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DRAGONFORCE
MAXIMUM OVERLOAD
87
マキシマム・オーヴァーロード (2014)

前作はタイトルといいアートワークといい、彼らにしては「無難」な印象で、楽曲もややキャッチーな色が強く、個人的にはやや守りに入ったように映ったし、実際商業的な成功も前々作に及ばなかった。しかし、ハーマン・リ(G)が学生時代にやっていたバンドの名前だという「らしい」アルバム・タイトルを冠した本作は、前作とは打って変った「挑戦作」となっている。まず、初めて外部プロデューサーを迎えて制作されている(かつてOPETHやSOILWORK、AMON AMARTHを手掛けたイェンス・ホグレン)。また、本作の楽曲のうちいくつかにTRIVIUMのマシュー・ヒーフィーがゲスト参加するなど、ゲストの活用もこのバンドにとっては新味。極めつけは60年代のカントリー・ソングであるジョニー・キャッシュの#10「Ring Of Fire」のカヴァーだろうか(原曲の面影をとどめないが)。とはいえ、そういったことで彼らの音楽性が変化するはずもなく「新しいものを加えつつも、何も取り去らない」ことをモットーにしているというサム・トットマン(G)の言葉通りの作風で、今回またバンド最高速を更新したという#1で幕を開け、疾走曲/高速パートを軸にしつつもこれまで以上に楽曲がバラエティに富んでいる。このバンドにとって「多彩さ」はどうしても「速さの快感」と引き換えになってしまう面があって痛し痒しではあるが、彼らのソングライティングの熟練を感じさせる充実した作品であることは間違いない。日本盤スペシャル・エディションは6曲もの追加収録曲があり、それらもファンなら必聴のクオリティではあるが、本編と合わせて16曲を一度に聴くと、さすがにダレるというか、聴き疲れする感は否めない(笑)。

DRAGONFORCE
THE POWER WITHIN
86
ザ・パワー・ウィズイン (2012)

前作が全米・全英ともに18位まで上昇する(日本ではオリコン9位)ヒットを記録、グラミー賞にもノミネートされ、一躍新世代メタル・シーンのトップ・ランナーと目されるようになった彼ら。しかし、前作のツアー後、フロントマンであるVoのZ.P.サートが脱退。代わって無名の英国人シンガー、マーク・ハドソンを迎えて制作された通算5作目のフル・アルバム。これまでの彼らの作品からすると、ごく無難なタイトル、凡庸なアートワークで、ちょっと違和感を覚えていたが、その予感は的中した。もちろん彼ららしさがなくなったわけではない。キャッチーな歌メロ、テクニカルな演奏、そして彼らの代名詞である強烈な疾走感、どれもここに収められている。#2などはBPM220に達し、わざわざ「DF史上最速曲!」とオビに記してあるほどだ(笑)。しかし、先行公開された#3がいかにも欧米のメタラー受けしそうなミドルテンポ(!)の、勇壮ながらキャッチーな楽曲で、これまで「疾走曲かバラードか」という極端なコントラストを売りにしてきたバンドのスタンスを良くも悪しくも広げてしまった。新加入のマーク・ハドソンが、ブロンドのグッド・ルッキンな若者ながら、歌声に個性がない(下手なわけではない)こともあり、バンドのアイデンティティが希薄化しつつあることは否めない。ひょっとするとこの変化がより広い支持と商業的な成功につながるのかもしれないが、これまでのちょっとアホっぽいネタ臭さこそが彼らの個性であり、彼らの音楽に渦巻いていた得体の知れない力の源泉だと思っていた身からすると、本作の評価は「普通に良い」という不思議な日本語になってしまうのが正直な所。

DRAGONFORCE
ULTRA BEATDOWN
90
ウルトラ・ビートダウン (2008)

大ヒットゲーム「GUITAR HEROES 3」に前作収録曲の「Through The Fire And Flames」が使用された結果、同曲のシングルがアメリカでゴールド・ディスクに輝き、アルバムも全世界で50万枚以上を売り上げるヒットとなった。前作は「メジャー・コードを使わない」という制約を自らに課して制作されていたそうで、そのせいもあってか極端なまでにピュアでエクストリームなメロディック・スピード・メタル作品に仕上がっていた。こうなると同じ方向性でこれ以上の作品を作るのは難しいだろうから、今回は多少スローダウンしてくるだろう、と読んでいたし、実際メンバーもそういった発言をしていたので、本作はバンドにとっての「勝負作」になるな、と思っていた。幾多のメロスピ・バンドがスピード・ダウンと共に支持を失っている。彼らも同じ轍を踏んでしまうのか、と危惧していたが、それは杞憂だった。曲調も、楽曲中で使用されるテンポも幅を広げたため、単純に疾走パート率の多さという意味では前作に及ばない。が、当然ながら一本調子な金太郎飴感は薄れ、アルバムに起伏が生まれた。しかも、大幅に導入されたミドル・テンポのパートがむしろ疾走パートを引き立てており、アイデンティティである「速さ」には微塵の揺るぎもない。ミックスダウンを5回半も繰り返し、サブ・ウーファを使わなくては聴き取れない音域のサウンドにまでこだわり抜いたという執念が生んだヘヴィ・メタルの最新進化型。アルバム・タイトルやジャケットのセンスも、もはや良し悪しを超越した個性だ。

DRAGONFORCE
INHUMAN RAMPAGE
88
インヒューマン・ランペイジ (2005)

メロスピ界のリーサル・ウェポン、DRAGONFORCEのサード・アルバム。本作もまた「速さは正義」的なアティテュードを打ち出した痛快なアルバムに仕上がっている。ほんのり哀愁を漂わせるキャッチーな歌メロ、ピロピロとフラッシーなテクニックを炸裂させるギター、そして何よりも時折ブラスト・ビートすら交えながら猛スピードで猪突猛進するドラムがガッチリかみ合って究極の疾走感を生み出す、という方向性は今までと同様だが、前作発表後、数多くのライヴをこなした成果か、演奏・サウンド共に一回り逞しくなり、確実な成長を感じさせる。曲は全体的に長めだが、展開、フレーズが非常によく練りこまれており、疾走を基本にしつつもちゃんと起伏を生んでいるのが素晴らしい。一部で批判されるように「どの曲も同じ」に聴こえてしまう面があることは否定できないが、その事実は彼らの曲が「どの曲も高品質」であることもまた意味している。実際、彼らの曲は彼らのアルバムの中で聴いたら「普通のDRAGONFORCEの曲」だが、他の凡百のメロスピ・バンドのアルバムに彼らの曲が1曲入っていたら、間違いなくキラー・チューンと呼ばれるクオリティを誇っている。個人的にはもっと勇壮で劇的な漢らしい音、もしくはもっと女々しく叙情的なスタイルの方が好みではあるが、このメタルの快感要素のみを純粋培養したかのようなサウンドの中毒性の高さは認めざるをえない。イギリス出身、という出自もプラスに働き、ブレイクの芽もあると思う。

DRAGONFORCE
SONIC FIRESTORM
84
ソニック・ファイアストーム (2004)

前作における強烈な疾走感の原動力となっていたドラマーが脱退し、アイデンティティの危機に見舞われたDRAGONFORCEが、ブラック・メタル・バンドであるBAL-SAGOTHのデイヴ・マッキントッシュを新たにメンバーに迎え発表したセカンド・アルバム。結論から言えば、前作の尋常でない速さは損なわれるどころか、ブラック・メタル畑ならではのブラスト・ビートの導入でさらに強力なものとなり、まさにタイトル通り、「音速の火焔嵐」という感じの凄まじいサウンドが展開されている。前作におけるネックといわれていたZ.P.サートのVoも安定感を増し、もはやこの手のバンドの中ではAクラスと呼んでもいいだけの風格を感じさせる。前作同様、バラード1曲を除いて爆走チューンという構成も潔い。ただ、個人的な感想を申し上げると「速すぎて良いんだか悪いんだかよくわからん」というのが正直な所で(苦笑)、ひたすら高速で叩き込まれるドラムにかき消されてメロディが心に響いてこないというのが本音。とはいえ、彼らのサウンドは個々の楽曲がどうこういうより、その圧倒的な疾走感に陶酔する、というのが正しい聴き方だと思うので(?)、これはこれでいいのかもしれません。

DRAGONFORCE
VALLEY OF THE DAMNED
87
ヴァレイ・オブ・ザ・ダムド (2003)

2000年にインターネット上で公開されたDRAGONHEART名義(同名のバンドが存在していたために、2001年に現在のバンド名に改名)のデモがマニアの間で大評判となり、デビューが切望されていたバンドのファースト・フルアルバム。典型的な「ジャーマン・メタル」系の音楽性を持っているにもかかわらず、出身がHR/HM発祥の地イギリス、ということも話題になったが、よくよくメンバーのバイオをチェックしてみると、香港出身だったり南アフリカ出身だったりと旧英国植民地系の人間を中心に、フランス人やウクライナ人を含む多国籍バンドであることが判明。そりゃブリティッシュらしさがないのも当然(?)。とまあ前置きが長くなるバンドだが、アルバムの内容を簡潔に表すなら「速い」の一語に尽きます。メロディック・スピード・メタルと呼ばれるバンドは数多く、そのほとんどがテンポの速い楽曲をプレイしているのだが、これほど疾走感の強いサウンドはそうはない。何しろ1曲収録されているバラードを除き、全曲が疾走チューンなのである。どの曲にもキャッチーでフックのある旋律が乗り、非常に爽快なサウンドを作り上げている。…と手放しで褒めてもいいのだが、問題もある。Voの線が細いことはこの手の音楽において珍しくないが、その粗を隠すためか、ややVoが引っ込んだミックスになっており、その上ギタリストのプレイがこの手の音楽には珍しくスティーヴ・ヴァイ系のフラッシーなものであるために、サウンド全体が妙に無機質で人工的な印象を与えるものになってしまっているのだ。#6の間奏部で聴かれるボサノヴァ風のパートが「バンドの幅広い音楽性を表している」そうだが、10曲中9曲が疾走曲、ってアルバムを発表しておいて「幅広い音楽性」もないと思うが…。まあでも、疾走大好きのメロスピ厨房(僕もです)必聴の一枚であることは間違いないと思います。

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