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BLIND GUARDIAN
AT THE EDGE OF TIME
84
アット・ジ・エッジ・オブ・タイム (2010)

バンドのメンバー自身がキャラクターとして登場したRPGゲーム『SACRED2:FALLEN ANGEL』に提供した「Sacred」に、ドラマティックな音楽にこだわってきた彼らとしては意外にも初となるオーケストラを入れて発展させた9分を超える大作#1「Sacred Worlds」で幕を開ける通算9作目のスタジオ・アルバム。ハンズィ・キアシュ(Vo)自身が「全般的に、基本的なアイディアは『SOMEWHERE FAR BEYOND』とおおむね関連している」とライナーノーツで語る通り、『SOMEWHERE FAR BEYOND』収録の「Quest For Tanelorn」と同じテーマを持つ#2「Tanelorn (Into The Void)」や、#4、先行シングルとなった#9「A Voice In The Dark」などは、かつてほどの煽情力はないにせよ、初期の面影を感じさせるパワー・メタル・チューンだ。こうしたアグレッシヴな楽曲でさえ、前作で開花した感のある、プログレ方面に走らずに楽曲に表情をつける、洗練された作曲技巧によってかつてのような垢抜けなさを感じさせなくなった点は評価したい。ファスト・チューン以外の曲に印象的なものが多いのも彼らのスキルアップを証明している。#1と共にオーケストラを導入した本編ラストの#10もちょっとエキゾチックで良いムードなのでいっそアルバム全編にオーケストラを導入しても面白かったと思うのだが。

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A TWIST IN THE MYTH
86
ア・トゥイスト・イン・ザ・ミス (2006)

2枚組ライヴ・アルバムおよびライヴDVDを挟んで4年ぶりにリリースされた新作。ここ2作ほどピンと来ないアルバムが続いていたのでさほど期待はしていなかったが、あまりにもジャケットが素晴らしい(この手のヒロイック・ファンタジーをモチーフにしたジャケットは数多いが、これは最高峰なのではないか)ので、つい買ってしまった。そして聴いてみると、これが意外なほどグッと来た。明らかに「過剰」だった前2作に比べ、楽曲もサウンドも整理されてメリハリが利いており、前作まで重苦しくマイナー・コードで責め立てることが多かった彼らの楽曲が、本作では効果的にメジャー・コードを取り入れることによって音楽の表情も豊かになっている。そのため、音数自体は減っているにもかかわらず、むしろスケール感は増して聴こえる。中でも#2「Otherland」のクワイアの壮大さは感動的。初期のような音楽性を追求するべく脱退したトーメン・スタッシュ(Dr)に代わって加入したフレデリック・イームクのドラミングがトーメンよりも洗練されていることもプラスに作用している。先行シングルとなった#4「Fly」は彼らとしては異色の楽曲だが、なかなか印象的で、新境地といえよう。メロディック・パワー・メタルとしての即効性はそれほど強くないかもしれないが、ヨーロピアン・メタルの王者としての風格に満ちた貫禄の名盤。

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A NIGHT AT THE OPERA
81
ナイト・アット・ジ・オペラ (2002)

先行シングルとなった#10「And Then There Was Silence」が、シングルにもかかわらずこのアルバムの制作時間の実に3分の1を費やした、彼ら自身「これを上回る大作は作れない」という14分を超す大作であるという事実が本作の内容を象徴していると言えるだろう。実に濃密なサウンドである。壮大なコンセプト・アルバムであった前作に引き続き、3台のPro Toolsと96トラックにおよぶ多重録音という、およそロック離れしたプロダクションによって分厚くオーケストレーションが施された本作においては、もはやヴォーカルもオーケストレーションの一環であり、ある程度訓練された耳でなくては、どの旋律が楽曲の中で主旋律として働いているか判断することさえ難しいだろう。コンセプト・アルバムだった前作より曲調にはバラエティ感があり、個々の歌詞も、古典からファンタジー小説、ニーチェからガリレオまで魅力的なテーマを取り上げているが、集中せずに聴いていると、ほとんど「音の塊」でしかない。本作がリリースされた当時、僕はちょうどドイツを旅行しており、このアルバムがCDショップでランキングの上位にチャートインしているのを目撃している。現地のメタル雑誌でもトップニュース扱いで、本作のリリースは少なくとも欧州ではビッグ・ニュースだったことが窺えたが、日本では正直さほどでもなかったし、そして個人的にも今ひとつ盛り上がれなかった。やはりヨーロッパ人はクラシックの交響曲など、壮大なオーケストレーションに耳が馴れているんですかね。

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NIGHTFALL IN MIDDLE-EARTH
82
ナイトフォール・イン・ミドル・アース (1998)

このバンドのドラマ性を重視した音楽性から、いつかは必ず作るだろうと思われていたコンセプト・アルバム。タイトルからもわかるように、ミドルアース=「中つ国」、かの有名な名作ファンタジー文学「指輪物語」の舞台として有名な世界の創世神話である「シルマリルの物語」(の一部)を描いたストーリーアルバムだ。当然メンバーの気合も入っている。前作の大成功で予算も時間もたっぷりある。バンドの最高傑作となるのが必然というべきお膳立てだ。しかし…気合が空回りしていると言うべきか、96トラック使用という偏執狂的なレコーディングによってクリエイトされたそのサウンドは前作を超える音の壁となってリスナーに迫って聴覚を圧倒し、複雑な曲構成ともあいまって、逆に楽曲自体の印象を薄いものにしてしまっている。クワイアにせよ、リードギターのフレーズにせよ、個々のパーツだけを抜き出せば魅力的なのだが…。何故か聴いた後に残るのは疲労感だけ。体力と精神力が強靭なヨーロッパ人の間では本作も大ヒットしたので、要は僕のキャパシティを超えていたということなのでしょう。ただ、シングル曲の#9「Mirror Mirror」だけはケルティックなメロディが疾走する問答無用の名曲として僕の狭いキャパシティでも理解できました。

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THE FORGOTTEN TALES
77
フォゴットゥン・テイルズ (1996)

「IMAGINATION FROM THE OTHERSIDE」が大ヒットしたものの、次のアルバムまでだいぶインターバルが空くということで、マーケットにおける失速を危惧したレコード会社の指示で作られたと思しき「つなぎ」の企画盤。既にボーナス・トラックやシングルB面などで発表された音源も含むカヴァー曲と、彼らの過去の曲のアレンジ違いを13曲収めている。CDの再生スイッチを押すと響くかわいらしい響きに、一瞬CDを間違えたかと錯覚してしまう#1「Mr. Sandman」がリーダー・トラック扱いだが、個人的に興味深く聴いたのはBEACH BOYSの超有名曲「Surfin' USA」と、マイク・オールドフィールドの名曲「To France」の2曲のカヴァー。前者は当初ブラガがBEACH BOYS?という違和感を覚えたものだが、よく考えたら、両グループともコーラスが分厚いね(笑)。マイク・オールドフィールドはケルト音楽からの影響が滲んでいるという点でブラガと共通点があり、本来は女性ヴォーカルの曲だが、見事にハマっている。あと、#9「The Bard's Song」のライヴ・バージョンは歌の大半をオーディエンスだけで大合唱しており、彼らの欧州における高い人気を端的に伝えてくれるという意味でこちらも興味深いテイク。旧曲のアレンジ違いは、どれも原曲を超えてはいないものの、彼ら独特の牧歌的な叙情性が強調されており、楽しめる。彼らのファンであれば必携のアイテム。

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IMAGINATIONS FROM THE OTHERSIDE
88
イマジネーションズ・フロム・ジ・アザーサイド (1995)

前作から3年のインターバルを経て発表された本作は、本当に3年間丸々レコーディングに費やしていたと言われればうっかり信じ込んでしまうほど精緻に作りこまれた渾身の力作。過去PRETTY MAIDSやMETALLICAを手がけたフレミング・ラスムッセンによるプロデュースが前作までの彼らにあった荒々しさを削ぎ落とし、パッと聴きの印象をスラッシュメタルからプログレ・メタルの境地に変えるまでに洗練させている。前2作においては、ある意味先の読める、オーソドックスな曲展開を多用することでドラマを生み出していた訳だが、本作ではある意味プログレッシヴとも言える展開を駆使することで、単なる「お約束ワールド」を超えた世界を描き出すことに成功している。その分一聴時のインパクトは弱まった感もあるが、聴き込み甲斐は抜群。時空をも超越せんとする壮大なスケールを感じさせるタイトル曲、前2作の作風を踏襲した「お約束ワールド」全開の#4「The Script For My Requiem」、ケルト民謡を思わせる牧歌的なアコースティック・バラードの#3「A Past And Future Secret」、未来的かつ神秘的なコーラスが印象的な#7「Bright Eyes」など、秀曲ぞろい。ちなみに本作は欧州全域で大ヒットを記録、一躍彼らを欧州のトップ・バンドに押し上げた。


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SOMEWHERE FAR BEYOND
92
サムホエア・ファー・ビヨンド (1992)

前作で一皮剥けた感のある彼らが、今作でさらに一皮剥けた。押しの一手だった楽曲が、ひとつの曲の中で押しと引きを見事に使い分けるようになり、今まで以上に壮大なドラマを描き出すことに成功している。一層厚くなったクワイアの荘厳な響きが聴き手をたちまちファンタジーの世界へトリップさせる。さらにピアノやアコースティック・ギターをメインにしたシンプルな曲の存在がアルバム全体の起伏と表情を豊かにしていることも見逃せない。前々作、前作とゲスト参加してきたカイ・ハンセン(G:元HELLOWEEN、現GAMMA RAY)がソロだけではなく作曲にもタッチした#5「Quest For Tanelorn」や、圧巻の展開に息を呑む#9「Somewhere Far Beyond」をはじめ、まさに劇的としか形容できない名曲が満載、個人的には彼らの最高傑作であると確信している。ちなみに、#4「Theatre Of Pain」はボーナストラック扱いのClassic Versionの方が優れたアレンジだと思います。


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TALES FROM TWILIGHT WORLD
87
テイルズ・フロム・トワイライト・ワールド (1990)

前作にHELLOWEEN脱退直後のカイ・ハンセンが参加したことで一躍注目度を高めた彼らの日本デビュー作。前作まではあまりに荒削りで、無闇に複雑な曲展開が必ずしも楽曲のドラマ性を高めていない歯がゆさがあったが、今作は見事に展開をドラマツルギーに結びつけることに成功している。元々HELLOWEENに似ているということでマニアの話題を集めたバンドだが、HELLOWEENよりはるかにアグレッシヴで突進力に満ちたそのサウンドは、スラッシュメタルにも引けを取らないパワーを持っているのが特徴。そうした基本的に押しの強いサウンドの中、心に染みる叙情性を醸し出す#4「Lord Of The Rings」の泣きのギターフレーズとコーラスはとても印象的。ちなみに今作にも前作に引き続きカイ・ハンセンが参加、#9「The Last Candle」でそれとわかる構築美あふれるギターソロを、そして絶妙の展開を見せる名曲#6「Lost In The Twilight Hole」の前半のヤマ場で突如奇声を張り上げ乱入、壮絶なヴォーカル・パフォーマンスを披露してくれます(笑)。

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FOLLIOW THE BLIND
76
フォロー・ザ・ブラインド (1989)

デビュー作同様、カレ・トラップのプロデュースによって制作されたセカンド・アルバム。リリース当時、既に大人気だったHELLOWEENを脱退したカイ・ハンセンが#5「Hall Of The King」の2回り目のソロと、#8「Valhalla」のエンディング・ソロと一部ヴォーカルでゲスト参加しており、HELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」に心酔していた日本のマニアたちの注目を集め、輸入盤がかなりのセールスを記録した。イントロSE的な#1からパワフルに突進する#2「Banish From Sanctuary」へ、そしてその後も押しの強いパワー・メタル・チューンが立て続き、ある意味彼らの作品中最もストレートかつストロングな作風といえる。ストレートとはいっても彼らのことだから曲展開は多く、後年ほど大仰なものではないもののサビでは通常のパワー・メタル・バンドに比べて厚めのコーラスなども入っている。しかし、それらはあまり本人たちが意図しているほどドラマの演出に寄与しておらず、本作では遮二無二突進していくアグレッションが、前作にあったメロディ・センスを埋没させてしまうほどに際立っている。アルバム本編ラストを締めくくる前述の#8「Valhalla」は初期の名曲としてファンの間で支持が高く、長くライヴのレパートリーとなっている。#9「Don't Break The Circle」はNWOBHM出身のバンドであるDEMONのカヴァー、#10「Barbara Ann」はオールディーズの名曲2曲をつなぎ合わせたお遊び的な曲。

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BATTALIONS OF FEAR
77
バタリアンズ・オブ・フィア (1988)

85年にLUCIFFER'S HERITAGEという名前で結成されたバンドが、2本のデモ・テープ制作を経て86年にBLIND GUARDIANに改名し、当時設立されたばかりの「No Remorse」レーベルとの契約を得て制作したデビュー・アルバム。プロデュースにはDESTRUCTIONなどを手掛けたことで知られるカレ・トラップが起用されている。その音楽性はNWOBHM直系の荒々しくもどこか湿った正統的なヘヴィ・メタルに、スラッシュ・メタル的なアグレッションを加えたパワー・メタルで、カイ・ハンセンがVoをとっていた初期のHELLOWEENに通じる「ジャーマン・メタル」のプロトタイプと言えるもの。人を食ったようなほのぼのとしたイントロから突如アグレッションが炸裂するオープニング・ナンバーの#1「Majesty」から、ドイツのバンドならではの叙情的なメロディの流れを持ったパワー・メタルが展開され、覚えやすいサビが楽曲の印象を強めている。本編ラストを飾るインスト・ナンバーの#8ではドヴォルザークの「新世界」の第4楽章の旋律を取り入れるなど、クラシック音楽の素養も感じさせるギターのフレージングもいい。ハンズィ・キアシュ(Vo, B)の歌唱を中心に粗さも目立つが、この時点でマニアの心を捕らえるセンスが感じられるダイヤの原石的な作品だ。

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