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DGM
MOMENTUM
85
モーメンタム (2013)

前作発表後、数多くのフェス出演やと欧州ツアー、そしてライヴDVD&リメイク・ベストのカップリング商品「SYNTHESIS」(日本未発売)のリリースを挟んで発売された通算8作目のフル・アルバム。プログレッシヴ・メタルという「基本スタイル」の中で、アルバムごとにプログレ寄りだったりメタル寄りだったりするのがこのバンドの特徴だが、本作のサウンドは過去最高レベルにメタル寄り。強いて言えば前々作「DEFFERENT SHAPES」に近いが、本作はさらにストレートな作風で、非常にテクニカルでありながら、複雑さや難解さを感じさせないエッジと勢いがあり、「プログレ」という言葉にとっつきにくいイメージを持っているようなメタル・ファンをも惹きつける力がある。前作から加入したマーク・バジルの熱い歌声もこの方向性にマッチしているといえよう。非常に高密度かつテンションが高いがために聴き疲れを誘う場面もあるが、作曲、プロデュースからミキシング・エンジニアまでを一手に手掛けるシモーネ・ムラローニ(G)がイニシアティヴを握る体制となってから5年以上の歳月が経ち、バンドとしてのアンサンブルが強化されたことが伝わる充実のアルバム。熱い内容とは対照的なクールなジャケットも(メタル・ファン好みではないかもしれないが)オシャレ。欧州ツアーを一緒に回ったSYMPHONY Xのラッセル・アレン(Vo)と、PAGAN'S MINDのヨルン・ヴィッゴ・ロフスタッド(G)がゲスト参加している。

DGM
FRAME
84
フレイム (2009)

前作発表後、バンドの顔になりつつあったティッタ・タニ(Vo)が脱退、後任に元MIND KEY〜B.R.E.A.K.のマーク・バジルが迎えられている。ティッタも良かったが、このマークがかなりの逸材で、個人的にはかつてVISION DIVINEのVoがファビオ・リオーネからミケーレ・ルッピに交代したときに感じたのと同質の、ポジティブな驚きがあった。前作で加入したGとKeyも素晴らしい技術の持ち主だし、どうしてこのバンドにはこれほど優れたプレイヤーばかりが集まるのでしょう? 正直DGMにそれほどネーム・バリューがあるとは思えないのだが、やはり上手い人は上手いバンドに入りたがるということなのか。本作では、前作でだいぶ後退していたプログレ色が再び増量されており、そのことはプログレ・メタルとしての彼らを愛していた人にとっては好ましいことだろう。とはいえ充分にアグレッシヴかつメロディックであり、私のようにプログレ・メタルよりメロディック・パワー・メタル的な音楽を愛する向きにも充分楽しめるバランスである。「これぞ!」のキメ曲こそ生み出せていないものの、どの楽曲も実によく練り込まれており、聴き応えがある。以前よりそうだったが、実力的にはイタリアNo.1バンドであることをあらためて証明する力作だ。大手レーベル所属ではないにもかかわらずサウンド・プロダクションも良好だし、アートワークも上質で、アルバム全体からAクラスのオーラが漂っている。

DGM
DIFFERENT SHAPES
83
ディファレント・シェイプス (2007)

やはり前作はレコード会社に「強いられた」音楽性の変化だったのか、中心人物だったギタリストのディエゴ・レアリ(と、Keyのファビオ・サンジェス)が脱退してしまった。DGMのDはディエゴのD、オリジナル・メンバーのファーストネームの頭文字をつなげたバンド名だったのに、オリジナル・メンバーはこれで全員脱退してしまったことに。イタリア随一といっても過言ではないディエゴの脱退はかなりの痛手かと思われたが、新加入のシモーネ・ムラローニ(G)とエマニュエーレ・カサーリ(Key)という同じイタリアのプログレ・メタル・バンド、EMPYRIOSの2人も相当なテクニシャンで、メンバーチェンジによるダメージは、少なくとも演奏技術の面ではほとんどない。音楽的には前作のようなあからさまなメロディック・パワー・メタルではないものの、それ以前の音楽に比べればプログレ色が後退してストレートなメタルに接近しており、一部ではデス声まで導入するなど、過去最高にアグレッシヴな作風となっている。ディエゴのギターが持っていた独特のニュアンス、フィーリングが無くなってしまったことや、プログレ要素の減少によってこのバンドならではの繊細さが薄れてしまったことをネガティヴに捉える人もいるかもしれないが、私のようにストレートなメタルが好きな人にとっては悪くない、というかむしろカッコいい作品だと思う。ジャケットのアートワークのキー・カラーは赤・緑・黄(信号みたい…)と来ていたので「今回は青かな?」などと勝手に予想していましたが、また緑でした(笑)。

DGM
MISPLACED
86
ミスプレイスド (2005)

これまで彼らの音楽はプログレッシヴ・メタルとメロディック・パワー・メタルの要素がだいたい7:3くらいの割合で存在していたが、本作では突如その比率が逆転している。1曲目からメロディック・パワー・メタル・ファン大喜びのスピード・チューンである。その曲に限らず、どの曲にも従来と比して格段にキャッチーさを増したメロディと、前のめりな勢いが溢れており、しかも前作ではハイブロウなプレイを聴かせていたディエゴ・レアリ(G)によるイングヴェイ直系ギタリストとしてのメロディアスな速弾きも存分にフィーチュアされている。正直メロディック・パワー・メタル・バンドが演奏力の向上と共にプログレッシヴ・メタル的な音楽性に変化していくことは珍しくないが、その逆って結構レアなケースかも。果たしてこれは進化なのか退化なのか(笑)。とはいえ、疾走するだけでいっぱいいっぱいな凡百のメロスピバンドの音楽と違い、キャッチーな旋律の裏には濃密なアレンジと小技が潜んでおり、そんじょそこらのメロディック・パワー・メタルとは比べ物にならない説得力が一音一音に漲っている。かなり凄いよ、コレ。日本盤ボーナス・トラックはアニメ「北斗の拳」の主題歌だったクリスタル・キングの「愛を取り戻せ」の日本語カヴァー。HIGHLORDといいこいつらといい、イタリアのメタル・ファンもやはりオタクなのか…。

DGM
HIDDEN PLACE
81
ヒドゥン・プレイス (2003)

欧州での所属レーベルを「Elevate」から「Scarlet」に移籍してリリースされた4thアルバム。Keyがファビオ・サンジェスに交代している。基本的な音楽性に変化はないが、前作にあったメロディック・パワー・メタル的なキャッチーさが幾分抑え気味になり、ジャズ/フュージョン的な要素が増したため、よりプログレッシヴな印象を与える作品となっている。演奏力やアレンジ力といった、純粋に音楽的な面においてはイタリアン・メタル・シーン随一といっても過言ではないほどレベルの高いバンドではあるが、正直そのレベルの高さが本作では若干「小難しさ」につながってしまったかな? という感がなきにしもあらず。高度な演奏技術が、楽器をやってない人にはややわかりにくいやり方で炸裂しており、ギターのタッピングやスウィープに代表される、短距離走のタイムイコール運動神経の良さ、あるいはシュートで点取る選手が一番偉い、みたいな所がある(それが悪いと言っているわけではない)メタルとしてはいささかインパクト不足というか、ハッキリ言ってちょっと地味。せめて歌メロをもう少しキャッチーにできれば印象も変わったのだろうが、これだけ楽器陣の主張が強くなると歌は乗せにくいだろうなあ。ただ、複雑なアレンジの随所に詩情とでも表現すべき奥深い叙情性が滲んでいて、聴き込むほどにどんどん心惹かれる、所謂スルメ型のアルバムだ。ただ日本におけるイタリアン・メタルのファンはそういう音を求めていないかもしれないね…。

DGM
DREAMLAND
84
ドリームランド (2001)

日本デビュー作となった前作「WINGS OF TIME」によって、一部のマニアの間で「イタリアのSYMPHONY X」と評判になったDGMの3rdアルバム。本作より加入したVoのティッタ・タニ(谷?)の歌唱もラッセル・アレン(SYMPHONY X)風だが、イタリアのバンドならではの叙情性濃やかな旋律に彩られた音楽は、単純にフォロワーと切り捨てるにはもったいないクオリティ。プログレッシヴ・メタル的な音楽性を基本にしつつも、時にメロディック・パワー・メタル的といえるストレートさも織り交ぜたサウンドはこれまでありそうでなかった絶妙のバランス感覚である。イタリアのバンドにありがちな「クサさ」は薄く、そういった音楽を期待すると肩透かしかもしれないが、逆に「オトナのメタル・ファン」の鑑賞に堪えうる音楽だ。日本盤ボーナス・トラックとしてイングヴェイの名曲「You Don't Remember (I'll Never Forget)」をカヴァーしていることからも窺えるように、アンサンブルの中心であるギタリストのプレイにはイングヴェイからの強い影響が感じられ、その技術はイタリアン・メタル界でも屈指ではないかと思われる。映画「サスペリア」のサントラを手がけたことでも有名な母国の大御所プログレ・バンドGOBLINの鍵盤奏者だったクラウディオ・シモネッティによるプロデュース(!)は、彼らの志向する音楽にとってはややヘヴィさに欠けるきらいはあるものの、空間的なサウンドを作り出し、音楽のスケール感を向上させている。アートワークも上質。

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