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DOMINE
ANCIENT SPIRIT RIGING
76
アンシェント・スピリット・ライジング (2007)

まずはその明るさに戸惑った。DOMINEといえば大仰で、劇的で、世界の不幸を一身に背負って戦う勇者であるかのような悲壮感溢れる勇壮さこそが持ち味だったが、3年ぶりの新作となる本作では、その特色が大幅に薄れ、妙に明るいメロディが目立つ作品となっている。明るいと言っても、もちろんそれはLAメタルのようにアメリカンなものではなく、どちらかというと70年代ロックのヒッピー的なフィーリングに通じるものだ。実際、アレンジやコーラスに70年代のハード・ロックを思わせる箇所は多い。むろん彼らならではのエピック・パワー・メタル的なテイストは随所に残っているし、サウンド自体はこれまで通り、「New Sin」スタジオならではの硬質で軽めのパワー・メタル・サウンドである。過去の名曲のような「アツさ」はないものの、#2や#4、#8など、疾走チューンもある。ジャケットのアートワークこそ「いつも通り」だが、歌詞世界の面でも、彼らがこれまでこだわってきたM.ムアコックの『永遠のチャンピオン』シリーズから離れたテーマも採用しており、意図的な過去からの脱却が図られている。音楽性や世界観に幅が出てきた本作は、彼らにとっては成長作であろうが、その結果失われた要素に魅力を感じてきた者にとっては、手放しで歓迎できない面があるのは否定できない。学生時代トガっていた友人が、久々に再会したら、妙に丸いオトナになっていた…みたいな印象の作品。

DOMINE
EMPEROR OF THE BLACK RUNES
82

エンペラー・オヴ・ザ・ブラック・ルーンズ (2003)


前作で、一部の漢らしいメタルを愛するクサメタラー層から絶大な支持を獲得したDOMINEの4作目。前作までの流れを順当に継承したエピック・パワー・メタル作品で、特に大きな変化はないが、アルバムの構成が以前より起伏に富んでいることによって、前作で気になった単調さは改善されている。楽曲自体も心なしかメリハリがきき、冒頭の大仰な序曲から2曲疾走チューンが続き、「ア〜ヴェ〜ド〜ミネアヴェドミネー」のコーラスが印象的な大作#4など、耳に残る楽曲は多い。彼らの音楽は所謂イマドキのメロディック・パワー・メタルというよりは、80年代のB級正統派メタル(ARMARED SAINTとか)に近い感触があり、その辺は好みの別れる所だと思うが、それはバンドの結成が83年というキャリアの長さによるものだろうか。前作も「The Hurricane Master」というキラー・チューンが強い印象を残したが、本作収録の#8「True Believer」も、それに勝るとも劣らぬ勇壮な名曲で、ついついこの曲ばかりリピートしてしまう。正直演奏やサウンドはまだまだB級なので点数は控えめだが、総ての面が「そこそこ」で高得点がついている優等生的な作品より、全体的にはB級でもこういうキラー・チューンを収録したアルバムの方がプライベートでは手が伸びる機会が増える気がする。

DOMINE
STORMBRINGER RULER
79
ストームブリンガー・ルーラー (2001)

マイケル・ムアコックの名作ファンタジー小説『永遠のチャンピオン』シリーズをモチーフにした音楽世界を追求するイタリアのエピック・パワー・メタル・バンド、DOMINEのサード・アルバム。実は前作「DRAGONLORD」の時点で日本デビューしていたが、当時は所属レーベルであるSOUNDHOLICがメジャー流通に乗っていなかったため、このアルバムで初めて彼らの音楽に触れた人が多かったのではないだろうか。しかし、このバンドの名が日本のマニアの間に轟いたのは、単に流通の改善によるものではなく、本作収録の名曲、#2「The Hurricane Master」の強烈なインパクトによるものだったと言っても過言ではない。勇壮極まりないメロディが激烈に疾走するこの曲1曲で、このバンドは漢(ヲトコ)のメタルとして、一部のマニアからの熱い支持を確立した。ただし、演奏や音質に関してはB級と言わざるを得ないクオリティで、RHAPSODYの背中は遠い。楽曲も曲調こそ勇壮かつドラマティックで非常に心惹かれるのだが、バッキングの演奏が単調で、個々の楽曲も今ひとつメリハリに欠けるため、全体的に冗長な感が否めない。しかし、ラルフ・シーパース似のVoのハイトーンがなかなか強力(変なビブラートをかける癖があるが)だし、イタリアのメタル・バンドにありがちな、小賢しいプログレ志向がなく、ストレートな所に好感が持てる。日本盤ボーナス・トラックはRAINBOWの神曲「Stargazer」のカヴァーで、当然原曲のようなオーラはなく、粗っぽい出来だが、Voの熱唱ぶりはマル。

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