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AT VANCE
FACEING YOUR ENEMY
83
フェイシング・ユア・エネミー (2012)

ベスト・アルバム「DECADE」(2010)のリリースを挟んで発表された9作目のフル・アルバム。Voは前々作から参加しているリック・アルティが引き続き担当しているが、それ以外のメンバーは一新されており、Bはクリス・ヒル、DrはKAMELOTのキャセイ・グリロがレコーディング・メンバーとして参加している。音楽の基本線はデビュー以来変わっていないバンドだが、前作のややコンパクトな作風に比べると、本作ではよりスケール感のあるサウンドを志向しているかのように思われる。もちろんアップテンポの曲や、東日本大震災チャリティとしてデジタル・シングルで発売された#9「Tokyo」のようなキャッチーな楽曲を含みつつ、全体としては重厚なミドルテンポの楽曲が中核を占め、相変わらずギター・ソロの音数は多いものの、もはや「ネオクラ」という響きがいささか軽薄に感じられるような風格を漂わせている。誤解を恐れずに言えば、往年のWHITESNAKEや、様式美時代のBLACK SABBATHを思わせる「本格派」のフィーリングが漂っている。キャッチーなわかりやすさ、という点では過去のカタログに及ばないものの、70年代からずっとこの手の「様式系ハード・ロック」を愛しているような年季の入ったHR/HMファンにとってはこれまで以上に聴き応えのある作品かもしれない。

AT VANCE
RIDE THE SKY
82
ライド・ザ・スカイ (2009)

前作発表後、JUSTICEのメンバーでもあるウルフマン・ブラック(B)、MEKONG DELTA、AXXIS、ANNIHILATORなどで活躍するアレックス・ランデンバーグ(Dr)を迎えてツアーを行ったAT VANCEだが、この8作目のアルバムではウルフマンはメンバーとしてクレジットされているものの、アレックスは不参加。人件費の問題でしょうか。これまで一度たりとも方向性がブレたことのないバンドなので、本作で聴ける音楽もファンには安心印のネオ・クラシカルなメロディック・メタルである。#1「Ride The Sky」など、この手の音楽が好きな人なら一発で気に入るはず。ただ、本作では若干歌メロ、特にサビが練り不足というか、全体にコーラスがシンプル過ぎる印象で、ドラマティックな要素はこれまでで一番薄いかも。まあ、そのことは一概に悪いわけではなく、IMPELLITTERIあたりに通じるコンパクトさを「わかりやすい」と好意的に解釈する向きもあるだろう。恒例のクラシック・カヴァー(今回はヴィヴァルディの「四季」より「夏」)はともかくとして、#4にゲイリー・ムーアやAXEL RUDI PELLがカヴァーしたことでも知られるFREEの「Wishing Well」という、彼らにしては渋めの曲を持ってきたことは新境地。ただ、その渋さへのアプローチが、これ以上の「落ち着き」につながってしまうと、メタラー的にはちょっと厳しいかも。ジャケットのアートワークが美麗で素晴らしいが、数曲にノイズが入っているように聴こえるのは我が家のオーディオやiPodのせいでしょうか?

AT VANCE
VII
82
VII (2007)

「ONLY HUMAN」発表後、常にメンバーが不安定だったAT VANCEだが、ついに中心人物であるオーラフ・レンク(G)とシンガーのデュオになってしまった。前作発表後に脱退したマッツ・レヴィン(Vo)の後任として迎えられたシンガーがリック・アルティというほぼ無名に近い人物であることもあって、いっそうAT VANCEがオーラフのソロ・プロジェクトのように映ってしまう。ちなみにVo以外の楽器は全てオーラフがプレイ(Drは打ち込み)している。ただ、バンドであった頃からAT VANCEは限りなくオーラフのソロ・プロジェクトに近い存在だったので、本作でも音楽の方向性・クオリティはデビュー以来一貫したものを呈示している。勢いのあるアップ・テンポの#1「Breaking The Night」から、ドラマティックな雰囲気の#2「Shiver」、キャッチーな#3「Cold As Ice」と聴き進める頃には、ファンは安心してこのアルバムを楽しんでいることだろう。新Voの声が初代Voであったオリヴァー・ハートマンに近いタイプであることも安心材料になっている。一方で相変わらず新鮮味はなく、楽曲もハイレベルながらこれまでに比べると練り込み不足かな、と思える部分もあって、彼らの最高傑作とは言い難い。打ち込みによる無表情なDrも、気になる人は気になるかも。

AT VANCE
CHAINED
84
チェインド (2005)

前作「THE EVIL IN YOU」はシンガーが僕の好みではないマッツ・レヴィンに交代してしまった上、ジャケットも購買意欲を著しく殺ぐものだったため購入を見合わせたが、本作はBURRN!誌のレビューも好評で、ジャケットもルイス・ロヨらしい趣のあるものだったので、購入に踏み切った。メンバーを見てみると、なんと前々作「ONLY HUMAN」時のメンバーは中心人物であるオーラフ・レンク(G)しか残っていないが、音楽性は全く変わらぬ王道のネオ・クラシカル系様式美HR/HM(若干キャッチーなロック・フィーリングを増したかな?)。まぁ結局はオーラフのバンド、ってことなんだろうね。新メンバーも含め演奏力は高いし、サウンドもやや小さくまとまってしまったような感もあるが、タイトに引き締まった良い音だ。曲も全曲平均点を軽くクリア。#1の疾走チューンから#2のキャッチーな曲へ流れ、アップ・テンポなノリの良い曲を中心に、お約束のクラシック有名曲のカヴァーを挟みつつ(#7、#10、#12と、3曲はちょっと多いかな…)、#11「Run For Your Life」のようなライヴで盛り上がること必至の名曲もちゃんと収めているのだから、ファンには安心印の高品質盤。ただ、デビュー以来方向性が一貫しているのはいいのだが、あまりにも予定調和に過ぎるような…というのは贅沢な話かな。あと、やっぱり個人的にマッツ・レヴィンの声は好きになれません(苦笑)。

AT VANCE
THE EVIL IN YOU
85
ジ・イーヴル・イン・ユー (2003)

前作「ONLY HUMAN」は、これ以上のものがこのバンドから出てくることはあるまい、と確信できるほどの充実した最高傑作だった。それだけに、Voが私の苦手なマッツ・レヴィン(元SWEDISH EROTICA〜ABSTRAKT ALGEBRA〜YNGWIE MALMSTEEN)に交代してしまった本作は、ジャケットが全く購買意欲を刺激しないものであることもあってリリース当時は購入を見送った。しかしリリースから数年が経ち、中古盤が安く売っていたので聴いてみると、カッコいいでやんの(苦笑)。さっさと聴いておけばよかった。まあ、前作があれだけ良くて、次作も良かったわけだから、本作だけ質が落ちるはずもない。力強く疾走する#1、アップテンポかつキャッチーな#2の流れで様式美ファンはノックアウトでしょう。その後も#4、#7のように随所に配置された前のめりに疾走する楽曲が、アルバムの印象を引き締めつつ、それ以外のタイプの楽曲も充実している。お約束のクラシック・カヴァーはネオクラ系御用達のパガニーニ。マッツ・レヴィンのVoも実力的にはバッチリだし、客観的には前任のオリヴァー・ハートマンに似ていなくもないと思う。日本盤ボーナス#12のDEEP PURPLEの「Highway Star」はベタさもここに極まれりといった感じだが、カヴァーの選曲がベタなのは毎度のことだし、そのベタなセンスがこのバンドの「わかりやすさ」につながっているのかもしれない(?)。

AT VANCE
ONLY HUMAN
87
オンリー・ヒューマン (2002)

前作「DRAGONCHASER」は評判がよくなかったのでパスしましたが、打って変わって本作の評判はすこぶる良かったので買ってみました。そして実際聴いてみて、その好評に納得。まず#1の疾走チューンから、一度聴いただけでサビのコーラスが耳にこびりつく名曲#2への流れでガッツポーズ。その他の曲も#3や#8のようなヘヴィな曲から#5や#12のようなバラードまで非の打ち所のない完成度。特にフックに富んだ#10「Sing This Song」からネオクラ者万歳三唱のスピード・チューン#11「Witches Dance」の流れなんて鳥肌モノじゃないですかね。メタル・インディー大手AFMに移籍した効果か音質もバッチリだし、当然演奏・歌唱は完璧。ルイス・ロヨによるジャケットのアートワークも素晴らしい。近年のイングヴェイ御大の音楽が構築美を減退させ、SYMPHONY Xがヘヴィなプログレッシヴ・メタル路線に向かってしまった今、ネオ・クラシカル様式美保守本流の最高峰といえるのはこのバンドなのではないだろうか。今回収録されているカヴァーはRAINBOWの「I Surrender」という、このバンドのイメージどおりのベタなものだが、しかし考えてみるとこのバンド、80年代前半までの曲しかカヴァーしたことがないな(苦笑)。まあ、AT VANCEの音楽に90年代音楽の要素なんて微塵も存在しないし、実際オーラフ・レンクは新しい音楽など聴いていないに違いない。だからこそここまでピュアな様式美アルバムが誕生するのだろうけどね。

AT VANCE
DRAGONCHASER
80
ドラゴンチェイサー (2001)

通算3作目のアルバムとなる本作は、ドイツの国民的叙事詩「ニーベルンゲンの歌」をテーマにしたコンセプト・アルバム的な作品。本作リリース時の評判はあまり芳しいものではなく、前々作、前作からリリース間隔が短かったせいもあって粗製濫造気味な印象もあり、当初はパスしていた。しかし実際に聴いてみると、アップテンポの典型的ネオ・クラシカル・チューン#1、そしてAT VANCE史上最速クラスの疾走チューン#2、そしてさらにアップテンポの力強い#3というパワフルな畳み掛けにガッツポーズ。ここまでは文句なしにカッコいい。しかし、その後恒例の有名クラシック・カヴァー、ベートーベンの「運命」のカヴァー#4、ダークなミドルテンポの#5、そしてこれまた3作連続で恒例となるABBAのカヴァー#6「The Winner Takes It All」、これまたダークなバラードの#7という中盤の流れがどうにもマッタリしていて猛烈に中だるみ(なんでコンセプト・アルバムにクラシックやABBAのカヴァーが入っているんだ、という疑問はあるが、主人公の「運命」や「勝利」を表しているとのこと)。その後は多少盛り返すものの、ちょっと竜頭蛇尾な印象を受けてしまうアルバム。あと、このジャケットはヒドいだろ、いくらなんでも。

AT VANCE
HEART OF STEEL
83
ハート・オブ・スティール (2000)

前作が日本で好評を博したものの、日本盤をリリースしていたレーベルの倒産によりビクターに移籍してリリースされたセカンド・アルバム。方向性は前作と同じく、ピュアなネオ・クラシカル様式美HR/HM。アコースティック・ギターによるリリカルなイントロ#1から、ケルト風味のリフが印象的なスピード・ナンバー#2「Soldier Of Time」の流れでツカミはOK。クワイアとパイプ・オルガンによる大仰なイントロを持つ#3、勇壮なミッド・テンポのタイトル曲#4、前作に引き続き収録されたABBAのカヴァー(「S.O.S」)#5、問答無用のカッコよさを持つ疾走曲#6、泣きのギターが冴えるドラマティックなバラード#7もなかなかの出来だし、なんとなくPENICILLINの「Chaos」のサビを思い出させる(って、このサイトには不適切な説明だな:苦笑)メロディが印象的な#8、トニー・マーティン在籍時のBLACK SABBATHを彷彿させるの#9、IRON MAIDEN調の#10、そしてこちらも前作に引き続き収録されたクラシックのカヴァー(今回はショパン)である#11まで、捨て曲なし。ボーナス・トラックは前作のTEARS FOR FEARSに引き続き80'Sポップスのカヴァー、SUPERTRAMPの「Logical Song」。音質もだいぶ改善されているし、相変わらずVoもGも安定感抜群。充実盤です。

AT VANCE
NO ESCAPE
79
ノー・エスケイプ (1999)

ドイツのややプログレッシヴな正統派HR/HMバンド、CENTERSの中心メンバーだったオーラフ・レンク(G)とオリヴァー・ハートマン(Vo)によるニュー・バンドのデビュー作。オリヴァーのVoがジェフ・スコット・ソートに似ていることもあり、全体的な印象は「MARCHING OUT」の頃のイングヴェイ。オーラフのギターもネオクラ風味全開のテクニカルなもので(巧い!)、この手のネオ・クラシカル系様式HR/HMのファンにはたまらない方向性。全体的にアップ・テンポな楽曲が多いことも好印象。#6「Money, Money, Money」はABBAのカヴァー、#7はヴィヴァルディの有名な協奏曲「四季」より「夏」のカヴァー。#8のバラードは佳曲だし、#5や#9などのキャッチーなコーラスも良い。ただ、軽く奥行きのない音質が玉に瑕で、プロダクションが良ければプラス3、4点は付けてもいいな。BURRN!誌の評価も高く、日本盤リリース元であったサンブレインの「DREAM CHASER」レーベルのカタログでは最も売れたアルバムなのではないかと思われる。余談だがこのレーベルは恐るべき青田買いによって、まだまだアマチュア・レベルだったDGMやSECRET SPHERE、HEIMDALLといった当時全く無名だったイタリアのバンドと次々に契約し、まったく売れずにあえなく倒産してしまいました。それらのバンドが中堅バンドとして見事に育った今(2004年現在)から見ると「早すぎた」という感は拭えませんね…合掌。当然本作も現在日本盤は廃盤、ボーナス・トラックであるSURVIVERの「Eye Of The Tiger」、TEARS FOR FEARS(!)の「Shout」のカヴァーが聴きたい方は中古で根気よく探してください。

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