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FIREWIND
FEW AGAINSST MANY
84
フュー・アゲインスト・メニー (2012)

前作「DAYS OF DEFIANCE」はガス・G(G)がOZZY OSBOURNEのギタリストに抜擢される以前に書かれた楽曲によるアルバムということで、本作こそがOZZY OSBOURNEとの活動によって得たものがフィードバックされたアルバムと言える。そして実際本作は、彼らの音楽の基本線である王道のHR/HM路線から逸脱しない範囲ではあるが、従来の作品と比べ、明らかにへヴィかつギター・オリエンテッドな作風になっている。ミックスにTRIVIUMやALL THAT REMAINSを手掛けたジェイソン・スーコフを、マスタリングにはMASTDONとの仕事で知られるアラン・ダックスを迎えた影響か、リフ・ワークのへヴィさは時に近年のOZZY OSBOURNEというか、BLACK LABEL SOCIETYをさえ彷彿させることも。日本における彼らの支持層である欧州メタル・ファンにとって、このヘヴィさを増した作風は必ずしも歓迎されるものではないかもしれないが、ヴォーカル・ラインは充分にメロディアスだし、全体的な勢いも申し分なく、個人的にはこれまで妙に行儀のよかったサウンドが、いい具合にダイナミックに弾けたと好意的に受け止めている。ガス・Gのシュレッドにも気合が入っている。相変わらず「このバンドだからこそ」という個性とキラー・チューンに欠ける点は物足りないが、これまで彼らに興味のなかった層さえも振り向かせるかもしれないパワフルなメタル・アルバムであることは間違いない。なお、本作よりDrがNIGHTRAGEのジョー・ニューンツに交代している。

FIREWIND
DAYS OF DEFIANCE
85
デイズ・オヴ・ディファイアンス (2010)

ガス・G(G)がオジー・オズボーンのバック・バンドのメンバーに抜擢され、知名度・注目度ともにアメリカを含む全世界的に飛躍的に向上した状況でリリースされた6枚目のアルバム。タイトルである「闘争の日々」は、昨年(09年)明るみに出たギリシャ危機に対する怒りが込められているとか。Drが元METALLIUMのマイケル・エーレに交代しているが、本作でプレイしているのは前任のマーク・クロスである。また、ミックスはこれまでフレドリック・ノルドストロームが手掛けていたが、本作ではTHUNDERSTONEのニノ・ラウレンネ(G)が手掛けている。そのためか、これまでに比べ、本作ではサウンドがより生々しい感触に変化している。とはいえ、音楽性はこれまでと一切変わらずHR/HMの王道一直線。アグレッシヴな曲からキャッチーな曲、バラードからインストまで楽曲に幅はあれど、ヘヴィ過ぎることもなければポップ過ぎることもない、絶妙のバランスが保たれている。一歩間違うとサウンドを軟弱にしてしまうKeyの使い方も非常に効果的だ。この2010年時点において最も典型的でピュアなHR/HMを体現しているのはこのバンドなのではないだろうか。前作以上にスケール感と完成度を高めたサウンドは非の打ち所がないが、このバンドならではの個性が見えないことと、突き抜けた煽情力に欠けるという従来の課題は本作でもクリアされていない。

FIREWIND
THE PREMONITION
86
ザ・プリモニション (2008)

前作の成功で「ギリシャを代表するHR/HMバンド」としての地位を確立、この手の音楽性のバンドとしては珍しく、イギリスにおける注目度も上昇しているFIREWINDの5作目は、キャリアを代表する力作に仕上がった。これまで「方向性は王道でいいんだけど、イマイチ強い印象を残す楽曲が少ないんだよなあ…」という思いを隠せずにいたが、本作では過去の有名HR/HMバンドが築き上げてきた手法をパク…いや活用することで、どの楽曲も印象深いフックを備えた充実したソングライティングを示している。1曲目のこのイントロはMETALLICA(もっとはっきり言えば「Battery」)だよな、2曲目はJUDAS PRIESTのバッキングにDIOの歌メロ、ケルト風の3曲目はどう聴いてもTHIN LIZZYというかゲイリー・ムーア? などと思いながら聴いていたら、ライナーノーツでガス・G自身ほぼその通り告白してました(笑)。こういった元ネタバレバレなやり方をどう評価するかは人それぞれかもしれないが、先人からの影響が感じられることがHR/HMの「伝統芸」としての魅力だと思うので、私は肯定します。ボブ・カティオニス(Key/G)作の#4もキャッチーな佳曲だし、#5のサビも印象的で、特に前半の充実が素晴らしい。80年代ヒット・ポップスのカヴァー#9「MANIAC」は、ちょっとギターのバッキングは手抜き気味のような気がするが、曲がいいので楽しめる。もうちょっと突き抜けた何かが備われば、HR/HMの歴史に名を残すバンドになれそうだ、という期待を抱かせる「これぞ王道!」の一枚。

FIREWIND
ALLEGIANCE
84
アリージェンス (2006)

ガス・Gがこれまで掛け持ちしていたDREAM EVIL、MYSTIC PROPHECY、NIGHTRAGEといったバンドを全て脱退、このFIREWINDに全てを賭けて臨む入魂の4作目。本作ではVoが同郷ギリシャ出身のアポロ・パパサナシオ(元MAJESTIC〜TIME REQUIEM〜EVIL MASQUARADE他)に、Drがマーク・クロス(元METALLIUM〜HELLOWEEN他)に交代。ジェフ・スコット・ソート似のパワフルかつ重厚なアポロの歌唱と、パワー・メタル然とした重量感あふれるマークのドラムによってサウンドがグンと骨太かつパワフルになっており、これまでそこはかとなく漂っていたB級感は完全に払拭され、もはや風格さえ感じさせる。女声Voとのデュエット形式による#5「Breaking The Silence」など、これまでにはなかった華のあるキャッチーな楽曲の存在なども成長を感じさせるが、正直ギター・リフとかもっと面白くなるんじゃないの? と思ってしまうような「突き抜けきれないもどかしさ」みたいなものは全体のクオリティが向上した分いっそう強く感じてしまったりもするのが本音。Drを除くフロント全員がギリシャ人になったこともあり「ギリシャのバンド」としてのイメージが確立したためか、本作は本国ギリシャでかなりの好セールスを記録、シングルとなった#3「Falling To Pieces」はギリシャのヒット・チャートで11位に食い込むヒットになっている。

FIREWIND
FORGED BY FIRE
83
フォージド・バイ・ファイア (2004)

ヨーロピアン・メタル・インディー大手「Century Media」移籍第一弾。またもやメンバー・チェンジがあり、Voがスリランカ人シンガーのチティ・ソマパラ(元MOONLIGHT AGONY他)に交代、そしてKey奏者としてボブ・カティオニスが加入している。しかし、メンバー・チェンジがあろうとも音楽的には前二作を踏襲した、今どき珍しいくらいに王道を行くHR/HMで、ガナると山田雅樹(E.Z.O〜LOUDNESS)、メロウに歌うとクラウス・マイネ(SCORPIONS)を思わせるニュー・シンガーの歌唱が前任者ほど暑苦しくなく、歌メロの輪郭がつかみやすくなった分、よりメロディック&キャッチーになったように聴こえるのが好印象。かといってパワーダウンしたわけではなく、冒頭の明らかにザック・ワイルドを意識したと思しきヘヴィなリフや、ANNIHILATORを思わせるリフの#8が象徴するように、これまで同様パワー・メタル的とさえいえるアグレッションは健在である。『YOUNG GUITAR』誌ではガス・Gをアレキシ・ライホ(CHILDREN OF BODOM)、ヤニ・リマタイネン(SONATA ARCTICA)、Syu(GALNELYUS)と共に新世代ギタリストの代表格としてプッシュしているが、DREAM EVILのアルバムとあわせ、その期待に違わぬ力作で応えているのが頼もしい。#4にジェイムズ・マーフィー(G:DEATH、OBITUARY、TESTAMENT他)、#7にマーティ・フリードマン(元CACOPHONY、MEGADETH)がゲスト参加。

FIREWIND
BURNING EARTH
79
バーニング・アース (2003)

DREAM EVILのギタリストとして2度の来日公演とプロモーション来日も果たし、日本では若手のギター・ヒーローとして着実に人気を高めつつあるギリシャはテッサロニケ出身のギタリスト、ガス・Gのソロ・プロジェクト(バンド?)FIREWINDのセカンド・アルバム。DREAM EVIL以外にもMYSTIC PROPHECYのセカンド・アルバムの発表や、友人である同じギリシャ出身のデス・メタル・バンドEXHUMATIONのマリオス・イリオポロウス(G)のメロディック・デス・メタル・プロジェクトNIGHTRAGEへの参加など、精力的な活動を経てリリースされた本作ではメンバー・チェンジがあり、BがBREAKING SILENCEのペトロス・クリストに、DrがPAGAN'S MINDのスティーン・クリストファーセンに替わっている。その辺はソロ・プロジェクトならではという感じか。内容的には前作の作風を踏襲した正統派のHR/HMで、特に批判するほど悪い点があるわけではないのだが、今ひとつ特徴がないというか、リフ、歌メロともちょっと大味で、ガス・Gのソロのレベルの高さとは裏腹に、全体的なB級感が払拭しきれない。個人的には彼らの所属する「Leviathan Records」はB級バンドの巣窟というイメージがあり、このレーベルに所属する限りこのB級っぽさからは脱却できないような気がする、というのは偏見ですかね。

FIREWIND
BETWEEN HEAVEN AND HELL
80
ビトウィーン・ヘヴン・アンド・ヘル (2002)

テレビで観たアル・ディ・メオラに衝撃を受け、ピーター・フランプトンのレコードを聴いてギターを始めたというギリシャ人ギタリスト、ガス・Gのソロ・プロジェクト。バンド名は彼が敬愛するウリ・ロートのセカンド・ソロ・アルバムのタイトルから採られたもので、本作でもウリ在籍時のSCORPIONSのカヴァー#7を収録することであらためて敬意を表している。本作以前にデモCD「NOCTURNAL SYMPHONY」と、イングヴェイ・マルムスティーンのトリビュート・アルバム「A GUITAR ODYSSEY:TRIBUTE TO YNGWIE MALMSTEEN」に「Little Savage」で音源を発表している。本作はデヴィッド・T・チャステインが経営する「Leviathan Records」からリリースされており、Voのスティーヴン・フレドリック、Drのブライアン・ハリスは共に同レーベルの所属バンドであるKENZINERのメンバーとしてアルバム・リリース経験がある。本作に先立ってドイツのパワー・メタル・バンドであるMYSTIC PROPHECYのリリースがあり、また本作と同時期にDREAM EVILのデビュー・アルバムがリリースされたこともあって、ガス・Gの参加するアルバムが一度に3枚もリリースされ、どの作品においてもギター・ソロが際立っていたことから、日本におけるガス・Gの知名度は一気に上昇した。本作の内容は私好みの80年代っぽい正統派HR/HMで、ガス・Gのテクニカルで泣きの利いたギター・ソロも聴き応えがあるが、楽曲が類型的で今ひとつ面白みに欠けるのと、シンガーの暑苦しい声質があまり好みでないこともあり「まあまあ」って程度かな。後に再発された際ジャケットが変更されている。

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