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HALFORD
HALFORD IV -MADE OF METAL
81
メイド・オブ・メタル (2010)

前作「WINTER SONGS」はクリスマス・アルバムという、いかにもソロならではのサイド・プロジェクトという感じのアルバムだったので、HALFORDは今後そういう性格のプロジェクトとして散発的に活動していくのかと思いきや、前作から1年弱という若手のバンドも真っ青なペースでリリースされた本作は、とてもサイド・プロジェクトとは思えないタイトル通り「ド真ん中」のヘヴィ・メタル・アルバム。JUDAS PRIEST復帰前にリリースされた「CRUSIBLE」にあったアメリカのヘヴィ・ロック・バンドを思わせるモダンな要素がグッと薄くなっており、それが復帰したJUDAS PRIESTの成功を受けてのものか、メタル・シーンのトレンドの変化を受けてのものかは不明だが、個人的にはなじみやすいサウンドで聴きやすい。ただ、この聴きやすさというのが曲者というか微妙な所で、ちょっとアッサリしすぎている感があるのが物足りない。ロブの歌唱が中音域中心なのは年齢を考えるとやむを得ないし、中音域も魅力的なシンガーなので気にならないが、ちょっとリフが弱いような。まあ、ヴォーカルを中心としたソロ・プロジェクトであることは一面の事実なのでこういう作風になるのかもしれないが、「メタル・ゴッド」の作品としてはインパクトに欠けるかな。客観的には手堅い仕上がりで正統派HMの良作と言っていいアルバムだと思うんだけど。しかしこの作風ではJUDAS PRIESTとの差別化はどうするんだろう、というのは余計なお世話か。

HALFORD
HALFORD III -WINTER SONGS
77
ウインター・ソングス (2009)

JUDAS PRIESTが再び活動を始めたことでもはや終了かと思われたHALFORDの新作はなんとクリスマス・アルバム。クリスマス・ソングというと「ジングル・ベル」とか「サンタが街にやってきた」とか「きよしこの夜」みたいなおよそメタルとはかけ離れたイメージの楽曲しか思い浮かばず、マライア・キャリーじゃあるまいし、メタル・ゴッドのクリスマス・アルバムとか誰得だよ、と正直ピンと来なかった。おそらく日本のレコード会社もそう思ったのか、結局次作が発売される際に旧譜のリマスター再発盤などと一緒くたに発売されるまで日本盤はリリースされなかった。ただ、ロブ・ハルフォードは昔からこういうアルバムを作りたいという考えを持っていたそうで、本作はメタル・ヘッズへのクリスマス・プレゼントであると同時にパーソナルな作品でもあるとのこと。基本はクリスマス・ソングのカヴァーだが、前述したような日本人に広く知られているような曲は少なめ。#1、#6、#7、#8の4曲はオリジナルで、#1はHALFORDらしいカッコいいHMチューンだ。ただ、それ以外の3曲はおとなしめで、むしろクリスマス・ソングをアレンジした#2、#3などのほうがメタリックなカッコよさを放っているのは意外。ロブは普通に歌が上手い人なのでこういった企画もアリかと思う一方で、やはりロブの歌声は普通の歌を歌うにはちょっとアクが強いということをあらためて感じさせられました(笑)。

HALFORD
CRUCIBLE
77
クルーシブル (2002)

前作と、それに伴うツアーで「メタル・ゴッド復活」を高らかに宣言したロブ・ハルフォードのソロ・プロジェクトHALFORDのセカンド・スタジオ・アルバム。ジャケットからしていかにもだが、地味なアルバムである。前作にあったいい意味でのインパクトの強さや、キャッチーな要素がほとんど排されており、非常にストイックな音世界が続く。好意的に解釈すれば、この暗い地味さはJUDAS PRIEST以来のメタル・ゴッドならではの荘厳さや重厚さに通じるもので、ありがたがる「信者」もいるかもしれない。しかし、残念ながらそこまで敬虔なメタル信者でない私には正直退屈に感じられる場面の方が多かった。速さとキャッチーさを併せ持つ名曲#4「Betrayal」から、アグレッシヴな#5「Heading Out Bullets」の流れには一瞬オッと思わされたし、ドラマティックな#12〜#13の流れはまずまずだが、それ以外の多くの曲にアメリカのモダンなヘヴィ・ロックにありがちな「うねり」や「ハネるリズム」が取り入れられていることも、個人的には悪印象。JUDAS PRIEST時代からトレンドに対しては意欲的に向き合ってきただけに、その流れにある所業と思われるが、ぶっちゃけ今私がロブに望むのは「JUDAS PRIESTの名曲の焼き直しのような音楽」だったりするので、モダンな要素は蛇足である。

HALFORD
LIVE INSURRECTION
86
ライヴ・インサレクション (2001)

ロブ・ハルフォードのメタル復帰作として喝采を浴びた「RESURRECTION」のツアーは大成功を収めた。IRON MAIDEN、QUEENSRYCHEと回った全米ツアー、IRON MAIDENの前座として行なったイギリス公演、OVELKILLを前座に従えた欧州ツアー、そして来日公演に、「ROCK IN RIO」への出演を含む南米の短期ツアー、いずれも大盛況で、当時メタル復興の機運が高まっていたこともさることながら、やはり皆ロブにはメタルをやってほしかったということなのだろう。本作に収められたパフォーマンスもまさに「復活」を感じさせるエネルギッシュなものであり、少なくともこのCDで聴く限り、まだロブの声も出ている。JUDAS PRIESTのクラシック・ナンバーが過半数を占めているのは、キャリアの長さからやむを得ないことだろう(そしてそれは多くのファンが望むものであるはず)。ただ、冒頭「RESURRECTION」からの2曲に続いて演奏されるのがFIGHTの「Into The Pit」と「Nailed To The Gun」であるあたり、ロブにはアルバムからも感じられた「アグレッションへのこだわり」が強いことを思い知らされる。意外な選曲としては、FIGHT結成のきっかけとなったソロ名義のサントラ提供曲Disc1-#5あたりか。アルバムでブルース・ディッキンソンとデュエットしていたDisc1#10はこのライヴでもブルースとの共演になっている(IRON MAIDENとツアーしていたからだろう)。SCORPIONSの「Blackout」のカヴァーである日本盤ボーナスのDisc2-#9は、ドイツ公演の際、ルドルフ・シェンカーが飛び入りした際のレアなテイクだ。また本盤にはオマケ的にスタジオ録音曲が3曲追加収録されている。JUDAS PRIESTの83年の未発表曲「Prisoner In Your Eyes」、RACER Xへの提供曲だった「Heart Of Lion」のHALFORDによる新録に、純粋な新曲の「Screaming In The Dark」。新曲はアグレッシヴなスピード・チューンで、「Painkiller」アルバムに入っていてもおかしくないような曲。

HALFORD
RESURRECTION
84
レザレクション (2000)

ロブ・ハルフォードが、遂に正統的なメタルの王道に帰ってきた。穿った見方をすれば、FIGHTが尻つぼみに終わり、インダストリアル・メタルにチャレンジしたTWOも不発に終わったため、成功が見込めるフィールドに逃げ帰ってきた「出戻り」、ということなのかもしれないが、やはりメタル・ゴッドのイメージを体現する男がメタル・シーンに戻ってきたことは象徴的な意味でも大きい。本作の影の主役とも言えるプロデューサーは、ブルース・ディッキンソン(IRON MAIDEN)の「正統派メタル復帰」の立役者でもあったロイ・Z。「蘇生」といういかにもなタイトル曲は、JUDAS PRIESTにおける名曲「Painkiller」を彷彿させる、ロブならではの超ハイトーンが炸裂するアグレッシヴな曲で、メタル・ゴッドの復活を印象付けるに相応しい一曲。続く#2「Made In Hell」はキャッチーなツイン・リードもフィーチュアした典型的な正統派メタル・ナンバーで、ファンの「期待」はここで「確信」に変わることだろう。正直地味な曲や退屈な曲もあるし(#11なんて収録しないほうがよかったんじゃないの?)、ロイ・Z独特のファットなプロダクションも実は趣味ではないのだが、全体的にはまずまずの仕上がりだし、とにかくロブ・ハルフォードの「復活」にこそ本作の意味はあると言っていいだろう。

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