アシッド・ハウス （Acid House）

【クラブ・ミュージック】 欧米のクラブ・シーンにおけるハウス・ミュージックの人気が定着しつつあった87年、シカゴのDJピエールが、伝説的なハウス専門レーベル「TRAX」よりPhuture名義でリリースした「Acid Tracks」という曲によって誕生したジャンル。パッと聴きは安っぽいドラム・マシンによる単調なビートに、Roland社のベース・シンセサイザー「TB303」がブニョブニョと鳴っているだけの音楽と呼んでいいものかためらってしまうような代物である。しかし、アシッド（LSD）をキメてクラブの爆音で聴いたときの覚醒作用は恐るべきもので、欧米のクラブ・シーンでは瞬く間に大ブーム、88年にはイギリスのレイヴでかかりまくり、「アシッド・ハウス・フィーヴァー」を生んだほどだったが、ドラッグ禁止の日本では全く理解されなかった。日本でアシッド・ハウスの認知が進んだのは、90年代前半のテクノ・ブームの中、ハードフロアなど、アシッド・ハウスに強い影響を受けたアーティストが登場して以降である。