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ANGRA
SECRET GARDEN
84
シークレット・ガーデン (2014)

脱退したエドゥ・ファラスキ(Vo)に代わってRHAPSODY OF FIREのファビオ・リオーネを、Drに弱冠23歳のブルーノ・ヴァルヴェルデを迎えて発表された再びの「再生」アルバム。キコ・ルーレイロ(G)とラファエル・ビッテンコート(G)という音楽的中心人物が変わらない限りANGRAは変わらないと思っていたが、本作はこれまでで最も変化値の大きい作品で、これまでの作品に比べ、より荘厳なムードが漂い、プログレッシヴな側面やモダンなヘヴィさもこれまで以上に前面に押し出されている。こういう作風であればSOILWORKやSYMPHONY Xなどを手掛けたイェンス・ボグレンをプロデューサーに起用したのも頷ける。このバンドらしい構築美が際立つ、聴き込み甲斐のある高密度な作品ではあるが、せっかく新Voを迎えたにもかかわらず、#5、#10と2曲であえてラファエルが歌ったり、シモーネ・シモンズ(#6)やドロ・ペッシュ(#8)をゲスト・シンガーに迎えたりと、バンドのアルバムとしてはややフロントマンの顔が不明確で統一感に欠けること、そして10曲中4曲がバラード系の楽曲であり(出来はいいので決して退屈ではないが)、ちょっと多すぎではないかと思われることはマイナスポイント。そして何より、よく出来た疾走曲である#2、#9といった曲でさえ、かつて彼らが持っていたスピリチュアルな高揚感が不足しているのが痛い。ファビオの歌唱は歴代No.1の安定感であり、バンドの新境地を提示する力作ではあるが、個人的にこのバンドに期待していたものが提供されていないという意味でやや物足りなさを感じてしまったというのが本音。

ANGRA
AQUA
83
アクア (2010)

マネージメント契約上のトラブルで沈黙を余儀なくされていたANGRAの、約4年ぶりとなるアルバム。その間にアキレス(Dr)は掛け持ちしていたHANGERの活動に専念するためバンドを脱退。エドゥ(Vo)、キコ(G)、ラファエル(G)もそれぞれソロ活動を行ない、ラファエルのソロ・プロジェクトに参加した縁から、かつてANGRAのドラマーだったリカルド・コンフェソーリ(SHAMAN)が復帰している。本作はシェイクスピアが書いた最後の戯曲である「テンペスト」をモチーフにしたコンセプト・アルバムで、アルバム・タイトルの「AQUA(水)」は変化の象徴として使用されている。今回、全体的にラテン色の強かった前作に比べ、再びクラシック音楽からのエッセンスが増量されているのが個人的には嬉しいポイント。一方でマイナスポイントはサウンド・プロダクションで、このちょっと丸みを帯びたモヤっとした音作りは、サウンドからエッジを奪ってしまっており、パワー・メタリックなパートでの緊張感が薄れてしまっているのが残念。アルバム全体を通し、高度な作曲技法と演奏力に裏打ちされた情景描写の巧みさはやはり卓越しており、これほどイマジネーションを刺激するコンセプト作を生み出せるのはさすが、と思わせる一方で、名盤「TEMPLE OF SHADOWS」の縮小再生産に思えてしまうのも確かで、特に彼らに「わかりやすいメロスピ」を期待している向きには前作同様やや物足りない作風かもしれない。

ANGRA
AURORA CONSURGENS
82

オーロラ・コンサルジェンス (2006)


新生ANGRAの復活アルバムとなった「REBIRTH」は、彼らのデビュー作「ANGELS CRY」を思わせるアルバムだった。そして前作「TEMPLE OF SHADOWS」は、セカンド「HOLY LAND」に通じるコンセプト・アルバムの傑作だった。するとその次のアルバムとなる本作が、サード「FIREWORKS」のような煮え切らないアルバムだったらどうしよう…とリリース前、勝手に危惧していた。そして、本作発表直前に行なわれた日本初の大型メタル・フェスティバル「LOUDPARK 06」のステージで聴いた新曲の印象がイマイチだったことで不安はさらに深まってしまったわけだが、案の定というか、なかなか微妙な仕上がりである。とにかく全体的に地味で、これまで彼らのアルバムを聴いて感じてきた高揚感が圧倒的に不足している。それはなぜかと考えると、「クラシック」「ラテン音楽」「プログレ」「パワー・メタル」という彼らの音楽を構成する4つの主成分のうち、クラシカルな要素、大仰なシンフォニック・アレンジが控えめだからなのではないかと思われる。むろん、音楽を構成する演奏技術、アレンジは素晴らしく高度だし、ラテン音楽由来のメロディもこれまでよりも自然にメタル・アレンジに溶け込み、バンドの音楽性は順当に成熟していると思える。基本的には本作に満足していない私も、何度か聴き込むうちに味が出てくるスルメ効果は感じており、決して貶めるような仕上がりではないのだが…。せめて#1のイントロ・パートの後、本作で最もメロディック・スピード・メタルらしい疾走曲である#2が来ていれば、多少印象も違ったのではないか。

ANGRA
TEMPLE OF SHADOWS
93
テンプル・オブ・シャドウズ (2004)

前作「REBIRTH」が、デビュー作「ANGELS CRY」を彷彿とさせる内容であったことから、もしや次作は「HOLY LAND」のような作品になったりして…と勝手に予想していたらまさにその通り、ラテン音楽色の強いコンセプト・アルバムとしてリリースされた復活第2弾アルバム。ラファエル・ビッテンコート(G)が11世紀の十字軍をテーマに創作した小説のストーリーをベースにした本作は、奇しくも当時ベストセラーになっていたダン・ブラウンの小説「ダ・ヴィンチ・コード」ともリンクし、興味深い内容に仕上がっている。ファンなら大喜び間違いなしの高揚感に満ちた疾走チューン#2から、プログレ・メタル的な緊張感と、彼らならではの開放感に溢れたメロディとのコントラストがスリリングな#3の流れで一気にアルバムの世界に引き込まれる。#4も力強いサビが魅力的な佳曲だし、穏やかな海を思わせる#5は母国ブラジルでヒット・シングルとなった。ANGRA史上最速の#6で聴けるカイ・ハンセンの「ラーイナウ!」のシャウトは耳に残って離れないし、#8にはEDENBRIDGEのサビーネ・エデルスバッカーの麗しき歌声がフィーチュアされ、そして#9にはBLIND GUARDIANのハンズィ・キアシュ(Vo)が参加と、ゲスト陣も豪華。フラメンコ調のギターと、中間部のYES風のコーラスが印象的な#7や、なんとラテン・ミュージック界の大御所、ミルトン・ナシメントが参加したなどは、既にHR/HMの枠組みを超えた芸術である。エドゥの歌声が力みすぎなのがやや気になるものの、豊かで高度な音楽性と、「HOLY LAND」に欠けていたメタルとしてのカタルシス、双方を兼ね備えた本作によって、ANGRAは天才アンドレ・マトスを欠いてもなお孤高の存在であることをあらためて証明した。傑作である。

ANGRA
HUNTERS AND PREY
81
ハンターズ・アンド・プレイ (2002)

衝撃のメンバー・チェンジ後の復活第一弾アルバム、「REBIRTH」によって見事に「再生」したANGRAの、来日記念盤として日本先行リリースされたEP。ミニ・アルバムとはいえ、新曲を4曲(うち1曲は「REBIRTH」の日本盤ボーナス・トラックとして収録されていた「Breeding Heart」だが)、既発表曲のアコースティック・アレンジや、GENESISのカヴァー、「Mama」など、内容は非常に充実している。中でもANGRA王道の疾走チューンといえる疾走曲#1「Live And Learn」と、これまたANGRAらしい、ラテン音楽の影響を巧みに消化したタイトル曲である#3「Hunters And Prey」はファンであれば必聴。ちなみに#8の「Caca e Cacador」は#3のポルトガル語バージョン。CDエクストラとして「Rebirth」のビデオ・クリップやスクリーン・セーバーなども収録。

ANGRA
REBIRTH
91
リバース (2001)

「再生」。これほどまで的確にバンドの状態を表したアルバムタイトルがあっただろうか。バンドのリーダーであり、音楽的中心人物だったアンドレ・マトスの脱退は正に衝撃だった。その報せに接し、僕を含め多くのファンが「もうANGRAは終わった」と思った。しかし、ここで聴かれる音楽はまさに、「クラシックとラテン音楽のエレメントを取り入れたメロディック・パワー・メタル」というファンが彼らに期待する音楽そのものであった。イントロに続く疾走チューン「Nova Era」は、初めて「Carry On」を聴いたときの衝撃を蘇らせる名曲。その他にもスケール感と緊張感が鳥肌モノの#4「Acid Rain」、心にしみるタイトル曲#7、彼らならではの構築美に満ちた#9「Running Alone」と秀曲ぞろい。あえて問題を挙げるとするならば、それはあまりにも過去の姿を忠実に再現し過ぎてしまっていることくらいだろうか。本作はアルバムの構成といい、楽曲の方向性といい、名盤「ANGELS CRY」を直接的に思い出させる。そして、アンドレの後釜という重責を完璧に全うしてみせたエドゥ・ファラスキにしても、SYMBOLS時代はもっと伸びやかでまっすぐだった歌唱法が、本作では露骨にアンドレを思い起こさせる技巧的なものに変わっており、そのことも、意識的に過去を再現してみせたのではないか、という疑念を増幅させる。私は、素晴らしいシンガーであるエドゥの加入が発表された時点で彼らが「再生」することは予想できていた。ただ、個人的には彼のまっすぐな声を生かす、もっとストレートなヘヴィ・メタル・サウンドに変化することを予想していたし、実は期待していたのだ。まあ、いずれにせよ、本作が非常に充実した名盤であることは間違いない。

ANGRA
FIREWORKS
83
ファイアワークス (1998)

HR/HM界の大御所プロデューサー、クリス・タンガリーディスをプロデューサーに迎え、イギリスで録音された本作は、彼らの原点であるヘヴィ・メタルへの回帰作であるという前評判のもとリリースされた。しかし、蓋を開けてみれば、相変わらずクラシックとラテン音楽の要素をミックスした彼ららしいサウンドで拍子抜け。それはオープニングを飾るメロディック・スピードメタル・チューン「Wings Of Reality」のシンフォニックなイントロや、シングルとなった#3「Lisbon」に滲むファド(ポルトガルの大衆歌謡)の要素から端的に感じ取ることが出来る。本作の問題は、奥行きとタイトさに欠けるサウンド・プロデュース、そして随所で冗長さを感じさせる未整理な印象の曲が多いことである。既に触れた#3「Lisbon」やタイトル曲#7のように彼らならではの表現力豊かな秀曲を収録する一方、中核となるべきメタル・チューンに緊張感が不足しているために、アルバム全体の印象がぼやけたものになってしまっていることは非常に残念である。この時期既に相当深刻化していたというメンバー間の人間関係の悪化が、作品に反映されてしまったということであろうか。

ANGRA
HOLY LAND
90
ホーリー・ランド (1996)

前作の大成功で一躍「ブラジルの至宝」と呼ばれるようになったANGRAのセカンドアルバムは、かれらの祖国ブラジルの歴史をテーマに繰り広げられる一大音楽絵巻。前作同様クラシック音楽の要素を取り入れつつ、今回はブラジルの民俗音楽の要素も取り込んで、芳醇な音楽を作り上げている。中でも、いかにも南米的なリズムのパートと疾走するヘヴィ・メタルを見事に融合した#4「Carolina IV」はヘヴィ・メタルにおけるひとつの音楽的達成として永く語り継ぐべき名曲である。壮大なドラマの始まりを感じさせるオープニングから、余韻を残すエンディングまで、一部の隙もない。その豊かな音楽性、アルバムの完成度の高さは、ヘヴィ・メタルをイメージだけで毛嫌いする輩に無理にでも聴かせたいと思えるほどである。ただし、いわゆるストレートなメロディック・スピードメタル・ソングは#2「Nothing To Say」、#8「Z.I.T.O」の2曲くらいで、メタルファンにはラテン音楽以外の何物にも聴こえないような曲も収録されているためか、筋金入りのメタルヘッズには不評で、リリース後しばらくしてかなりの枚数が中古盤市場に流れたりもしていた。しかし、その事実はこのアルバムの完成度の高さを否定するものではなく、ただメタルヘッズの音楽的嗜好におけるキャパシティの狭さを表すのみである。

ANGRA
ANGELS CRY
94
エンジェルズ・クライ (1993)

「クラシック音楽とHR/HMの融合」。このANGRAのデビューアルバムを語る際、最も多く使われる表現である。DEEP PURPLEの昔からクラシック音楽のエッセンスの導入というアプローチは行われてきたわけだが、これほど大胆に、かつ見事に両者が融合したのは初めてであろう。「シンフォニック・メタル」という言葉を生み出した名作である。基本的には中心人物であるアンドレ・マトスが以前在籍していたVIPERの名盤「THEATER OF FATE」の延長線上にある音楽性だが、技術的にもより高レベルのメンバーをそろえ、アンドレ自身もVIPER脱退後音楽学校でさらにクラシック音楽への素養を深めた成果か、よりスケールが大きく、深みのある音楽に仕上がっている。シューベルトの「未完成交響曲」を用いたイントロに続く名曲「Carry On」をはじめ、個々の楽曲はもちろん、アルバム全体の完成度の高さは驚異的。バラード#5「Stand Away」の持つ深みは凡百のメタル・バンドには決して表現できないもの。このアルバムで唯一ケチをつけるとすれば、「Carry On」の華麗な疾走で一気に盛り上がった興奮が、続く#3「Time」のあまりにも静かでゆったりとした導入で冷めてしまう、といった曲順上の問題くらい。ちなみに、本作制作時、未だ技術的に完璧とは言い難かったラファエル・ビッテンコートは殆どレコーディングにはタッチせず、一部のソロを除きギター・パートの殆どはキコ・ルーレイロが弾いている。

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