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GAMMA RAY
EMPIRE OF THE UNDEAD
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エンパイア・オブ・ジ・アンデッド (2014)

ダン・ツィマーマン(Dr)が脱退し、マイケル・エーレ(元METALLIUM, LOVE MIGHT KILL他)を迎え、EP「MASTER OF CONFUSION」を挟んでリリースされたフル・アルバム(EP収録曲は別テイクで収められている)。本作の制作に使っていたカイ・ハンセン(Vo, G)所有のスタジオが火災で全焼するというアクシデントがあったが、本作のマスターテープは奇跡的に無事で、当初の予定通りに完成した。前作発表後、カイがマイケル・キスクの新バンドUNISONICに加入し、そちらでバラエティ豊かなHR/HMサウンドを展開してみせたが、その分「本業」であるこのGAMMA RAYではよりストレートかつピュアなヘヴィ・メタルを追求しようという意志が働いたという。とはいえ、元々GAMMA RAYはカイ・ハンセンが生み出した「メロディック・パワー・メタル」を追求してきたバンドだったし、特に00年代以降、よりピュアなヘヴィ・メタルへの傾倒を示していただけに、本作のサウンドは順当にこれまでの流れを受け継いだものと感じられる。オープニングから10分に及ぶドラマティックな大作チューンで過去の名盤「LAND OF THE FREE」を想起させ、らしい楽曲を揃えつつ、全体的にはよりアグレッシヴな感触の仕上がりである。年齢を重ねてハスキーさを増しているカイの歌声に合わせているのかもしれないが、前々作あたりから顕著になってきた音作りのラフといっていいほどの荒々しさは、個人的にはカイ・ハンセンの音楽の特色である「カラフルな構築美」を損なっている気がしてあまり好きになれないのが正直な所。海外デジパック盤やLP盤では色違いになっているバンドのシンボル・キャラクター「ファングフェイス」の石膏像を使って制作されたホラー・タッチのアートワークも、このバンドの音楽性の魅力を表現しているとは思えない。

GAMMA RAY
TO THE METAL
81
トゥ・ザ・メタル (2010)

バンド結成20周年に放つ通算10作目のアルバム。タイトルは「Pedal To The Metal(アクセル全開!)」と「Cheers To The Metal(メタルに乾杯!)」の2つの意味があるそうで、自らがメタル・バンドであり、今後もメタルであり続けることを20周年という節目に力強く宣言する頼もしいステートメントだ。ただ、内容については#1のような今までにはなかったタイプの雰囲気を持つ楽曲なども収めつつ、基本的にはいつも通りの、オリジネイターならではの典型的メロディック・パワー・メタルを展開している。ただ、タイトル曲#4がまんまJUDAS PRIESTの「Metal Gods」であることに象徴される、10年前くらいから気になってきた「どこかで聴いたことのある」フレーズやリフの頻出はさらに露骨になっており、正直個人的にはオマージュにしても「やり過ぎ」の感を覚えた(まさかアンディ期のHELLOWEENからも「引用」してくるとは…)。前作でもチラッと感じたサウンド作りの生っぽさも、個人的には「らしくない」と感じるし、カイ・ハンセンのVoも一時期はだいぶマシになったと思っていたが、最近は良く言えば自然体、悪く言えば向上心の感じられないラフな歌声で、正直デモ・テープに入れる仮歌レベルの歌唱。そういう意味ではあまり力作感の感じられないマイペースなアルバム。#2にマイケル・キスクが15年ぶりにゲスト参加しているが、サビのデュエット程度なので、軽いファン・サービス以上の意味はない。

GAMMA RAY
LAND OF THE FREE II
84
ランド・オブ・ザ・フリー・2 (2007)

HELLOWEENが「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」という過去の名作のタイトルを冠したアルバムで再び注目度を高めたことを意識したのか、こちらも95年の名作「LAND OF THE FREE」の名を冠したアルバムを発表。しかもツアーはそのHELLOWEENと回るということで、往年の「ジャーマン・メタル」ファンには感慨深いものがある。ただ、前作発表後、所属レーベルの倒産に伴う移籍問題など、ビジネス的なことに時間を取られた上、件のHELLOWEENとのツアーに間に合わせるために本作の制作スケジュールはかなりタイトだったようで、そのせいかサウンドはいつになくラフな感触。一方で楽曲はヘヴィさが強調されていた前作に比べ、疾走感のあるキャッチーなものが多く、タイトルを踏まえて意図的に過去に立ち戻った印象である。アルバムのラストを飾る10分超の大作「Insurrection」は明らかに「LAND OF THE FREE」収録の大作「Rebellion In Dreamland」の続編的な曲だし、#4「To Mother Earth」も、同作収録の「Man On A Mission」を想起させるドラマティックなスピード・チューンだ。もちろんそれらは往年のファンにとっては楽しめる要素なのだが、穿った見方をすれば過去の素材流用に過ぎないという面もある。前作ではやや控えめだった先達バンドからのパク…いや、「引用」も今回かなり露骨(#9「Opportunity」なんてモロIRON MAIDEN!)で、そういった意味でもラフというか、練り込み不足という印象を受けてしまうのが残念。まあ、これは長年カイの音楽を愛してきた人間だからこその苦言で、作曲については凡百のフォロワーを寄せ付けないレベルにあることは言うまでもない。

GAMMA RAY
MAJESTIC
82
マジェスティック (2005)

約4年ぶりという、彼らにしては長いインターバルをおいてリリースされた通算8枚目のアルバム。STRATOVARIUSで有名になったフィンランドのFINNVOXスタジオを、「元祖」である彼らがミックスに使用しているあたり、時代の流れを感じさせられる。音楽的には、基本的に前作「NO WORLD ORDER!」の延長線上にある、彼ららしい明るい疾走感よりも、ヘヴィな攻撃性を前面に押し出したアルバムである。とはいえ、制作期間が長かったからというわけでもないと思うが、前作よりもアレンジ面で練りこまれた作品、という印象を受ける。いろいろな所で指摘されているような他アーティスト(特にJUDAS PRIEST)や、過去の自らの音楽からの「引用」も前作ほどあからさまではなく、自然に楽曲の一部として呼吸しているのは、そのことを象徴する事実だろう。オープニングを飾る#1や、タイトル曲である#8といった曲に顕著な、ややモダンと映るヘヴィなフィーリングは、#2「Fight」や#10「Revelation」のような比較的以前の「ジャーマン・メタル」っぽさ強く感じさせる曲にも確実に息づいているが、そうした新しい要素も違和感なく「カイ・ハンセンの音楽」に取り込み、なじませるセンスにはやはり脱帽である。ただ、この音楽を雄々しく歌い上げてくれる上手いシンガーさえいれば…という思いは曲調がより重厚かつシリアスになった今回、いつも以上に感じてしまった。さて、マーケット的にはこのブランクが吉と出るか凶と出るか。

GAMMA RAY
NO WORLD ORDER!
85
ノー・ワールド・オーダー (2001)

IRON MAIDENのマネージメント会社として知られる「Sanctuary」が、GAMMA RAYが所属し、HELLOWEENをはじめ幾多の「ジャーマン・メタル」バンドを輩出したドイツの名門レーベル「NOISE」を買収。MEGADETHやW.A.S.P.なども所属する新レーベル「Metal Is」からのリリースとなった7作目。前作に関して個人的に感じていたマンネリ感をカイ・ハンセンも感じていた…ってことはないだろうが、本作では黄金のカイ・ハンセン節とも言えるメロディック・パワー・メタル路線に若干の路線変更がある。依然メロディックであることは変わりないのだが、そのメロディからカイ独特のクサみが薄れ、軽快ともいえた疾走感にいくらか重量感が加わった。結果としていわゆる「正統派」と呼ばれる方向に近づいたわけだが、その方向性はまるでJUDAS PRIESTの「Rapid Fire」のカヴァーかと思ってしまうような「Solid」が象徴している。個人的には正統派メタルも大好きなので、この路線を否定しようとは思わないし、実際結構カッコいいのだが、やはりカイには永遠のキング・オブ・メロディック・スピード・メタルでいてほしい…というのがカイに憧れてギターを買った信者(僕です)の本音。


GAMMA RAY
POWERPLANT
86
パワープラント (1999)

前作がヨーロッパで大成功した結果か、前作ではショボショボだったジャケットにIRON MAIDENなどを手がけた大物ディレク・リッグスを起用してのリリースとなった6作目となる本作は、もはやこの手のジャンルでは他の追随を許さないほどの完成度と風格を備えたアルバムに仕上がった。キャッチーなメロディとドラマティックな展開を備えた、スピード感に満ちたヘヴィ・メタル、これ以外の形容が思いつかない。ファンには安心印の好盤である。しかし、前作でも多少感じられたマンネリ感は今作にもつきまとい、ペットショップ・ボーイズのカヴァー#7「It's A Sin」(もともとメタル的とも言えるような哀愁のメロディを持った曲なので違和感なくハマっている)や、MANOWARばり(パロディ?)の#8「Heavy Metal Universe」など実はかなりバラエティに富んだ楽曲をラインナップしているにもかかわらず、過去の己の姿をコピーしているかのようなマンネリ感から抜け出し切れてはいない。しかし、これまでGAMMA RAYを聴いたことのない人間をメロディック・パワー・メタルの虜にするだけのクオリティは充分に備えていると思う。

GAMMA RAY
SOMEWHERE OUT IN SPACE
88
サムホエア・アウト・イン・スペース (1997)

唯一のデビュー以来からの参加メンバー、ダーク・シュレヒターが彼にとっての本業であるベースへの転向を希望したために再度大幅なメンバーチェンジを行っての5作目。前作は全体的にメロディ志向の強いアルバムだったが、今回はひたすらパワー一辺倒。カイ・ハンセン得意の躁状態のごときスピード・チューンの嵐で聴くものを圧倒する。むろんカイのことだから曲中の随所に印象的なフックを設けており、同じような曲が続く印象は全く与えない。ただ、アルバムのリーダートラックである#7「Valley Of The Kings」のサビが、「INSANITY AND GENIUS」収録の「Last Before The Storm」のサビとそっくりであることに象徴されるように、過去の手法焼き直しが目に付くようになったことや、タイトル曲が後輩格であるBLIND GUARDIANの楽曲を思わせるなど、作曲に新鮮さが薄れたことはやや問題。しかし、このジャンルのオリジネイターがカイであることを考えれば、少なくとも著作権法に触れることはない問題であろう(笑)。いずれにせよ、本作の心地よさはメロディック・スピード・メタルを愛する者にとっては抗いがたいものであることは確か。このアルバムあたりまではラルフに歌っていて欲しかったなあ…。これまで彼らの人気は日本先行気味だったが、本作の成功を機にイタリア、スペインを中心としたヨーロッパ主導に切り替わった。

GAMMA RAY
LAND OF THE FREE
91
ランド・オブ・ザ・フリー (1995)

JUDAS PRIESTのオーディションで最終選考に残ったラルフ・シーパースがGAMMA RAYの活動に集中しないことに業を煮やしたカイ・ハンセンがラルフをクビにし、再び自らが歌うという道を選択して作り上げた4thアルバム。カイのヴォーカルはお世辞にも上手いとは言い難く、声質自体「魔女のような」と形容されることもある非常に個性の強いものであるため、リリース前はアルバムの完成度が危ぶまれていたが、リリースされたアルバムは結論からいえば非常に素晴らしいものだった。いきなり劇的な盛り上がりが感動を呼ぶ大作#1「Rebellion In Dreamland」で幕を開け、楽曲単位で見た場合カイ・ハンセンの最高傑作ではないかと思われる絶品の#2「Man On A Mission」が流れてきた時点で昇天。このアルバムにおけるカイのソングライティングは従来の「躁状態」とも形容されることのあるカラッしたムードとは異なる、叙情的でウエットなメロディを多用し、作品に深みを与えている。HELLOWEEN時代の盟友、インゴ・シュヴィヒテンバーグの死が彼の精神に何らかの影響を与えたのだろうか(ちなみに本作に収められている#13「Afterlife」は彼に捧げられている)? また、マイケル・キスクが#12「Time To Break Free」に参加していることも本作の話題で、一時は「マイケル、GAMMA RAYに加入か?」などという噂さえ流れた(残念ながら噂で終わったが…)。この素晴らしいアルバムをマイケルが全編歌っていたら…プラス3点は堅かったな。

GAMMA RAY
INSANITY AND GENIUS
88
インサニティ・アンド・ジニアス (1993)

前作の不評がカイ・ハンセンに己の生きる道を再確認させたのか、このサード・アルバムは吹っ切れたかのようにメロディック・パワー・メタルに徹している。オープニングを飾る#1「Tribute To The Past」は完全無欠の強力なパワー・メタル・チューンである。また、以前のアルバムに比べバンドらしさを感じさせるサウンドになっており、躍動感と爽快感に満ちていて、聴いていてとても心地よい。バンド名の由来となった70年代のジャーマン・プログレバンド、BIRTH CONTROLの#6「Gamma Ray」を境に前半はカイ・ハンセンの曲、後半は他のメンバーが書いた曲と分かれており、僕はこの構成がジャケットの陰陽を表していると勝手に思っている(しかしこのジャケットはあまりに手抜きじゃありませんか?)。カイ・ハンセンの曲はもちろん、他のメンバーの書いた曲もかなりの秀曲揃い(中でもオペラティックな#10「Heal Me」は素晴らしい)で、舌を巻く。

GAMMA RAY
SIGH NO MORE
83
サイ・ノー・モア (1991)

デビュー作が日本で大成功を収めたGAMMA RAYのセカンド・アルバムは、日本のファンには問題作として受けとめられた。当時カイ・ハンセンは自らに求められる音楽の幅があまりに狭いことをいささか苦々しく思っていたようだ。そのため、意図的に自らに求められる音楽=メロディックなスピード・チューンから距離を置く、というような発言をしており、実際このアルバムにはミドルテンポの、前作に比べ暗いトーンの楽曲多かったことが物議を醸した原因である。しかし、実際のところアップテンポな曲も結構収録されているし、なによりフックに満ちた楽曲作りとメロディックなギター・ワークは全編にわたって健在なので、先入観を捨てて聴けば充分に楽しめる佳作である。

GAMMA RAY
HEADING FOR TOMORROW
95
ヘディング・フォー・トゥモロウ (1990)

HELLOWEENを脱退したカイ・ハンセンのプロジェクト(本人はバンドと主張するだろうが…)のデビュー作。元TYRAN PACEで「ドイツのロブ・ハルフォード」の異名をほしいままにしていた強力ヴォーカリスト、ラルフ・シーパースと作り上げたサウンドはまさにファンがカイに望む音楽そのもののメロディック・スピード・メタルだった。ギター・オーケストレーションによる荘厳なオープニング#1「Welcome」から疾走曲#2「Lust For Life」へ、そしてキャッチーな#3「Heaven Can Wait」。この流れでKO決定。QUEENばりのドラマティックさを誇る##「Silence」、シアトリカルな#5「Money」、印象的なコーラスが感動を呼ぶタイトル曲#9「Heading For Tomorrow」と、アメリカ人には決して、いや、カイ以外には作りえない楽曲世界は見事のひと言。日本でのジャーマン・メタル・ブームを一気に盛り上げた名作。

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