彼らの日本デビュー作であり、この時期の「ジャーマン・メタル」ブームを代表する一枚となった名盤。オープニングを飾るタイトル曲はテンポ的には疾走、というほど速くはないが、メロディを含めた「勢い」で、疾走チューンに匹敵する興奮をもたらす名曲。印象的な中間部からギター・ソロへの流れ、特にツインの絡みが最高。続く#2もアップ・テンポのカッコいいHR/HMチューン。#3は前作収録の「Path Of Glory」の続編となるドラマティックなミドルテンポの楽曲。#5はツイン・ギターの見事なコンビネーションが映えるアップ・テンポのインスト。#6のどっしりしたリズムもアルバム中の良いアクセントになっている。RIOTの「Thundersteel」を思わせる疾走チューンの#7、ファンに名バラードとして人気の高い#8と、アルバム後半もテンションは落ちず、アルバムの幕引きを飾るのは、バンドのテーマ曲と言っていいであろう超名曲#10「Gate Of Heaven」。基本的には疾走チューンでありながら、5分に満たない尺の間に詰め込まれた展開の妙はまさに絶品。要所要所に印象的な曲を配したアルバム構成の見事さにも舌を巻く。基本は「ジャーマン・メタル」でありながら、後のメロディック・スピード・メタル・バンドのような金太郎飴状態に陥らないバラエティ感も素晴らしい。A級バンドのようなオーラこそないものの、B級バンドが創造しうる最高の名盤と言えるのではないだろうか。

HEAVENS GATE
OPEN THE GATE AND WATCH !
74
オープン・ザ・ゲイト・アンド・ウォッチ!(1990)

本EPはもともと日本では前作「IN CONTROL」とカップリングで1枚のCDとして売られていた商品だが、彼らの人気がアップすると、別々の商品として分売されるようになった。ビクターさんも商売えげつないですな(笑)。もっとも、実際アルバムにボーナス・トラックやらカップリング音源やらが収録されることを作品の起承転結を損なうものとして嫌う僕のような人間には、それなりにニーズのある商品だったり(売り手の思う壺)。本作はEPにもかかわらず#1がSEっぽいイントロダクションだったりして、凝っている。続く#2「Touch The Light」はサビのハイトーンが印象的な典型的ジャーマン疾走チューンで、ファンならこれ1曲でかなり満足が行くことだろう。凝った構成を持つドラマティックな#2、#4の一筋縄ではいかない仕上がりは本作から本格的に作曲に関与するようになったサシャ・ピート(G)からインプットが効いているのだろうか。#3は70年代のグラム・ロッカー、デヴィッド・エセックスのカヴァーで、なかなかロック・マニアな選曲。#6はファースト収録曲のリミックス。

HEAVENS GATE
IN CONTROL
78
イン・コントロール (1989)

とてもオーソドックスなヘヴィ・メタル・バンドだと思う。歌唱・演奏もそこそこ、サウンド・プロダクションもインディーズとしてはまずまず良好。楽曲も特別光るものはないが、とりあえずヘヴィ・メタルが好きなら楽しめるだろう。メタルのお約束的なイントロの#1「The Gate」に続くタイトル曲である#2はなかなか印象的なリフを持っているし、#6「Tyrants」は、劇的なギター・ソロを持つメロディック・スピード・メタルの佳曲で、ポストHELLOWEENを求める「ジャーマン・メタル」ファンの注目を集めたのも頷ける。この後2枚のアルバムに渡って繰り広げられる3部作の第1部である#7「Path Of Glory」もドラマティックな雰囲気が良い。#3、#4、#10など、オーソドックスなヘヴィ・メタルとしか形容できない曲も、それなりに聴かせる魅力がある。正直この時点ではまだまだ小粒だし、中庸だが、決して悪くないし、磨けば光りそうな雰囲気は確かにある。こういうバンドが中堅として存在するシーンはなかなか底堅いのではないか。

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