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BRUCE DICKINSON
TYRANNY OF SOULS
84
ティラニー・オブ・ソウルズ (2005)

ライヴ・アルバム「SCREAMING FOR ME BRAZIL」(1999)を挟み、前作スタジオ・ルバム「THE CHEMICAL WEDDING」からは実に7年ぶりとなるソロ・アルバム。IRON MAIDEN復帰後初のソロ・アルバムでもある。今回も制作パートナーはロイ・Zである(エイドリアン・スミスは不参加)。ジャケットのアートワークに15世紀の画家であるハンス・メムリンクの作品を使用しているが前作とは異なり、それがアルバムのモチーフと直接関連しているわけではない。コンセプト・アルバムではないにせよ、ある種コンセプチュアルな作品だった前作に比べると、本作はよりシンプルに、楽曲ごとにブルースの関心あるテーマに取り組んでいる印象である。かつて大学で歴史を学び、脚本や小説執筆の経験もあるブルースならではの、ストーリーテリング的な歌詞モチーフを生かしたドラマティックな楽曲が並び、全体的な印象としては前作「THE CHEMICAL WEDDING」と、前々作「ACCIDENT OF BIRTH」の中道を行く作風。エピカルなテーマを取り上げ、ドラマティックなメタル・サウンドを展開しつつも、欧州のパワー・メタル・バンドのようにチープなファンタジーにならず、重厚な威厳を感じさせるあたりが「風格」なのだろう。キャッチーな要素がやや不足しているので、少なくともここ日本ではあまり受けない路線かもしれないが、正直なところ再結成後のIRON MAIDENの作品より出来がいい。


BRUCE DICKINSON
THE CHEMICAL WEDDING
83
ザ・ケミカル・ウェディング (1998)

前作に引き続き、ロイ・ZをはじめとするTRIBE OF GYPSIESのメンバーと、古巣IRON MAIDENの同僚だったエイドリアン・スミス(G)を迎えて制作された通算5作目のソロ・アルバム。本作の歌詞世界は、錬金術をテーマに、18世紀から19世紀に活躍したイギリスの詩人であり画家であるウィリアム・ブレイクを作品の随所でモチーフに、ミステリアスな世界観を構築している。#7「Jerusalem」はそのブレイクの詩を引用し、ジャケットのアートワークに使用されているのはブレイクの「蚤のゴースト」と呼ばれる作品(テート・ギャラリー所蔵)である。日本盤ライナーで伊藤政則氏が無駄に語り倒してしまうディープでオカルティックなモチーフの影響もあってか、本作の作風は非常にダークでヘヴィである。ヘヴィといっても必ずしもモダンなものではなく、70年代のドゥーム・ロックに通じるものであり、そういう意味では本作のサウンドはCATHEDRALなどのアプローチに近いものがある。とはいえ随所にIRON MAIDENのファンが気に入りそうなメロディックかつドラマティックなフレーズも登場し、本作で描かれる重厚な世界観に劇的な演出を加えている。決して取っつきやすい作品ではなく、メタル・ファン万人に受ける作風とも言い難いが、聴き応えは抜群で、マニアや専門家筋には非常に高い評価を得た作品である。2008年には本作と同タイトルの映画が製作され(日本未公開)、ブルースはその制作にも関わっていることもあり、本人的にも最も思い入れの深いソロ・アルバムであろうと思われる。

BRUCE DICKINSON
ACCIDENT OF BIRTH
85
アクシデント・オブ・バース (1997)

若いメンバーを迎え、モダンなオルタナティヴ・ロック路線にチャレンジした前作ソロ「SKUNKWORKS」はお世辞にも好評とは言えなかった。そしてブルースは94年に発表したソロ第2作に参加していたロイ・Z(G:TRIBE OF GYPSIES)を再び起用し、さらには旧友エイドリアン・スミス(G:元IRON MAIDEN, PSYCHO MOTEL)の参加を得て作り出した「完全なる脳天直撃のヘヴィ・メタル・アルバム」。冒頭#1「Freak」を聴いたときにはちょっとリフに滲むモダンなヘヴィネスが気になったものの、聴き進めると、ブルースに期待されるIRON MAIDENを思わせるドラマティックなメロディが次々と登場してジワジワと高揚してくる。中盤から後半にかけて聴き応えのある楽曲が並ぶが、中でもエイドリアン・スミスがソングライティングに参加した#6「Road To Hell」は「これを待っていた!」と快哉を叫びたくなる強力なメタル・チューンだし、お蔵入りになった映画のために作ったという#7「Man Of Sorrows」は非常にドラマティックなバラードで、この#6から#7の流れは本作のハイライトだろう。ブレイズ・ベイリーがヴォーカルを務めるIRON MAIDENの評判が良くなかったこともあり、古き良きIRON MAIDENを求める正統派メタル・ファンに歓迎された一枚。

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