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FAIRYLAND
SCORE TO A NEW BEGINNING
84
スコア・トゥ・ア・ニュー・ビギニング (2009)

前作のラインナップから、中心人物であるフェリッペ・ジョルダナ(Key)以外のメンバーが全員脱退し、実質フェリッペのソロ・プロジェクトとして制作された3作目のアルバム。各パートは総勢17名におよぶゲスト・ミュージシャン(オリジナル・メンバーであったウィルドニック・リエヴィンも含まれている)によってプレイされており、メンバーの多くがほぼ無名に近いことを除けばまるでAVANTASIAのよう。そのことが功を奏したのかどうかわからないが、本作は前作までのアルバムに漂っていたチープなB級感が大幅に払拭された好盤に仕上がっている。まずシンフォ・アレンジがかなり上質かつ繊細になっており、押しつけがましさを感じさせずに壮麗なドラマを彩っている。この時点でシンフォニック・メタル作品としては成功だが、前作でも顔を出していたプログレッシヴ・メタル的な要素がまたドラマを描き出す上で効果的なスパイスになっている。ギターもこれまでより巧いプレイヤーが揃っており、なかなかスリリングなプレイを聴かせてくれるし、何よりメイン・ヴォーカルを務めるマルコ・サンドロン(PATHOSRAY)の歌唱に説得力があるのが大きい。相変わらずキメ曲に欠けるのが惜しいが、これまで描いてきた「オシリア戦争」の最終章を飾るに相応しい力作だ。

FAIRYLAND
THE FALL OF AN EMPIRE
79
ザ・フォール・オヴ・アン・エンパイア (2006)

オリジナル・メンバーであったウィルドニック・リエヴィン(Dr, B, G)が脱退、リズム隊を一新して発表されたセカンド・アルバム。Voも元MAGIC KINGDOMのマックス・レクラークに交代している。所属レーベル「N.T.S.」が倒産したために3年のインターバルが空いたが、サウンドの作り込みという意味においてはこのブランクがプラスに作用したとか。いかにも物語の一章、という感じのタイトルから想像がつく通り、前作に引き続き「オシリアを舞台とするセノス軍との戦い」を描いたストーリーが展開されている。前作に比べるとよりギターが前に出て来て、シンフォ・アレンジに埋もれることが少なくなったため、楽曲に起伏がついてバランスが良くなったのはマル。前作ではほとんど終始意味なく連打されていた印象のバスドラが少しおとなしくなったのもサウンド面のメリハリという意味ではプラスに働いている。新Voのラッセル・アレン(SYMPHONY X)を思わせる歌唱も、必ずしもこの音楽性にフィットしているとは思わないが、少なくとも前任のエリザより歌唱力はある。ただ、結局今回もアルバムを聴き終えた後に口ずさみたくなるようなキャッチーなメロディには乏しく、名曲と呼べるほどの楽曲も存在していない。総合的に見たときに最もRHAPSODYに近い位置にいるシンフォニック・メタル・バンドだとは思うが、それでも10馬身は離されている。

FAIRYLAND
OF WARS IN OSYRHIA
78
オヴ・ウォーズ・イン・オシリア (2003)

フェリッペ・ジョルダナ(Key)とウィルドニック・リエヴィン(Dr, B, G)が98年にフランスで結成したプロジェクト「FANTASIA」に元HEAVENLYのアンソニー・パーカー(G)が加入、さらにDARK MOORのVoであるエリザ・C・マルティンを迎え、プロジェクト名をFAIRYLANDに変更してリリースしたデビュー・アルバム。音楽性はKeyによるオーケストレーションバリバリのシンフォニック・メタルで、FANTASIAと呼ばれていた頃から「ポストRHAPSODY」最右翼として、「ポストSONATA ARCTICA」最右翼のCELESTYと共に日本のメロスピ・マニアには注目されており、「Celestial Fantasia」なる人気サイトを誕生させるほど前評判は高かった。しかし、こうして実際に聴いてみた感想としては、ちょっと肩透かし。たしかになかなかよく作り込まれていて、聴いているときは「いい感じ」なのだが、聴き終えた後、今一つ心に残るものがない。ギターやドラムというHMにおける「骨格」が、単にサウンドをやかましくするための「装飾」になり、メタルにおいては「装飾」であるべきシンフォニックな要素が楽曲をリードする、という主客転倒が起きているため、メタルとしてのカタルシスに欠け、まるでRPGのサントラのよう。さらにわざわざ三顧の礼を以って迎えた(?)エリザの歌唱が表現力に欠けるため、メロディ面での説得力もイマイチ。期待していただけに、正直今年のガッカリ大賞だなこりゃ。

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