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EDGUY
SPACE POLICE -DEFENDERS OF THE CROWN-
86
スペース・ポリス―ディフェンダーズ・オヴ・ザ・クラウン (2014)

エネルギッシュな良いアルバム。EDGUYの通算10作目となる本作は、シンプルにそう思える作品である。ソリッドなアップ・テンポの#1で幕を開け、合唱したくなるコーラスをフィーチュアしたアンセム的な曲、パワー・メタル的な曲、ポップとさえ言えるほどにキャッチーな曲、雄大な感触のバラードなど、様々なタイプの楽曲を聴かせつつ、9分近くに及ぶ壮大な#10で幕を閉じる本作には全く隙がない。特筆すべきはギター・リフの充実で、トビアス・サメット(Vo)が主にキーボードで作曲したとは思えないほど楽曲中でリフが立っており、メロディック・メタル系にありがちな軟弱さを感じさせない骨太でバンド感のあるサウンドに仕上がっている。また、そのことがトビアスのソロ・プロジェクトであるAVANTASIAとの差別化にもつながっている観があり、本作の作風はEDGUYの立ち位置を確立する作品になるのではないか。オーストリア出身のポップ・スター、ファルコの大ヒット曲「Rock Me Amadeus」のカヴァーである#6は異色だが、ドイツ語圏出身にして80年代に全米No.1を記録したファルコをカヴァーすることで、自らもドイツのバンドとしての世界的成功を目指すという意志表明をしてみせたのではないか、というのは深読みし過ぎだろうか。

EDGUY
AGE OF THE JOKER
84
エイジ・オヴ・ザ・ジョーカー

トビアス・サメット(Vo)が狙っているのは、自らのルーツであるメロディック・パワー・メタルのエッセンスを生かしつつ、より大衆的でユニバーサルなHR/HMを創造することなのではないかと思う。「MANDRAKE」以降、典型的なメロディック・パワー・メタルからの脱却を図っていることが感じられたし、「ROCKET RIDE」以降その傾向は顕著になっている。そして本作もその流れの中にある作品で、メロディック・パワー・メタルという狭い枠には収まらない、ドラマティックな大作からメロディアス・ハード的な曲、ブルージーなテイストを持つ曲からラジオ・フレンドリーなバラードまで、HR/HMの幅の中でバラエティ豊かな楽曲を収めたアルバムになっている。本作ではKeyがフィーチュアされている曲が多いこともあってか、彼らにしてはストイックというか、いささか地味な仕上がりだった前作に比べてだいぶキャッチーでカラフルな印象があり、個人的にはなかなか楽しめた。ただ、メロディック・パワー・メタルというジャンルは狭くピュアであればあるほど快感度が増すというタイプの音楽だけに、ファンがその快感を求める限り、トビアスの目指す音楽がそれを超えるのはかなりの難事であることは確かであろう。

EDGUY
TINNITUS SANCTUS
81
ティニタス・サンクタス (2008)

前作が彼らにしては妙に薄味な仕上がりで、トビアス(Vo)の才能の枯渇を疑わせたが、その後発表されたAVANTASIAの「SCARECROW」では再び濃密なエピックを描き出し、その疑念を見事に払拭。しかしそうなると前作の作風は意図的なものであるということで、案の定本作では前作の拡散志向が押し進められ、脱・メロディック・パワー・メタル路線が顕在化する作風となった。ただ、前作が従来のメロディック・パワー・メタル路線を「薄めた」ような印象があったのに対し、本作ではもはや楽曲の骨格からしてメロディック・パワー・メタルとは異なる、もっとオーセンティックなHR/HMのスタイルへ抜本的に改革された印象がある。むろん従来のEDGUYらしさも随所に残ってはいるが、もはや本作だけを聴いたリスナーはこのバンドをメロディック・パワー・メタル・バンドだとは思わないだろう。そういう意味で、ファンに対して自分がEDGUYというバンドが好きなのか、メロディック・パワー・メタルというジャンルが好きなのか、判断を迫る1枚といえそうだ。地力のあるバンドゆえ本作も充分にクオリティは高く、「ジャーマンは嫌いだけど、コレなら聴ける」という新規ファンの獲得に期待がかかる一方、個人的には楽曲がかつての彼らが築き上げた黄金の「EDGUY節」を忘れさせてくれるだけのレベルには達していないように思われ、物足りなさも感じてしまったことを告白しておく。

EDGUY
ROCKET RIDE
84
ロケット・ライド (2006)

いきなり8分を超える大作チューンから始まる、通算7作目のアルバム(リメイク、ベスト、EPは除く)。本作では、メロディがややクサさ控えめになり、アレンジ面でも従来のやや過剰にも思えるほどのゴージャス感は抑えめで、生々しいサウンドになっている。テンポ的にもいわゆる疾走曲は#2くらいで、そのあたりを物足りなく思う向きもあろうが、サウンド全体に勢いは充分なので、個人的にその辺に不満は感じなかった。しかし、正直なところ全体的にはこれまでのEDGUYの濃厚な味に慣れた身には薄味に感じられ、物足りないのも事実。バラードの#7「Save Me」なんてFMラジオの一般洋楽番組で流れてもさほど違和感を覚えないほどの洗練されたポップ・ソングに仕上がっているし、サビのコーラスが印象的なタイトル曲や、アップ・テンポの#9「Out Of Vogue」などはなかなか気に入っているものの、正直トビアス・サメット(Vo)の作曲能力はこんなものじゃないだろう、と思ってしまう。この全体的なメロディの淡白さが、より幅広いファンを獲得するための戦略的なものであり、才能の枯渇ではないことを祈る。まあ、彼らはこの手のバンドの中では群を抜いて「ロック・バンド」らしい佇まいをしているので、こういうクサみの少ないサウンドによって世間へのメタルの間口を広げてくれるのであれば、それはそれで意味があるとは思うが。

EDGUY
SUPERHEROES
80
スーパーヒーローズ (2005)

迸るクリエイティヴティの現れか、レコード会社の方針か、今回もアルバムに先駆けて発表された6曲入りEP。メイン・トラックである#1は現在欧州で大人気のゴシック・ハードの雰囲気もあるキャッチーなロック・チューン。そういえば前作のリーダー・トラック「King Of Fools」もゴシックっぽい雰囲気だったな…。続く#2は快活なサビが印象的なアップ・テンポの、keyのアレンジが非常に80年代っぽい曲。#3は重厚かつどこか物悲しいサビを持つバラード。で、今回のハイライト・チューンは#4「Judas At The Opera」。これがまたAVANTASIAを思わせるカラフルでドラマティックな素晴らしい曲。高揚感と希望に満ちたサビは合唱せずにいられないね。ウォ〜オ♪! この曲にマイケル・キスクが参加という事実は日本ではEDGUYにプラスに作用する話題かもしれないが、既にEDGUYが大人気バンドとなっている本国では、むしろ「過去の人」になりつつあるマイケルにとっておいしい話かも。#5もヨーロッパ民謡的な雰囲気がいい感じ。#6は#1のバラード・バージョン。相変わらず優れた曲ばかりで、ファンなら確実に楽しめる一枚ですが、全体的にメタル度が低いのは人気バンドゆえのメインストリーム志向なのでしょうか。

EDGUY
HELLFIRE CLUB
91
ヘルファイア・クラブ (2004)

前作で押しも押されもせぬヨーロピアン・メタルの代表格としての地位を確立したEDGUYの通算6枚目となるフル・アルバム。前作でその兆候を見せていた「変化」が具現化し、ヘヴィさとスケール感を増したそのサウンドからは既に風格めいたものさえ伝わってくる。オープニングを飾る#1「Mysteria」のギター・リフはそれまでのEDGUYの小ぎれいなサウンドからは想像もつかないヘヴィ&ソリッドさで、度肝を抜かれる。しかもただヘヴィなだけではなく、サビでは印象的なメロディを聴かせてしまうのだからさすがである。続く#2はいきなり9分を超える大作で、"DIO meets IRONMAIDEN"的なドラマティックな曲調がたまらない(ただ、こういう聴き終えた後余韻に浸ってしまうような曲は、個人的にはアルバムのクライマックスに配置したほうがいいと思う)。その後も疾走曲からキャッチーな曲まで、安心印の高品質なEDGUYナンバーが並んでいる。WHITESNAKEの名曲「Bad Boys」のイントロにおけるデヴィッド・カヴァデールの物真似をしたとしか思えない「アウアウアウ〜!」のスクリームが笑いを誘う#8の80年代ポップ・メタル風味も微笑ましい。アルバムのエンディングを締める、オーケストラを導入したバラード#12は映画「ロード・オブ・ザ・リング」のエンディング・ロールに流れていても違和感がないのではいか、と思えるほどの堂に入った幻想的な曲。もともとひと皮剥ける必要などないほどにレベルの高いバンドでしたが、ここにきてついにひと皮剥けた感があります。

EDGUY
KING OF FOOLS
79
キング・オブ・フールズ (2004)

2枚組のライヴ・アルバム「BURNNING DOWN THE OPERA」を挟んでリリースされる、アルバム「HELLFIRE CLUB」からの先行EP。ファースト・シングルとなるタイトル曲は、近年ヨーロッパで人気の高いデジタル・ゴシック的な雰囲気のアレンジが新境地といえるナンバーで、サビではEDGUYらしいキャッチーなメロディが聴ける。その他に収録された4曲もEDGUYらしいクオリティの高いナンバーで、これらの曲はどれもアルバムには収録されないということだから、現在のEDGUYの楽曲生産能力がいかに高い水準にあるかを感じさせられる。ちなみに#5の「Life And Times Of A Bonus Track」は、毎回アルバムを作るたびに宿題のように付いてくる「ボーナス・トラック」という存在について皮肉っぽく歌っているユーモラスな曲で、歌詞を読むとクスっと笑える、一種のジョークといえるオマケ的な曲。

EDGUY
MANDRAKE
87
マンドレイク (2001)

フロントマンであるトビアス・サメット(Vo)のソロ・プロジェクト「AVANTASIA」が欧州のメタル・ファンの間で大センセーションを巻き起こし、その成功の余韻も冷めやらぬうちにリリースされたEDGUYの新作。「AVANTASIA」の成功の後押しを受け、注目作となった本作は、期待を裏切らない充実した内容もあり、やはりヨーロッパで大ヒットを記録している。前作「THEATER OF SALVATION」で頂点を極めた感のある「メロディック・パワー・メタルの様式」からの意図的な脱却を図るかのように、1曲目は荘厳な序曲でも疾走曲でもなく、印象的なコーラスを備えたミドル・テンポの「Tears Of Mandrake」で幕を開ける。10分を超える大作「The Pharaoh」もクライマックスではなくアルバム中盤に配置され、アルバム中の山場となっている。全体的にヘヴィさが増した印象もあり、リフのエッジも以前より強調されている。#3「Jerusalem」のケルト風味も新味。とはいえ、ソロ・プロジェクトの「AVANTASIA」でさえ、基本的に従来のEDGUYと変わらぬ音楽性を示した黄金の「トビアス・サメット節」は健在で、アルバム全曲を豊かなメロディが貫いている。#10「Save Us Now」なんかは往年の「ジャーマン・メタル」ファン狂喜必至の明朗な疾走曲。ファンには安心してオススメできる一枚です。

EDGUY
THE SAVAGE POETRY(RE-RECORDING)
85
サヴェッジ・ポエトリィ (2000)

1995年にリリースされたファースト・アルバムを再録した作品。一部アレンジを変えたり、足したり引いたり、といったこともしているが、基本的にはオリジナル・ヴァージョンに忠実な仕上がり。驚くべきは、当時日本でいう高校生くらいだったはずのトビアス・サメットの書いた曲の完成度の高さで、恐るべき才能をこの時点で既に示している。当然やや荒削りな部分もあるが、人によっては現在の彼らのあまりに大仰なサウンドよりメタルっぽくて好ましい、と感じるかもしれない。後のアルバムで散見される、特定のバンドの特定の楽曲を思わせるような部分がなく、彼らならではのオリジナリティといったものがちゃんと息づいているのも素晴らしい。ちなみにAFMからの初回盤は95年のオリジナル・ヴァージョンとの2枚組になっており、聴き比べることができるようになっていて興味深い(日本盤はオリジナル盤から数曲をボーナス・トラックの形で収録している)。サウンド、演奏力が違うだけでこれだけ全体の印象が変わってくるものか…とあらためて考えさせられました。

EDGUY
THEATER OF SALVATION
87
シアター・オブ・サルヴェイション (1999)

メロディック・パワー・メタルの教科書のような一枚。荘厳なイントロから疾走チューンへなだれ込み、続くはオーディエンスの合唱を誘うコーラスを備えたヘヴィかつキャッチーな曲、そしてバラードへ…と流れ最後は10分を超えるドラマティックな大作で締める、というアルバムの構成、そして個々の楽曲の完成度、どれも文句のつけようがない。トビアス・サメットの歌いまわしは急速にマイケル・キスクを彷彿させるようになり、その力強い歌声はサウンドの核として強い存在感を放っている。HELLOWEENおよび、BLIND GUARDIANやSTRATOVARIUSなどの美味しい所取りといったサウンドだが、安っぽいパクリ感はない。と、ここまで書くと大傑作のようなのだが、不思議と今ひとつ聴いていて昂ぶるものがないのもまた事実。全体を包むハレルヤ感というか、ポジティヴなフィーリングが哀愁派である僕の肌に合わないのか、楽曲の詰めが完璧でないのかは微妙だが、その辺の細かいことをウダウダ言わせないだけの凄いものを作ってくれそうなポテンシャルを感じるバンドだけに、もうひと皮剥けて欲しい気もする一枚。前作よりオリジナリティが減少したような印象は引っかかるが、当代ジャーマン・メタルの代表格たるに相応しい完成度を示した充実作。

EDGUY
VAIN GLORY OPERA
85
ヴェイン・グローリー・オペラ (1998)

クワイア風のコーラスを使った荘厳なイントロから疾走チューンへ。おぉ〜、久々にドイツからジャーマン・メタルらしいジャーマン・メタルが出てきたよ。メンバーは20歳そこそこなのに、もう3枚目になるというこのアルバムで日本デビュー。STRATOVARIUSのティモ・トルキとBLIND GUARDIANのハンズィ・キアシュという豪華なゲストが、彼らに対する期待の大きさを感じさせる。実際疾走曲からキャッチーな曲、ドラマティックな曲、バラードまで、全ての楽曲が平均点をクリアしていて、聴き応えは充分。特にテクニカルなわけではないが、演奏力にも問題はない。まさに「ジャーマン・メタルの正統な後継者」と呼ぶべきポテンシャルを感じさせる。ただ、タイトル曲のイントロがSTRATOVARIUSの「Galaxies」にそっくり(本人が言うにはEUROPEの「The Final Countdown」のパクリらしいが)なのはご愛敬として、一番印象に残った楽曲がULTRAVOXのカヴァーである「Hymn」であるのはちょっと問題かな。大名曲だからやむを得ないのかもしれないが…。まあ、異ジャンルの曲をここまでメタルらしく仕上げたセンスは見事っちゃ見事なんだけど。

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