ジャーマン・メタル (German Metal）

【HR/HM】 80年代末から90年代初頭に日本でのみ成立したジャンルというかムーヴメント。ハロウィンの「守護神伝」アルバムのヒットをきっかけに、彼らに近いサウンドを持つメロディックなメタル・バンドがドイツから次々と登場した。音楽的には後に言う「メロディック・パワー・メタル」なのだが、当時この手の音楽をプレイするのがほぼドイツのバンドに限られたことから「ジャーマン・メタル」と呼ばれ、日本でもてはやされた。

ただ、むろんドイツの全てのバンドがメロディック・パワー・メタルをプレイしているわけもなく、当時メロディック・パワー・メタルをプレイしないドイツのバンドは「ドイツ出身だけどジャーマン・メタルじゃない」とか、あるいは逆にドイツ以外の国からメロディック・パワー・メタル的なサウンドをプレイするバンドが現れると、「ドイツ出身じゃないけど、ジャーマン・メタル」などという意味不明な表現が使われるような有様だった。

この手の音楽は明快でわかりやすいが故に飽きられやすく、メロディが子供っぽいため、コアなメタル・ファンに馬鹿にされる傾向があった。また、このムーヴメントから登場してきたバンドの多くが音楽的に未熟であり、ルックス等もあまりにイモ臭かったことから、次第に失速。ハロウィンの問題作「カメレオン」リリースと共にムーヴメントとしては完全に幕を閉じた。